スペースウォーカー、福島県南相馬市へ本店移転

スペースプレーン開発の歩みを進めるべく本店機能を整備へ

SPACE WALKER(スペースウォーカー/本社:東京都港区、代表取締役CEO:眞鍋顕秀)は5月23日、スペースプレーンの開発及び将来的な量産体制構築に向け、同日付で福島県南相馬市へ本店を移転した。

これに伴い同市に開発・生産拠点を設け、宇宙輸送技術の確立と地域産業の振興を図る。また新拠点を通じて、有翼式再使用型ロケットの社会実装と産業基盤の強化を推進させていく構えだ。

そんなスペースウォーカーとは、東京理科大学発のスタートアップ。誰もがバスや飛行機に乗るように自由に地球と宇宙を行き来する未来の実現を目指し、持続可能な宇宙輸送手段を提供するべく有翼式再使用型ロケット(スペースプレーン)の研究開発を行っている。

現在は、宇宙開発における軽量化技術を転用し、地球の脱炭素化に資する次世代複合材タンクの開発・製造・販売なども手掛けている。

打上げ射点の北海道大樹町への海路アクセスも考慮した

今回、スペースウォーカーが本店移転を行った背景には、先の通りで有翼式再使用型ロケット(スペースプレーン)と各種コンポーネントの開発と、将来的な量産化を見据えた体制強化の一環となるもの。

従って、東京都千代田区から福島県南相馬市へと本店も移転させた。本店所在地を南相馬市とすることで、登記上の本拠地として地域に根ざした事業展開を進めると共に、スペースプレーンの開発・試験・製造に最適な環境のもとで拠点機能の強化を図っていく。

もとより南相馬市は、ロボットや先端技術の研究・開発を支援するインフラが整っており、宇宙関連産業をはじめとする新産業の育成にも積極的に取り組んでいる地域でもある。

また、同社が打上げ射点として検討している北海道大樹町への海路アクセスに優れている点も、拠点設置地として重要な要素となった。

写真は、2025年3月18日に南相馬市と連携協定を締結した際のもの。左からSPACE WALKER代表取締役CEO 眞鍋顕秀氏、福島県南相馬市長 門馬和夫氏

そうした環境のもと、同社は南相馬市に開発・生産拠点を整備し、宇宙輸送技術の確立と産業基盤の構築を推進すると共に、地域に根ざした新たな産業基盤の形成にも貢献していきたいという。

周辺技術に係るキーコンポーネント製造も移転の重要な鍵に

今後は、いよいよスペースウォーカーの2030年代の打ち上げを視野に、有翼式再使用型サブオービタルスペースプレーンの開発を進め、同時に小型衛星打ち上げを目的とした「RaiJinミッション」を推進していいく。

そのためのスペースプレーン開発の実現に於いては、メタンエンジン、複合材タンク、システム技術などのキーコンポーネントが重要な役割を担う。

スペースウォーカはこれらをコンポーネント単位で事業化し、以下の4つの観点から、宇宙輸送技術の確立と日本の宇宙産業の競争力強化に貢献することを目指していいくと結んでいる。

(1)技術開発・生産拠点の設置
スペースプレーン及び各種コンポーネントの技術試験・開発・製造の中核拠点となる各工場を構え、南相馬市の地元企業と連携した生産、開発体制を構築する。

(2)雇用創出
地域や、国内外も視野に入れた高度技術者の雇用拡大(エンジニア、製造技術者、試験運用スタッフなど)していく。

(3)産学連携
地域をはじめとする大学・研究機関と協力し、次世代の宇宙技術者育成を推進する。

(4)地域産業の活性化
宇宙産業を活用した学びの機会提供やイベントの実施、地元の製造業等と連携し、多様な視点から宇宙産業への参入機会を提供することによる地域認知度向上を図る。

南相馬で、誰もが空と宇宙を自由に行き来できる未来を創る

なお同社代表取締役CEOの眞鍋氏は、「スペースウォーカーの設立以前、東日本大震災の復興支援事業において、南相馬市をはじめとする、福島県浜通り地域の中小企業の事業再建支援に携わってきました。

その経験から、南相馬市をはじめ福島県の浜通りエリアは眞鍋にとって「復興と未来への挑戦」を象徴する、特別な想いを抱く土地です。

現在、南相馬市は国家プロジェクト〝福島イノベーション・コースト構想〟のもと、〝福島ロボットテストフィールド(RTF)〟の整備や宇宙関連産業推進室の設置などを通じて、航空宇宙産業の振興に積極的に取り組んでいます。

こうした地域の挑戦する姿勢と私たちの掲げるビジョンは、高い親和性を持っており、南相馬への本店移転は、復興からさらに未来へと挑む歩みを共にすることを意味しています。

スペースウォーカーは、世界初となる有翼式再使用型ロケットの開発を通じて、誰もが空と宇宙を自由に行き来できる未来を創ることを目指しています。

今回の本店移転は、その未来を実現するための拠点整備であると同時に、地域と共に成長していくという私たちの強い意思表示でもあります。

南相馬を“開発の地”としてだけでなく、“共創の地”とすることで、技術革新と社会的価値の創出を両立し、持続可能な宇宙輸送手段の実現に向けて歩みを進めてまいります」と述べている。

会社概要
会社名 :株式会社SPACE WALKER
本社 :東京都港区新橋3-16-12 第一横山ビル3階
代表者 :代表取締役CEO 眞鍋 顕秀
設立 :2017年12月
HP :https://www.space-walker.co.jp/

*なお上記本店は5月23日付で南相馬市に移転したが、本社所在地は東京都港区新橋からの変更を行わない。従って管理部門は引き続き東京都港区新橋にて執務を採っていく。