環境に配慮し、「北米ワントヨタ」実現を支える新キャンパス
トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男、以下、トヨタ)傘下の北米トヨタは、米国テキサス州プレイノに建設予定の北米新本社キャンパスの完成予想図を公表した。
トヨタは、各部署の連携を一層深め、顧客に「もっといいクルマ」をより迅速にご提供すべく、北米本社機能の集約・移転を進めている。また、今年1月に建設予定地で起工式を行うなど、「北米ワントヨタ」実現に向けた準備も着々と進行中である。
このほど、発表された新キャンパスでは、7つのオフィス棟に囲まれた中心地に、「Central Plaza」を建設。
Centralとの文字通り、コミュニケーションの中心となるべく、カフェテリアやジムのほか、従業員同士の交流に使えるスペースなども配置した。
また、自然を活用し、環境に優しい特長を多く備えており、例えば、建物外壁をガラス張りとし、自然光を最大限活用する一方で、南側に張り出した屋根が日差しを適切なレベルに抑えるよう設計されている。さらに、建屋や駐車場には太陽光パネルが設置された。
敷地内には、乾燥に強い地元産の樹木を用い、テキサス州中北部らしい緑化を施した。また、新本社で使用する水を確保、貯蔵するための灌漑設備を用い、水を大切に使うキャンパスを目指す構えだ。
ちなみにトヨタにとって現在、本社機能を置くカリフォルニア州トーランスから、テキサス州ダラス北部のプレイノへ北米本社全体を移転するという大掛かりなプロジェクトの実施は、実に60年ぶりの事となる。
移転に伴い、製造・販売・金融などのすべての本社機能全域を移転させる。これに伴い、TEMA(トヨタ・モーター・エンジニアリング・アンド・マニファクチャリング・ノース・アメリカ)、TMS(米国トヨタ自動車販売)、TMA(トヨタ・モーター・ノース・アメリカ)、TMCC(トヨタ・モーター・クレジット)の4社が同一敷地内に集結し、より密接な事業連携を行なっていくという。
本移転計画は、おのずと移動人員の規模も大掛かりとなり、およそ4000名以上が異動対象となると見られる。但し、TMCCについては若干移転に時間を要するようで、2017年以降の移転となる可能性が高い。
なお本年初頭の1月20日には、新社屋建設の敷地内において、北米トヨタがリリースしているピックアップトラックのタンドラを使ったユニークな「鍬入れ式」を行うなど、移転計画自体は順調に推移しているようだ。
近年、ブームという訳ではないが、北米内に於ける自動車メーカーの本社機能移転は、2015年1月に北米メルセデス・ベンツが、北米統括本部をニュージャージー州からジョージア州に移転すると発表している。
また北米ポルシェも、アトランタ国際空港に近接するフォードの工場跡地に地元政府等の支援を得て、本社を含めた複合施設を完成させている。
近年の自動車メーカーを含む、北米事業部門の移転・統合は、各社の思惑も様々だが、トヨタの場合「経済、地勢、気候、交通などの状況から、本社拠点として相応しい環境が整っていること。さらに従来拠点がなかったエリアであるゆえに、中立的な地域でゼロからビジョンを作り上げられる点が魅力」とのことだ。
いずれにしても北米エリアの中で、南部は組合組織率も低く、雇用や生産コストのみならず、生活コスト自体も相対的に安価であることから、土地取得・運営コスト、エネルギーコスト、税金面による総事業コスト削減も、本社機能移転が進む理由の一端と考えられる。
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