永らく途絶えていたターマックコースが5年振りに復活
2015年の全日本ラリー選手権・第2戦「久万高原(くまこうげん)ラリー」が、5月9日(土)・10日(日)の両日で開催された。
開催エリアは、例年に準じた、愛媛県上浮穴郡久万高原町の山岳地帯だが、ここのところ、永らく途絶えていたターマック(舗装)コースが5年振りに復活した。
総走行距離277kmのうち、競技区間となるスペシャルステージ(以下、SS)が9箇所、合計走破距離108.23kmの長丁場となった。
スバル勢の新型WRX STIが1-2-3フィニッシュ
これは他の全日本選手権に比べても、SS距離が群を抜いて長い。また、標高で1500mにも達する高地が決戦の舞台となっていることから、平地とは異なるシビアなエンジンセッティングが求められる。
そうしたなか、初日をトップで折り返した新井敏弘選手/田中直哉選手組(スバルWRX STI)が、2位との差を1分18秒1まで広げて今季初優勝を飾った。
2位には、炭山裕矢選手/保井隆宏選手組(スバルWRX STI)、3位には、鎌田卓麻選手/市野諮選手組(スバルWRX STI)が食い込み、新型スバルWRX STIが表彰台を独占する結果となった。
初日は、トップドライバーがリタイアするサバイバルラリーに
ラリー初日は時折、雨模様となる天候下、ウエットの難しい路面コンディションで競技がスタートした。
初日の5月9日に用意されたSSは、都合5本。開幕戦の唐津で、サスペンションやアライメントなどのマシンセッティング全体を、改めた新井(敏)選手(スバルWRX STI)が、SS1でベストタイムを叩き出す。
続く3.3秒差の2番手には、ハッチバックのWRX STIを駆る新井(敏)選手の息子・新井大輝選手/伊勢谷巧選手組が続いた。一方、前戦の唐津で優勝をもぎ取った、勝田範彦選手/足立さやか選手組(スバルWRX STI)は、初回11番手と大きく出遅れた。
SS4では、コースアウトでリタイア続出
続くSS2では、再び新井(敏)選手がベストタイムをキープ。好調の新井選手から出遅れていた勝田選手(スバルWRX STI)も、ステージ2番手の好タイムで盛り返し、総合3番手に返り咲く。結果、午前中のSS2を終えた段階で、上位5台をスバルが独占する結果となった。
初日は後半に入っても、新井敏弘選手と新井大輝選手の親子ペア(共にスバルWRX STI)の勢いは止まらず、SS3も新井(敏)選手がベストタイム。ステージ2番手タイムを、息子の大輝選手が獲得し、親子の1-2体制で後続を引き離しに掛かる。
しかし続くSS4では、勝田(範)選手、新井(大)選手、竹内源樹選手/加勢直毅選手組(共にスバルWRX STI)がコースアウトでリタイア。
そうした荒れた競技のなかで、着実に首位を走り続ける新井(敏)選手は、SS4、SS5でもさらなるベストタイムを連発。既にこの時期から、総合2番手につけた炭山裕矢選手/保井隆宏選手組(スバルWRX STI)に45.6秒という大差を築く。
Shooting Copyright: gng2887
新井(敏)選手を追う3番手は、徳尾慶太郎選手/石田一輝選手組(三菱ランサーエボリューション)、4番手は、鎌田卓麻選手/市野諮選手組(スバル WRX STI)というポジションとなった。
猫の目のように変わる最終日の各SSコンディション
翌5月10日(日)の天候は晴れ。最終日のステージは、2箇所の林道を2度走行する4SSだ。
しかしこの14.16kmのSS6とSS8は、ドライ路面ではあるが、前日の雨の影響で砂利や泥が路面に浮く難しい状況。一方、17.58kmのSS7/9は完全なドライコンディションとなった。
この日最初のSS6では、前日リタイアを喫した勝田範彦選手/足立さやか選手組(SUBARU WRX STI)が、前日の深夜にマシンを修復して戦線に復帰し、デイポイントの獲得を目指してベストタイムを刻む。
2番手には、鎌田卓麻選手/市野諮選手組(SUBARU WRX STI)が浮上。鎌田選手は、続くSS7でベストタイムを記録して総合順位でも3番手へと浮上した。
サービスを挟んで、ラリーはいよいよ残りの2ステージへ
首位を走り続けて来た新井選手(SUBARU WRX STI)は、この時点で2番手の炭山裕矢選手/保井隆宏選手組(SUBARU WRX STI)に1分の差をつけながら、最終のSS9を3番手のタイムでフィニッシュして、新型WRX STIを初の全日本ラリー優勝に導いた。
加えて、鎌田選手(SUBARU WRX STI)は、SS9でベストタイムを獲得。これにより新型WRX STIが、表彰台を独占する1-2-3フィニッシュとなった。
