独・BMW M、新型「M2 CS」を初披露

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで初披露

BMW M GmbHは、BMW 2002ターボから始まり、BMW 1シリーズMクーペ、そして2019年に発表された最初のCSバリアントを含むBMW M2と続く新型BMW M2 CSを公開した。

このクルマは、先の5月23日にコモ湖畔で開催されたユニークなイベント、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステの一環のなかで初披露された。

BMW M GmbHによると、この特別仕様車はサーキット走行だけでなく日常使いでもドライビングプレジャーが感じられるクルマだという。

生産工場は、最新世代M2のシャシーをベースにしたBMW M2 Racingと同様に、BMW M2 CSはメキシコのBMWグループ・サン・ルイス・ポトシ工場だ。

そんな同車は限定生産の対象車であり、主要販売市場は米国、ドイツ、中国。市場投入時期は2025年夏の終わりを予定。BMW M2 CSのドイツでの販売価格は11万5000ユーロ(およそ1885万円/2025年5月30日時点)となっている。

インテリジェントな軽量設計により、大幅な軽量化を実現

動力系は、第2世代BMW M2(複合燃費:9.8 l/100 km [28.8 mpg imp]、複合CO2排出量:WLTPサイクルで223 g/km、CO2クラス:G)をベースとしているが、Mツインパワー・ターボ・テクノロジーを採用した高回転型直列6気筒エンジンは、BMW M2 CSに於いては390 kW/530 hp出力を発揮。

現行BMW M2よりも37 kW/50 hp出力を向上させている。従ってBMW M2 CSは、M xDrive搭載のBMW M3 Competitionセダン(複合燃費:10.2 l/100 km [27.7 mpg imp]、複合CO2排出量:WLTPサイクルで230 g/km、CO2クラス:G)およびM xDrive搭載のBMW M4 Competitionクーペ(複合燃費:10.1 l/100 km [ 28.0 mpg imp]、複合CO2排出量:WLTPサイクルで229 g/km、CO2クラス:G )と同等の性能を備えていることが判る。

これに標準装備のDrivelogic付き8速Mステップトロニックトランスミッションを組み合わせており、これを介して後輪へ動力を伝える。

BMW M GmbHは、この特別仕様車を標準モデルのM2と比較して約30kg軽量化させた。これは、軽量設計技術の巧みな活用を含む改良によって実現させたもの。

例えば、BMW M2 CSでは、内外装の多くのコンポーネントに炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用。また鍛造Mライトアロイホイールが標準装備される。その結果、CSは現行世代のBMW M2の中で最軽量モデルとなった。

出力とトルクが大幅に向上したアップグレードされた直列6気筒エンジン

BMW M GmbHが、BMW M2 CS向けに採用したパワーユニットは、BMW M GmbHは標準のM2に搭載されている3.0リッター直列6気筒エンジンのアップグレード版。

そのためダイナミックな運転状況下では、総じてパフォーマンス体験が大きく強化されている。具体的には、エンジンのパワー特性が鋭くなり、Mモデルでおなじみの高回転域まで持続するリニアなパワー特性が続く。

それはDrivelogic付き標準8速Mステップトロニックトランスミッションを搭載したBMW M2と比較しても、最大トルクが50Nm(37lb-ft)増加した650Nm(479lb-ft)となり、それは2,650~5,730rpmの幅広い回転域で利用できることが判る。

また最終的にエンジン出力は6,250rpmで390kW/530hpを発揮、以降に於いてエンジン回転数は7,200rpmでトップエンドを迎える。この間、ドライバーの加速要求に極めて迅速に反応する。

レーシングの専門知識が感動的なパフォーマンスをもたらす

新型BMW M2 CSは、こうして向上させた最高性能値により、コンパクト・ハイパフォーマンス・セグメントでのトップの座を揺るぎないものとした。

このスペックは、エンジン・マネジメントの改良によって達成されたもので、BMW M GmbHが開発した直列6気筒エンジンの傑出したポテンシャルの証左となる。

ちなみに同エンジンは、BMW M4 GT3 EVOレーシングカーに使用されているパワー・ユニットのベースにもなっており、Mツインパワー・ターボ・テクノロジーは、3つのシリンダーにそれぞれ圧縮空気を供給する2つのモノスクロール・ターボチャージャー、低温回路によって供給される間接インタークーラー、および電子制御ウェイストゲートで構成されている。

