2016年は、Auto Union Type Cを駆ったベルント ローゼマイヤーが欧州選手権を制してから80年目の年
現在、インゴルシュタットに拠を構えるアウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)。
その一角に、同ブランド自らの手によって、永年受け継がれてきた往年の名車達を復活させていく部門「アウディ・トラディション(Audi Tradition)」がある。
そんなアウディ・トラディションの管理車両には、普段、目にすることのない希有なクルマ達が多数存在しているが、そんなアウディ・トラディションは、今年も複数の記念行事を含め、ドイツや海外で開催される20を超えるイベントに参加していく。
なおこの2016年は、アウディ・ブランドの歴史を辿ると、特に大きな節目の年にあたることが判る。実は今年は「Auto Union Type Cレーシングカー」を駆ったベルント ローゼマイヤーが、ヨーロッパ・グランプリでチャンピオンを獲得してからちょうど80年目にあたる。
これを記念して今年は、過去2年の月日を掛けて入念に準備を重ね、遂に実走状態にまで到達した16気筒エンジン搭載の「Auto Union Type Cレーシングカー」のライブ走行が実施される。
ちなみにこの歴史あるレーシングカーは、ドイツおよび英国で行われるその他の3つのイベントにも登場する予定となっている。
シーズン最初の活動は、エッセンで開催されるTechno Classicaヴィンテージカーショーが幕開け
そんなアウディ・トラディションの展示活動は、4月6日から10日にエッセンで開催される「Techno Classicaヴィンテージカー ショー」が皮切りとなる。
ちなみにこの世界最大のクラシックカー展示会は、ここ数年の慣例を踏襲してホール7で出展される予定だ。またそんなアウディ・トラディションが掲げる車両展示のモットーは“希少性”にある。
これに倣って会場には、アウディの歴史に名を残す稀少な自動車や、モーターサイクルが展示される。
その中でも、今年注目なのはアウディのエキスパートが入念に整備した「Audi quattro Spyder」と「Audi Avus quattro」であろう。このクルマは、25年前にアウディが初めて登場させたコンセプトカーだ。
1930年代当時、すべてのレーシングカーすべての指針となったAuto Union Type C
1930年代、Auto UnionとMercedes-Benzは、国際レースの舞台を席巻していた。そうしたなか1936年に登場した「Auto Union Type C」は、当時のレーシングカーすべての指針となる絶対的な存在であった。
ホイールの処理に特徴を持つこのレーシングカーは、若かりしベルント ローゼマイヤーをわずか1年にしてスーパースターに押し上げたクルマでもある。
この年、ローゼマイヤーはヨーロッパ選手権全4大会中3大会で優勝を飾って、年間チャンピオンを獲得しただけでなく、ドイツ ヒルクライムとロードレーシングの両チャンピオンも獲得している。
これによりローゼマイヤーは、それまで無敵と謳われていたチームメイトのハンス シュトックを超える存在となったのである。
アウディ・トラディションは、このレーシングカーのレプリカモデルを、6月23日から26日に英国で開催されるグッドウッドフェスティバル オブスピードに展示していく。
ドナウ クラシックでは、NSUブランドで登場していたモデルの数々を見ることができる
併せてアウディ・トラディションはアウディの本拠地インゴルシュタット近郊で、上記同時期の6月23日から25日に開催される「ドナウ クラシック」にも参加する。
さらにこの「ドナウ クラシック」に於けるもうひとつの見どころは、かつてNSUブランドで登場していたモデルの数々である。会場では「Prinz 1000」、「Prinz TT」、そして2台の「Ro80」などのラインナップを一気に観ることができる。
さらに戦前に活躍した稀少なモデル、「Wanderer Streamliner」のレプリカがヘイデルベルグを走行する。このモデルは1939年にその当時としては過酷だった、リエージュ〜ローマ往復長距離耐久レースに出場したモデルそのものである。
シェルスレイ ウォルシュ ヒルクライムは今を遡ること80年前にハンス シュトックが優勝した歴史ある大会
さらに7月16日から17日、英国開催の「シェルスレイ ウォルシュ ヒルクライム」では実車の走行も行う。この大会は、今を遡ること80年前にハンス シュトックが優勝した歴史ある大会でもある。
アウディ・トラディションは、このシェルスレイ ウォルシュ ヒルクライムを終えた後、ネッカーズルム近郊に移動し、7月21日から23日に開催される「ハイデルベルク ヒストリック ショー」にも出展する。
ちなみに先に挙げた「Auto Union Type C」は、8月5日から7日に掛けて、デュッセルドルフ郊外のダイク城で開催される「クラシックデイズ ショー」でも展示される見込みだ。
ラリーファンは、7月21日から23日にダウンで行われるアイフェル ラリーフェスティバルに注目したい
一方ラリーファンであれば、7月21日から23日にダウンで行われる、ドイツ最大のラリーファンミーティング、「アイフェル ラリーフェスティバル」にも注目されたい。
ここでアウディ・トラディションは、「Audi Group S prototype」を展示する。これは、1987年シーズンに向けて開発されたものの、実際の大会には出場することがなかった幻のモデルだ。当日は2台の「Audi Sport Quattro S1 」“winged monster”を実際に走行させる。
なお上記、アイフェル ラリーフェスティバルとは前後してしまうが、7月12日の「ADACザクセンリンク クラシック」では、1939年製DKW UL500のフルレストアモデルが初登場する。
ここでは1989年製「Audi 90 quattro IMSA GTO」も登場。このモデルはアウディモータースポーツの歴史を語る上で欠かすことの出来ないレーシングカーである。
ロスフェルド国際エーデルワイス ヒルクライムには、往年の名ドライバー ワルター ロールが出場する
さらに9月23日から25日にベリヒテスガーデで開催される「ロスフェルド国際エーデルワイス ヒルクライム」には、往年の名ドライバー ワルター ロールがAudi Traditionの一員として出場。
最後にその他のアウディ・トラディションの活動としては、「ボーデン クラシック」(5月5日-7日)への参加。
「キッツビューヘル アルペンラリー」(6月1日-4日)、「シュロス ベンスベルク クラシック」(7月1日- 3日)、「エンスタル クラシック」(7月27日-30日)、「ザクセン クラシック」(8月18日-20日)、そして「ハンブルグ スタドパーク リバイバル」(9月3日-4日)等に於いても、積極的な展示活動を行っていく予定である。
そして今年2016年最後の活動は、ネッカーズルム(11月6日)と、インゴルシュタット(11月27日)の「アウディ フォーラム」で開催される、2つの展示会となる見込みだ。