一方JN5では、前戦のJN5で、クラス4位を獲得した柳澤宏至選手/中原祥雅選手組(プジョー208GTi)が、初日を2番手で折り返したのに対して、34.7秒差のリードで2日目を迎えた眞貝知志/漆戸あゆみ組(アバルト500ラリーR3T)が、なんとSS7でコースアウト。無事コースには復帰したのだが、クラス最下位まで脱落する。
JN5はデビュー2戦目のプジョー208GTiがクラス優勝
ここで、初日にドライブシャフトを折損しながらも、諦めずに追い上げてきた柳澤選手(プジョー208GTi)が、眞貝選手の脱落で1位の座を手中にする。
柳澤選手(プジョー208GTi)は、同じく眞貝知志選手(アバルト500ラリーR3T)の脱落で、2位に浮上した天野智之選手/井上裕紀子選手組(トヨタ・ヴィッツGRINターボ)の追い上げを気迫の走りで退け、デビュー2戦目のプジョー208GTiでクラス優勝、総合順位でも4位を獲得することとなった。
話題のJN4クラス、パンダ86が3位入賞
JN4クラスは、初日トップの香川秀樹/浦雅史組(ホンダ・シビックtypeR)が逃げ切っての初優勝。石川昌平/石川恭啓組(SUBARU WRX BRZ)が2位でフィニッシュ、JN4クラスの首位に立った。
同クラスに出走して話題を蒔いた新劇場版「頭文字D」公式ラッピングカーの2台(パンダカラー&赤黒)のうち、パンダ86の番場彬/織田千穂組がJN4クラス3位に入賞している。
一方、赤黒86の(モルフォ頭文字D サミーK186)に乗るレーシングドライバーの織戸学選手/坂田智子選手組は、ラリー初参戦で、SS1クラス2番手タイム、SS2ではなんとクラストップタイムをマークしたものの、残念ながらSS3でサスペンションを痛め、優勝戦線から離脱することとなった。
プジョー208GTiの安定性が速さを発揮した:柳澤選手
JN3クラスは、初日トップの岡田孝一/鶴田邦彦組(マツダ・デミオ)が開幕2連勝、JN2クラスは高橋悟志/箕作裕子組(トヨタ・ヴィッツRS)が今季初優勝を飾った。
2014年・第3戦以来の全日本ラリー優勝を手にした新井選手は、「第1戦から第2戦のインターバルの間に、4回テストを行い、徹底的にセッティングを見直し、海外ラリーで走るような方向性にマシンセッティングを見直したことが、今回の結果に結びつきました」と笑顔で語った。これで新井(敏)選手は、JN6クラスのランキングトップに浮上。
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JN5クラス優勝の柳澤選手は、「チームとしては、まだプジョー208GTiの車両セッティングを詰めている段階ですが、デビュー2戦目で初優勝を獲得できたことは、本当に光栄です。
プジョー208GTiは、挙動が安定していて乗りやすいので、今回のような路面コンディションが難しいラリーでは、その性能が大きな武器となりました。安定した速さを発揮したことが、優勝につながったと思います」と語った。
以下RESULT
JN-6
1. 新井敏弘/田中直哉組、フジスバルアライモータースポーツWRX
2. 炭山裕矢/保井隆宏組、ADVAN CUSCO WRX-STI
3. 鎌田卓麻/市野諮組、SYMS・TEIN・DUNLOP・WRX・STI
JN-5
1. 柳澤宏至/中原祥雅組、ADVANクスコRALLY+208GTi
2. 天野智之/井上裕紀子組、豊田自動織機・ラックDLヴィッツGRMN
3. 大倉 聡/北田 稔、TOYOTAGAZOORacing86
JN-4
1香川秀樹/浦雅史組、BRIG ラック シビックタイプR
2石川昌平/石川恭啓組、ARTAオートバックスBRZ
3番場彬/織田千穂組、「藤原とうふ店(CUSCO用)」
JN-3
1岡田孝一/鶴田邦彦組、キーストーンナビゲーターDLデミオ
2武田雄一郎/鈴木和人組、シロキヤ・DL・BRIGヴィッツwCCP
3鷹野健太郎/尼子祥一組、WelcomeJPN・Mazda2
JN-2
1高橋悟志/箕作裕子組、ミツバWMDLラックマジカル冷機ヴィッツ
2鈴木尚/山岸典将組、スマッシュitzzコマツスイフト
3松田保夫/杉原慶彦組、SRS-RX8
OP-2
1松岡竜也/縄田幸裕組、DL・BRIG・WAKO`Sランサー
OP-1
1石田貴久/巽啓太郎組、C&A Racing 86
2小泉茂/小泉由起組、TG厚木OKU安斉自工ADVANマーチ
3小川剛/今村淳一組、O・T・S ANオートVitz
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