7月23日の開幕迫る鈴鹿8耐に向け、YAMAHA FACTORY RACING TEAMが7月14日・15日、鈴鹿サーキットでの2日間に渡る最終テストを終えた。
初日に続くドライコンディションのなかで、午前中に1時間半、午後に1時間半を走行。予定していたテストを順調にこなし、本番への大きな手応えを掴んだ。
中須賀克行選手は、2日間を通して、タイヤの最終セレクト、燃費チェックなど各種テストをこなした。
その一方、ポル・エスパルガロ選手、ブラッドリー・スミス選手は、タイヤの確認、コースの把握を中心に2人で一台のマシンをライディング。最終日には、中須賀選手がセッティングを進めるマシンに乗る場面もあり、セッティングの方向性を合わせる作業にも取り組んだ。
2日間のテスト中3人は「全員が速く走ることができるマシンが大切」と声を揃えていたが、セットアップの方向に大きな違いがなかったことから「満足なマシンになった」と決勝に向けて手応えを掴んだ模様。
その好調を証明するように、タイムでも、初日が2分7秒995、2日目も2分8秒167と両日トップタイムをマークしており、3人が感じた手応えがそのまま結果に現れた。
世界耐久選手権に参戦しているGMT94 YAMAHAは、新型R1、そしてダンロップタイヤというこれまでとは異なるパッケージとなったことで、2日間ともにセッティング向上に時間を費やし、試行錯誤を重ねながら走行。
タイムは、初日・2日目ともに10秒台としており、世界耐久選手権のレギュラーチームらしく、総合力を着実に積み重ねテストを終えた。
一方、2015年型YZF-R1の開発チーム、team R1 & YAMALUBEの時永真選手、藤原儀彦選手は、2日間ともセッティングに多くの時間を費やした。
これにより、初日の13秒台から、2日目はSSTクラスで2番手となる12秒台へ更新。大きな壁を越え好調のまま本番を迎えることとなった。磐田レーシングファミリーも、本番用セッティングの設定に成功するなど確実に前進を遂げており、本番での期待が高まるテストとなった。
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手談
「今回のテストでは、ロングランを中心に燃費チェックとタイヤチョイスを行い、本番に向けてのタイヤを選定できました。7秒台は記録できませんでしたが、タイムを狙っていたわけではなく、あくまでもマシンの最終化が目的だったので、問題だとは思っていません。
それよりも、ポルとスミスがよいタイムで走れたことが収穫で、非常に良い状態でテストを終えることができました。今年は新しいR1となり、全日本のスプリント仕様に合わせて耐久仕様を開発することはとても大変でした。
それでも、8耐マシンが全日本と遜色ないレベルで、3人の誰が走っても速いバイクに仕上がり、これもファクトリーだからできることだと思います。だからこそヤマハ、チームに感謝するとともに、最後はチーム全員で一緒に笑いたいと思います。
個人的には、全日本では5度のタイトルを、MotoGPでは表彰台を獲得していますが、この8耐だけ表彰台の経験がありません。だからこそ、R1の絶対的な速さを見せつけ、表彰台、いやポール・トゥ・ウィンできれば最高ですね。もちろん、このチームであればそれができる。本番が楽しみです」
同・ポル・エスパルガロ選手談
「MotoGPはトップから多くが2秒差の中に収まるとてもハードなレースです。一方の8耐はライダーの数が多く、しかもタイムに10秒以上の差がある状況。まずそれを理解し、受け入れること。そして、自分をコントロールすることも必要になるとても難しいレースです。
そしてなにより、僕とスミスが8耐のルーキーであることを忘れてはなりません。このコースを知り尽くす日本のライダー、海外のライバルはとても強力です。それでも、とても速い中須賀選手がいて、2日間を通じてセッティングも上手く仕上がり、僕もスミスもよいタイムで走れるようになりました。
さらにチームワークが非常に良くなっており、僕としても、チームメイトが速く走るために100%協力する覚悟です。後はスタートを待つのみ、そしてチームのため、応援してくれるファンのためにベストを尽くすだけです」
同・ブラッドリー・スミス選手談
「8耐はマシンを3人でシェアするということで、正直どれだけできるのかわかりませんでした。でも、この2日間、3人ともにセッティングが非常に近いということが確認できたし、テストも満足の結果が得られ、状態としてはマシンも僕も95%の状態までもっていくことができました。
鈴鹿8耐は、僕だけで戦うイベントではありません。中須賀選手、ポル、そしてチーム全員のイベントです。だからこそお互いなにができるかを真剣に考え、ベストを尽くすことが大切なのです。例えばポルはMotoGPではライバルですが、この8耐では良きチームメイトとして力を合わせて戦っています。
それでも決勝は未知の世界です。不安もあれば、緊張もしていますが、自分の心と体がためされる場でありそのチャレンジが楽しみです。すばらしいマシン、ライダー、スタッフが揃ったチーム。決勝は必然的に好成績がついてくるはず。ぜひ期待してください」
#94 GMT94 YAMAHA
デビット・チェカ選手談