M専用の冷却システムにより、高負荷時でもパワートレインコンポーネントが最適な動作温度を維持し、オイル回路もどのような走行状況にも対応できるよう設計されている。また、マップ制御オイルポンプにより、急加速時でも確実なオイル供給を実現する。

BMW M2 CSが4秒の壁を破る

高められた動力伝達系、向上したエンジン出力、そして軽量化された車両重量の影響もあり、BMW M2 CSは0から100 km/h (62 mph) までの加速で4秒の壁を破ることができる。

この3.8秒というタイムは、標準のM2よりも0.2秒速い。「1フィートロールアウト」法**を使用して計算された数値は3.5秒となる。

パワーの増加により、静止状態から200 km/h (124 mph) までの加速も向上。ここで必要な時間は1.2秒短縮されて11.7秒、​​または「1フィートロールアウト」法**を使用すると11.4秒になる。

80~120 km/h(50~75 mph)の中間加速は3.4秒。Mドライバーズパッケージが標準装備される特別仕様車の最高速度は、302 km/h(188 mph)に電子制御によって制限されている。

更なる車両の改良を望むユーザーに対しては、CSモデル専用に開発されたカーボンおよびチタン製テールパイプトリムを備えたMパフォーマンスサイレンサーシステムが夭死される。

チタン製マフラーを備えた軽量バルブエキゾーストシステムは、レーシングカーのようなサウンドを生み出し、感情を揺さぶられる。

アクティブ サウンド デザインは、エンジンのサウンドトラックをキャビン内に忠実に伝えるのに役立つ。ドライビング エクスペリエンス コントロール スイッチを使用して SPORT または SPORT PLUS モードを選択すると、音量がさらに上がる設定となっている。

パフォーマンス向上のために最適化されたシャーシとブレーキ

BMW M2 CSのシャシー技術とブレーキシステムは、エンジンの性能特性の向上と特別仕様車特有の重量バランスに合わせて精密に調整された。

シャシーは車高が8mm低く、スプリング、ダンパー、シャシー制御システムを専用にチューニングし、この車両に特化させた。

これらの変更により、ハードな運転を含むあらゆる状況に於いてドライビングダイナミクスが大幅に向上した。

ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)とMダイナミック・モードの設定は、サーキット走行の要求などに合わせて精密に最適化させることもできる。

標準装備のアダプティブMシャシーには、Mサーボトロニック・ステアリング、Mスポーツ・ディファレンシャル、そして一体型ブレーキシステムと同様に、モデル固有の設定が綿密に調整されている。

標準装備のMコンパウンド・ブレーキシステム(レッド・ブレーキキャリパー付き)は、強力な制動力を発揮。オプションで、Mカーボンセラミック・ブレーキシステム(レッド・ブレーキキャリパー付き)も用意されている。

CS専用鍛造Mライトアロイ・ホイール(ダブルスポーク・デザイン、マットゴールドブロンズ仕上げ)も標準装備。フロント19インチ、リア20インチのタイヤは、標準でトラックタイヤが装着されており、タイヤサイズはフロント275/35 ZR19、リア285/30 ZR20。

希望に応じて、同サイズのウルトラトラックタイヤと標準スポーツタイヤ(無償オプション)も用意される。

外装には多くのカーボン部品と特別なディテールを採用

エクステリアは、多くの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のコンポーネントとその他の専用ディテールで構成される。

BMW M2でお馴染みのMドアミラーキャップに加え、特別仕様車に標準装備されるMカーボンルーフ、そしてCS専用リヤディフューザーも、目を引く露出カーボンファイバー製となった。

マットブラックのフロントスプリッターと、最適化されたエアインテークを備えた専用のブラックBMW Mキドニーグリルが、スポーティでダイナミックなイメージを与える。

一体型のダックテールを備えた軽量CFRP製トランクリッドには、「M2 CS」赤いアウトラインが施された。

車体色には、サファイアブラックメタリック、BMW Individualベルベットブルーメタリック、Mブルックリングレーメタリック、Mポルティマオブルーメタリックの4色を用意。 BMW セレクティブ ビームの眩しさを軽減するハイビーム アシスタントとダーク インレイを備えた M ライト シャドウラインを備えたアダプティブ LED ヘッドライトも標準装備となった。

