昨今、BEVによる1充電あたりの航続距離への挑戦で、多様なメーカーからの記録達成が相次いでいるが8月13日(スウェーデン・ヨーテボリ発)、浙江吉利控股集団(Geely)傘下のポールスターが、SUV型EVの最長航続走行でギネス世界記録を更新したことを明らかにした。
記録に挑んだのは同社のPolestar 3(シングルモーターを搭載したロングレンジ仕様)。走行時間は22時間57分、航続距離は12.1 kWh/100 km(19.5 kWh/100マイル)の効率を達成し、935.44km(581.3マイル)を走破したという。
雨を含む不安定な天候のなか、電動車の効率的な運転に長けたサム・クラーク氏、ケビン・ブッカー氏、リチャード・パーカー氏の3人のプロドライバーは、集中力を維持するために3時間ごとに交代しつつ、バッテリー容量の20%を残したままWLTP走行距離706 km(438マイル)を達成。
バッテリー残量0%と表示された後もさらに12.8 km(8マイル)走行した上で電欠で完全停止する前に最終目的地の充電器に到着した。
ちなみに実際、綿密に走行ルートを決めるなどの下準備を経るなど、どのように同記録にチャレンジしたのかは、挑戦中の走行動画によって、その一端が垣間見られる。
ポールスターCEOのマイケル・ローシェラー氏は、「ポールスターの車両ラインナップで世界記録を樹立したことを大変誇りに思います。
この航続距離に於けるギネス世界記録の公式認定は、ポールスター3が新たな境地を切り拓いたことの証となりました。私たちは今後も、テクノロジーと電動性能の限界を押し広げていきます」と述べた。
またポールスターUKでマネージングディレクターを努めるマット・ガルビン氏は、「ドライバー達はポールスター3を航続距離の限界まで押し上げましたが、これはバッテリーの航続距離がここ数年で飛躍的に向上したことを示しています。
大型プレミアムSUVがロンドンからエディンバラまでの距離を遙かに超える距離を走れるということは本当に素晴らしいことです。これにより、『EVは遠くまで行けない』という格言は歴史の教科書に埋もれてしまったと言えるでしょう」と、自社が注力しているBEVの優位性について畳み掛けている。
なお、同記録は独立機関で検証したビデオ映像、オドメーター、GPS、バッテリー残量データをWebfleet(ブリヂストンが2019年に買収したフリート管理ソリューションのソフトウエア企業/旧社名はTomTom Telematics)によって記録。これをギネス世界記録の審査員のパウリナ・サピンスカ氏に提出して認められたとし、また車両には一切の改造は施されておらず、標準の20インチホイールに標準のミシュラン スポーツ4 EVタイヤを装着した状態で挑んだと結んでいる。