インディ500決勝はパロウ選手が優勝、琢磨選手は11位

第109回「インディ500」の決勝が5月25日(米国・インディアナ州発)、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われ、今季のシリーズ戦をリードしてきたスペイン人ドライバーのアレックス・パロウ選手(チップ・ガナッシ・レーシング)が悲願のオーバルコースに於ける初優勝を達成した。

決勝日当日はスタート前に小雨が降ったことで、ペースカーが先導するウォームアップランからの開始となった。

気温18度から20度辺りを推移する曇り空の下、スコット・マクラフラン選手(チーム・ペンスキー)が、早くも単独スピンでリタイヤするなど若干、波乱含みの様相が見られたものの、リ・スタートしてからはパト・オワード選手(アロー・マクラーレン)がトップに立つ。

その後、予選2番手の好位置からスタートとなった佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が、11週目に首位に浮上するも、19週目に雨足が強まったことでイエロー宣言。これにより上位を走る各車はピットに向かう。

レースは、ステイアウトしたアレクサンダー・ロッシ選手(エド・カーペンター・レーシング)を先頭に31周目に再開。

更に46周目にピットインしたロッシ選手に入れ替わって、琢磨選手がレースをリードしていく。62周目に難なく2度目のピットストップを消化し、引き続き首位を快走する。

琢磨選手は、全200周と定められているレース周回数のうち通算51周に亘ってリードラップを築き上げた後の87周目、3度目のピットストップ時に四輪がロックして停止位置をオーバーランしたことで痛恨のタイムロスを喫する。

これにより琢磨選手は、中団グループからのレース復帰となってしまう。以降、3台が絡むクラッシュを経た110周目、コナー・デイリー選手(フンコス・ホーリンガー・レーシング)、デイビッド・マルーカス選手(A.J.フォイト・エンタープライゼス)、パロウ選手らのバトルが勃発。

134周目を境に4度目のピット作業後に入って以降、各車の動きが大きくなる。このタイミングまでピットタイミングを敢えて遅らせたライアン・ハンター-レイ選手(DRR-キュージック・モータースポーツ)が今度は首位に浮上する。

170周目に各車は運命のラストピットへ。この際、ハンター-レイ選手がコースインから直ちに復帰できず、首位争いから脱落。これを期に最終盤のラストスティントに突入した。

ここに来て燃費を抑えつつチャンスを伺っていたパロウ選手がペースアップ。しかし175周目にマーカス・エリクソン選手(アンドレッティ・グローバル)がパロウ選手の鼻先に割って入り鍔迫り合いが始まる。

残り15周を残す段階で、2番手を走るパロウ選手は、その時点でトップを走っていたエリクソン選手を抜き、勝負はエリクソン選手とパロウ選手との一騎打ちに。

周回遅れをかわしながら2台が競うなか、首位争いが最終ターンに向かうタイミングで、後続集団のクラッシュによりイエローフラッグが出る。この結果、先頭を走っていたパロウ選手がフィニッシュラインを潜り、自身初のインディ500を征することになった。

一方の琢磨選手は、トップ集団がバトルを繰り返すなかで、諦めることなくジリジリと順位を上げていったのが、もともとマシンセッティングが先行逃げ切り型であったのか、そのために集団のなかでのダーティーエアに揉まれてしまったのか、11位まで追い上げたところで残り周回数が尽きてしまった。

対してパロウ選手は、6位からレースをスタートし平均時速168.883マイルを記録。全200周中最後の14周のみをリードして勝利を手中にした。