世界最古のレース、タルガ・フローリオでランチアがレース復帰

ランチアのイプシロン・ラリー4 HFは、イタリア・アブソリュート・ラリー選手権(CIAR SPARCO)の第3戦「タルガ・フローリオ(会期5月8日から10日まで)」で正式にレースに復帰する。

ランチアは、モータースポーツへの公式復帰の舞台として世界最古の自動車レースとして知られるタルガ・フローリオを選んだ。

そんなランチアは、1978 年の第 1 回タルガフローリオ ラリーでランチア ストラトスHFを駆ったカレロ選手とペリシノ選手の勝利を経て、最も勝利を収めたブランドのひとつになっている。

5月8日午後6時30分にパレルモ市・ヴェルディ広場のマッシモ劇場前で行われるセレモニアルスタートで、113.7kmのスペシャルステージを含む合計781.29kmの距離を競うタルガ・フローリオ・ラリーの幕が上がり、212馬力のターボエンジンにSADEV 5速ギアボックス、調整可能なオーリン製ショックアブソーバーを組み合わせたイプシロン・ラリー4 HFが並ぶ。

イベントの本部はパレルモ大学エンジン・メカニズム博物館(パレルモ大学博物館システムの一部、ヴィアーレ・デッレ・シエンツェ8号館)に設置され、第1ステージと第2ステージのスタート、表彰式のための特別エリアが設けられる。

なお同大学にはランチア・コルセ HF ビレッジも設けられ、ランチア参戦に係るホスピタリティエリア、一般向けのアクティビティ、ハイブリッドおよび電気自動車の新型イプシロンの試乗、280馬力のイプシロン HF(100%電気モーターを搭載した高性能ロードバージョン)の展示など、ファンのための様々なアクティビティも実施される。

併せてタルガ・フローリオとランチアのラリー界への復帰を記念して、5月7日夜にパレルモのステランティス&ユー ショールームで特別イベントが開催される予定だ。

そもそもランチアは、シチリアのレースと切っても切れない関係にあり、創業者のヴィンチェンツォ・ランチアは1907年と1908年に2度表彰台を獲得し、1936年にはコスタンティーノ・マジストリがランチア・オーガスタを駆って優勝している。

1950年代には3連勝を達成。1952年にはフェリーチェ・ボネットがアウレリアB20で、1953年にはウンベルト・マリオーリがD20で、そして1955年にはピエロ・タルッフィがD24で優勝した。

歴史あるタルガ・フローリオで最後に総合優勝を果たしたのは1974年で、ジェラール・ラルースとアミルカレ・バレストリエリがランチア・ストラトスHFを率いて栄光を掴んだ。

1978年には、カレロ=ペリシノチームがランチア・ストラトスHFを駆り勝利を収め、それがイタリアブランドの連勝記録の幕開けとなった。

1978年から1992年(レース引退年)まで、ランチアはストラトス、ラリー037、デルタHFインテグラーレといった伝説のモデルを駆るアントニオ・カレロ、ジャンフランコ・クニコ、トニー・ファッシーナ、ダリオ・チェラート、ピエロ・リアッティ、ピエロ・ロンギ、ピエルジョルジオ・デイラなどのドライバー達の活躍により、合計10個のトロフィーを獲得した。

結果、ランチアは総合優勝15回を誇り、タルガ・フローリオ史上最も勝利を収めた自動車メーカーのひとつになった。

今回シリーズ戦として開幕するトロフェオ・ランチアシリーズは、マドニエ山脈を舞台にしたタルガ・フローリオを消化した後、ラリー・ドゥエ・ヴァッリ(5月30日~31日)やラリー・ローマ・カピターレ(7月4日~6日)といったイタリアの主要レースへと進み、最終的にはIA ERC国際ラウンドに参戦する。

その後の夏休みを終えたトロフェオ・ランチアは、ラリー・デル・ラツィオ(9月13日~14日)へと進み、歴史的なサンレモ・ラリー(10月17日~18日)でフィナーレを迎える予定となっている。