「耐久レースは事前のテストが非常に重要。特に今回は新しいパッケージになり、マシン、タイヤの状況を把握し、またそのコンビネーションを高めてリズムよく走れるようになることが重要です。
だからこの2日間は、それを重点的に行ってきました。現状をいえば、以前のR1には6年間の蓄積があったため、トータルパッケージでは完全に追いついていませんが、マシン自体のパフォーマンスは高く、着実に今回のテストで前進できたと感じています。
まもなく本番を迎えますが、特に目標とする順位を設定しているわけではありません。完走すること、そしてポイントをとることに全力を注ぐだけです。
ただ、鈴鹿8耐はなにが起こるかわかりません。2012年のように表彰台の可能性もあります。本番では熱いバトルをファンの皆さんに届けます。多くのファンが応援してくれることを楽しみにしています」
同・ケニー・フォーレイ選手談
「今年は、良い意味でR1に変化がありました。パワー、軽さなど、本当にすばらしいパフォーマンスを持つマシンです。それでもシーズンのスタートは簡単ではありませんでした。
チェカ選手に怪我があったこと、そしてマシンを自分たちのものにできていなかったからです。そして鈴鹿8耐は、チャンピオンになるためにはとても重要な大会となります。少しでも多くのポイントを持ち帰る必要があるのです。
今回のテストは、タイムや順位を求めている訳ではなく、あくまでも本番で最大のパフォーマンスを出すための経験をする機会でした。タイヤとマシンのマッチング、それに僕自身がマシンに慣れることに多くの時間を使い、大きな手応えをつかむことができました。
本番は大勢のファンの前で走れることをとても楽しみにしています。同時に皆さんに喜んでもらえるリザルトを残せるよう最大の努力を行います。鈴鹿でお会いしましょう!」
同・クリストフ・ギュオ監督談
「R1はまるでMotoGPマシンのようにすばらしいポテンシャルがあります。開幕戦の時はまだデータがなく万全ではありませんでしたが、今回のテストではタイヤにライダーたちが慣れ、マシンをセットアップすることに力を入れてきたので、決勝はさらに進化した状態で戦えることができると確信しています。
しかし、トップチームとの差はまだあるというのが現状ですが、我々は勝利をめざして戦います。なぜなら、我々チームは多くの人の夢をかなえることをモットーにしているからです。
鈴鹿で我々は多くのファンに愛されてきました。今年もぜひパドックに遊びにきてください。そして多くの声援をいただければと思います」
#14 team R1 & YAMALUBE
時永真選手談
「ここまでのテストはウエットばかり。ようやくこの2日間、やりたいことができたという感じです。その中での一番の収穫は、良いタイムを出せたこと。今日ここで僕は自分のベストとなる12秒台を出すことができたのです。
トップチームと比較すればまだまだですが、自分にとっても、チームにとっても本番に向けての追い風になったことはまちがいありません。
さらにR1の開発チームとして、僕のようなサンデーライダーが、テストでベストタイムを出せたことは、やはりR1がよい形で仕上がっていると確認できた瞬間でもありました。一方で、藤原さんは、まだ力を発揮できていません。課題はそこになります。
今回も藤原さんが10秒台を狙えるバイクにするため、かなり試行錯誤しましたが、そこまで辿りついていません。決勝までわずかですが、ウィークを使ってさらに前進させたいと思っています」
同・藤原英樹監督談
「ドライコンディションでのテストははじめてのこと。SSTクラスにできることは、大きく言えば、車体のセッティングですが、ほぼ想定していたテストをこなすことができました。
そして、良い状態へとマシンは仕上がりました。それを証明しているのが、時永選手が12秒台に入れたことです。藤原選手も13秒台で安定して走れています。ライダーだけでなく、みんなが手応えをつかんだテストになりました。
私たちは、SSTクラス優勝を掲げて活動してきましたが、開発ライダー3人が、自らR1のパフォーマンスを証明する瞬間が近づいてきました。本番が本当に楽しみです」
#60 磐田レーシングファミリー
西村一之選手兼監督談
「ようやくドライコンディションを走ることができ、3人が納得のセッティングを作り込むことができました。タイムもまずまずだし、ロングランで安定しているのも良い状況です。
ウィークに入ればさらにタイムも上がってくると思います。そして#14は非常に良いタイムを出していますが、同じR1を使う社内チームということで、とても良い刺激になっており、自分たちもやれることをしっかりとやって決勝に臨みたいと思います。
目標は第一が完走です。というのも会社から多くのサポートをもらっている責任感もあるし、これまで支えてくれたチームのみんな、特に若手に達成感を味わってもらいたいからです。
そしてR1をしっかりアピールすることもこのチームのミッション。完走は第一条件ですが、走るからにはSSTクラスの表彰台を目指します。マシンはマフラーとタイヤ以外はノーマルの状態、そのマシンでどれだけやれるか楽しみにしてください」
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