F1GP鈴鹿・決勝、フェルスタッペンがマクラーレン勢を抑えて完全勝利


2025年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第3戦日本GP( 開催地:三重県鈴鹿市、開催期間:4月4~6日 )の決勝が4月6日( 日曜日 )に1周5.807kmの鈴鹿サーキットで行われた。

その結果、レッドブルレーシングのマックス・フェルスタッペン選手が、追い縋るランド・ノリス選手、オスカー・ピアストリ選手のマクラーレン勢を突き放しての完全勝利を果たした。前年ワールドチャンピオンのフェルスタッペン選手だが、今季は第3戦目を迎えてようやくの初勝利となった。

但し、その勝ちっぷりは、通算4度のチャンピオン経験者に相応しいもので、ドライバーという人の力でマシンの劣勢を跳ね返し、鈴鹿サーキットで4連勝を記録した。

レース当日は、前日に予想されていた雨が午前中の段階で早々に上がり、曇り空ではあるものの雨の懸念は、ほぼ解消されたなかでのスタートとなった( YouTubeリンク )。

スターティンググリッドでは、ポールポジションのフェルスタッペン選手、セカンドポジションのノリス選手が互いを牽制するような姿勢を見せつつシグナルオフと同時に動き出す。

蹴り出しでは、両車共に遅れることなく動き始めたのだが、ポジション的に優位に立つフェルスタッペン選手が先行してスタートを切り、これに予選2番手のノリス選手、予選3番手のピアストリ選手が追従するという順当な車列となってS字を駆け抜けていく。この際、後続グループでも、懸念された接触等も起こらず、全車20台が綺麗な隊列を組んで西コースへと走り抜けた。

序盤のフェルスタッペン選手は、マクラーレン勢に対して大きなリードを保って先行。その後の中盤、タイヤ交換のためのピットストップを行うべく、フェルスタッペン選手とノリス選手は同時にピットレーンに突入した。

その後、ピット出口に向かうフェルスタッペン選手に、ノリス選手が並び掛けたことでノリス選手のマシンは芝生にタイヤを落とした状態となって併走。最終的には、僅かに先行していたフェルスタッペン選手が先にコースに戻るというハプニングが発生した。

この出来事に対して、両ドライバー共にチームへの無線を介してルール違反を表明したが、スチュワードは取り合わないことを選択。

以降、レース終盤に向けて、序盤と同じくトップがフェルスタッペン選手、次いでノリス選手、更にピアストリ選手が続くという布陣でレースが消化されていった。

その間ノリス選手はフェルスタッペン選手を。ピアストリ選手はノリス選手にアタックする場面が幾度も見られたが、先行する側がその度に後続を突き放すという流れが繰り返された。

そしてレース周回も残り10周というところで、ピアストリ選手がより激しくノリス選手を追撃するバトルが激化。

一方のノリス選手もペースを上げて、フェルスタッペン選手との間隔を削り始める。しかし、余力を持ち合わせていたフェルスタッペン選手が、更に激しくノリス選手を突き放してゴールラインを潜り抜け、通算64回目のF1グランプリの優勝を飾った。

またノリス選手も、チームメイトのピアストリ選手に幾度も脅かされる場面があるなかで、マクラーレン側のチームオーダー等により順位が入れ替えられることもなく、スタートと同じ順位でゴールラインを跨いだ。

結果、満24歳の誕生日で優勝することを望んでいたピアストリ選手の夢は叶わず、3位に甘んじざることになった。

3位以下では、フェラーリのシャルル・ルクレール選手が4位を獲得。これにメルセデスのジョージ・ラッセル選手(5位)とルーキードライバーのキミ・アントネッリ選手(6位)が続いた。

フェラーリのルイス・ハミルトン選手は7位でチームの得点数を伸ばし、レーシング・ブルズのルーキー、アイサック・ハジャー選手は堅実な走りで8位でゴール、今シーズン初のポイントを獲得した。9位はウィリアムズのアレックス・アルボン選手。最後のポイント圏内となる10位はハースのオリー・ベアマン選手となっている。

10位以下では、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ選手が11位。その後続の角田裕毅はレッドブルチームに於けるデビュー戦で12位を獲得。ファンからは、ドライバー・オブ・ザ・デイの栄誉を与えられた。

13位はアルピーヌのピエール・ガスリー選手、15位はウィリアムズのカルロス・サインツ選手、15位はアルピーヌのジャック・ドゥーハン選手。キック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグが16位、レーシング・ブルズに復帰したリアム・ローソン選手は17位でフィニッシュした。

ハースのエステバン・オコンは18位、これにキック・ザウバーのガブリエル・ボルトレト選手(19位)とアストンマーティンのランス・ストロール選手(20位)が続いた。

チャンピオンシップ全体の流れでは、フェルスタッペン選手の勝利により、ランキングトップのノリス選手に対して1ポイント差に迫り、ピアストリ選手は、ラッセル選手を抜いて3位に浮上した。

F1世界選手権は、ここのところ優れたマシンを手にしたドライバーが大きく優位に立つ流れが続いていたが、図らずもマシンの完成度を落としつつあったレッドブルレーシングのフェルスタッペン選手の完全勝利により、例えマシン性能が劣勢であっても、人間の力量次第でそれを覆し得るという、いわばあたりまえのスポーツの醍醐味を思い起こさせるレースになったといえるだろう。