商船三井(本社:東京都港区、社長:橋本 剛)は5月28日、2,000トンの技術ベースCDRクレジットを受領し、邦船社として初めて償却した。
*記事冒頭の写真は、Exomad Green社バイオ炭プロジェクトメンバー達
より具体的には、商船三井は2022年から「CO2除去技術の普及・促進」を目的としたカーボンクレジットの共同購買事業NextGen CDR Facility(NextGen)に参画。
これを前提に、NextGen(ボリビアを拠点として世界最大規模のバイオ炭プロジェクトを実施する企業)を通じて、ボリビアExomad Green社が推進するバイオ炭プロジェクト(燃焼しない条件下でバイオマスを炭化し炭素を固定する技術プロジェクト)から2,000トンの技術ベースCDRクレジットを受領。これを邦船社として償却した。
なお「CDRクレジット」とは、大気中からCO2を直接除去する手法に基づくカーボンクレジットを指すもの。その手法は大きく分けて「自然ベース」と「技術ベース」に分類される。自然ベースでは、植林・再植林・土壌炭素貯留等がある。
一方で技術ベースは大気中のCO2を直接回収し、地中に貯留するDACCSやバイオマス発電とCO2を地中に貯留するCCS技術を組み合わせたBECCS等が該当する。今回、同社が購買契約を締結したバイオ炭は技術ベースに分類される。
CO2を長期間に渡って除去・固定する技術ベースとなるCDRクレジットは、将来的に需要の拡大が見込まれるが、未だ技術やコスト面で発展途上の段階であり、購買企業は世界でも限られている。
そうしたなか商船三井は、それらに先んじて技術ベースCDRクレジットを購買し、技術革新とコスト削減を支援することで市場の拡大に貢献してきた。
なお当該クレジットは、自社のバリューチェーンから直接的に排出されるGHGの削減(オフセット)ではなく、社会全体の排出削減(Beyond Value Chain Mitigation)に寄与するものとなっている。
また同件は、同社が2050年までのネットゼロ・エミッション達成と、人・社会・地球のサスティナブルな発展を実現するための道標として策定した「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」の「2030年までに累計220万トンのCO2除去に貢献する」というマイルストーンの達成にも資する取り組みとなっている。
商船三井は、マイルストーンの達成を通じ、将来の当社残存排出量の中立化をより確実にすると共に、社会全体の脱炭素の実現に向けたネガティブ・エミッションの普及・拡大を目指していく構えだ。