神戸製鋼所、水素ステーション向け拡散接合型コンパクト熱交換器がステンレス協会最優秀賞


株式会社神戸製鋼所(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:川崎博也、以下、コベルコ)は、ステンレス協会主催の「第16回ステンレス協会賞」に於いて、機械事業部門の製品である「水素ステーション向け拡散接合型コンパクト熱交換器(製品名:DCHE)」が機能性部材のカテゴリーで最優秀賞を受賞(初受賞)し、3月22日(火)に鉄鋼会館にて表彰式が執り行われた。

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神戸製鋼所、機械事業部門機器本部機器工場長 伴 浩之氏

賞の概要
各需要分野(建築・土木部材、製品、機能性部材、 モニュメント・オブジェ、その他)における優れたステンレス製品を表彰し、ステンレスの普及および需要開発の促進を図ると共に、社会環境との調和と文化の向上に寄与することを目的にしている。賞典は1993年度から始まり、今回で16回目となる。

受賞概要
賞名:ステンレス協会賞 機能性部材カテゴリー「最優秀賞」
名称:水素ステーション向け拡散型コンパクト熱交換器(製品名:DCHE)
受賞者:機械事業部門機器本部機器工場長 伴 浩之

受賞製品の概要
今回受賞したDCHE(Diffusion bonded Compact Heat Exchanger)は、主に水素ステーション向け熱交換器として当社の50年以上に及ぶ熱交換器に関する技術を元に、2012年に開発したもの。

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製造方法イメージ図

製品の主な特長としては、ステンレスのプレートに幅1~2㎜の微細な流路を加工、積層し拡散接合※1をする事で、一般的な熱交換器である2重管式※2と比較し、広い伝熱面積(約5倍の1,000m2/m3)、コンパクト性(約1/100サイズ)と超高圧への耐性(100MPa)を実現した高性能かつコンパクトな熱交換器。

開発における主なポイントは以下2点
熱交換の対象となる水素は、金属組織の中に入ると材料を脆くする性質(水素脆化)がある事から、ステンレス板に添加するニッケルなどの合金成分を最適化した。

拡散接合の様に金属を高温、加圧して接合すると一般的に強度が低下する傾向があるが、今回、強度を維持するために接合時の最適な温度などの条件の選定を実施した。

なお開発に於いては、素材はステンレス・特殊鋼メーカーである日本冶金工業(株)より供給を受け、ステンレスの分野に於いての知見での御協力を得ている。

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接合イメージ図

近年、普及が進む燃料電池自動車(FCV)のインフラ設備である水素ステーションにおいては、主要機器である水素圧縮機やプレクーラー、ディスペンサー内において水素を目的の温度に冷却するために、熱交換器が使用されている。

従来は主に2重管式の熱交換器が使用されてきたが、継ぎ手の数が多く機器サイズが大きい事から、省スペース化による設置コスト低減が求められる水素ステーションにおいては、よりコンパクトな熱交換器が必要とされてきた。

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DCHE外観と、圧縮機に設置されたDCHE

その様な中、2013年に初めて国内商用水素ステーション向けに採用されて以来、高性能かつコンパクトな当社のDCHEの採用が進んでおり、現在、国内の水素ステーション向けに累計100基以上の採用実績を有している。同社は今後も拡販を進め、国内の水素ステーション向けに50%以上のシェア獲得を目指していく。

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ディスペンサー内に設置されたDCHE(同社高砂製作所内、水素ステーション総合テストセンターに設置)

ステンレス協会
1959年設立。ステンレス関連企業及び団体が協力し、ステンレス鋼製品の需要開発、技術向上、調査研究の充実等を図り、国際見地に立ったステンレス鋼産業の健全なる発展を期すると共に、わが国産業、経済、社会生活および国民生活の繁栄に寄与することを目的としている。

※1 拡散接合
溶接など接合方法の一種。材料同士を密着させ、高温で加熱しながら加圧する事で原子レベルで結びつける接合方法。一般的な溶接とは違い母材を溶かす事なく接合するため、微細な流路や複雑な三次元構造体の接合に適する。

※2 重管式(熱交換器)
2重になった管の内外で熱交換を行うタイプの熱交換器。構造上、配管の継ぎ手が多くなり設置スペースが大きくなる欠点はあるが、主に高圧用途で使用される。