カーボンとレーシングセンスは内部にも引き継がれています

インテリアは、エクスクルーシブな外観と、上質なアルカンターラのスポーティな質感を与えるものとなっている。加えてセンターコンソールは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製。ドライバーとパッセンジャーは、その左右に配されたヒーター付きMカーボンバケットシートに座る。

シートは電動で様々な設定が可能で、照明付きの「CS」ロゴが目を引くもの。一体型ヘッドレストは取り外し可能で、オプションのマルチポイントハーネスを組み込むことで、サーキット走行への適応性を高められる。シートの表面はメリノレザー仕上げだ。

標準装備のMアルカンターラステアリングホイールは、フラットボトムのリム、シフトパドル、12時の位置に赤いセンターマーカー、そして個別に設定された車両設定を選択するための2つのMボタンを備え、オプションでヒーター付きバージョンも用意される。

インストルメントパネルとセンターコンソールのトリム要素は、Mカーボンファイバー製。その他の特別なディテールとしては、センターコンソールの赤い「CS」ロゴ、Mシートベルト、「M2 CS」ロゴと赤いアウトラインが付いた黒色のエントリードアシルプレートがある。「CS」ロゴが点灯するドアトリムパネルで使用される色は、標準のアンビエントライトと同様に個別に設定できる。

BMWオペレーティング システム 8.5、気候機能のデジタル制御

デジタル制御面では、2ゾーン・オートマチック・クライメート・コントロール、コンフォート・アクセス、Harman Kardonサラウンド・サウンド・システム、BMWライブ・コックピット・プロフェッショナル(BMWマップ・ナビゲーション・システムを含む)などがある。

BMWヘッドアップ・ディスプレイに加えて、コントロール・ディスプレイには拡張ビューも含まれる。標準装備のスマートフォン統合により、Apple CarPlay®とAndroid Auto™が使用可能。

BMW曲面ディスプレイとBMWヘッドアップ・ディスプレイのM専用ディスプレイは、コックピットに先進的なスポーツカーの雰囲気を添える。

フルデジタル・ディスプレイ・グループは、12.3インチのインフォメーション・ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイで構成。これらはBMWオペレーティング・システム8.5に基づくBMW iDrive制御および操作システムのプラットフォームとして機能し、このシステムを使用してクライメート・コントロール機能をデジタルで操作することができる。

更に温度と換気の設定、シートヒーター、ステアリングホイールヒーター (指定されている場合) を、コントロール ディスプレイの下部にある特別なメニュー オプションを使用してタッチするか、BMW インテリジェント パーソナル アシスタントを使用するなどで音声コマンドで制御することもできる。

M専用の操作コンセプトにより、幅広い機能への直接アクセスが可能

この特別仕様車は、BMW M2から最先端の設定カスタマイズ操作コンセプトを引き継いでいる。その中心となるのは、センターコンソールのセットアップボタンだ。

ここから、エンジン、標準装備のアダプティブMサスペンション、Mサーボトロニックステアリング、Mコンパウンドブレーキと連動する統合ブレーキシステム、そしてドライバーがホイールスリップ制限の介入閾値を個別に設定できるMトラクションコントロール機能の設定オプションに直接アクセスできる。

Mドライブプロフェッショナルは、Mモードのトラックと10段階のMトラクションコントロールにより、ハンドリング特性をカスタマイズできる。Mドリフトアナライザーは、ドライバーが実行したドリフトの角度と継続時間を表示し、Mラップタイマーは完璧なラップタイムを目指すドライバーに最適な装備となるだろう。

最後に標準装備の半自動運転および駐車システムには、前方衝突警報、ブレーキ機能付きクルーズコントロール、追い越し禁止インジケーター付きスピードリミットインフォ機能、車線逸脱警報、後退支援機能付きパーキングアシスタントが含まれる。更にオプション装備として、ストップ&ゴー機能付きアクティブクルーズコントロールとドライビングアシスタントが追加できる。

CO2排出量と消費量
燃料消費量および排出量の数値:
複合燃料消費量:10.0 l/100 km [28.3 mpg imp]: 複合 CO2排出 量: WLTP サイクルで 226 g/km、CO2クラス: G