OAC、第5回「一行タクシーのフレーズ募集」選考結果を発表

日本広告業制作協会(OAC)は、東京の街に繰り出したくなる言葉で人と街を元気にすることを目的に、ラッピングタクシーの他、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会のホームページ・宣伝・販促物に使用されることなどを目的に、街を歩いていて、乗りたくなる「一行フレーズ」を掲載したラッピングタクシーのコピー募集として 「気持ちもノセル一行タクシー」の募集を行い、その選考結果を7月31日に公表した。

同募集と選考は、今年5回目の開催となるもので、今回は21,704本と過去最高の応募数になったという。選考では、まず一次選考で680本の一行フレーズを絞り、日本広告業制作協会のコピーライターチーム、東京ハイヤー・タクシー協会で最終選考を行い、最終的にタクシーにラッピングするフレーズ4本の決定にに至った(タクシー協会3作品・OAC1作品 *今回からOAC選考作品もラッピングされることになった)。

日本広告業制作協会では、道行く人がふと目に留めたフレーズを瞬間的にどう感じるか、その視点は常に持ってほしいと思います。〝クスッ〟と笑えたり、〝ああ、なるほどね〟、とか気持ちが動くフレーズに、今後も出会いたいと思います。暑い日が続きますが(これを書いているのは7月28日)、それこそ熱中症対策は忘れずに、8月の東京で4作品のフレーズを載せたタクシーを探してみてください」と結んでいる。その最終結果は以下の通り。

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一般社団法人 ハイヤー・タクシー協会 選出
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最優秀賞
東京を 走る・見守る・進化する
竹泉 維人(熊本県)

優秀賞
変わる世に 変わらぬ安心 これからも
佐藤 和子(神奈川県)

優秀賞
乗車中 ココロもカラダも 充電中
東 明彦(大阪府)

<入賞作品>
人と人 街と未来を つなぎたい 土屋 憲佑(山梨県)
並ばずに アプリで呼べる 令和流 若松 清孝(神奈川県)
タクシーが まちの治安を パトロール 徳永 良太(鹿児島県)
疲れたら、少し休憩。タクシーで。 大嶋はるみ(大阪府)
父さんの 真似して挙げる もみじの手 中島 裕子(愛知県)
タクシーに 笑顔が並ぶ 三世代 高橋 涼子(大阪府)
涼しんで、御冷申し上げます。 田中 豊(三重県)

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公益社団法人 日本広告制作協会(OAC) 選出
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OAC賞
走る熱中症対策!
仁井田 京子(福島県)

<入賞作品>
今日こそは 前髪キープで 会いに行こう 林 太一 (東京都)
この季節、よく「天国」と言われます 廣渡 良(神奈川県)
実は、街の安全もタクされてます 関川 阿香(東京都)
冷房も愚痴もきいてます。 大井 慎介(静岡県)
SOS どうぞ私に手を上げて 佐々木 恭司(神奈川県)
忘れ物、愛とAIで探します 松山 まどけい(東京都)
タクシーが 足になります 返納後 角森 玲子(島根県)
その疲れ、車内でお預かりします 菊地 海都(神奈川県)
おもしろい東京は、駅から遠い。 山崎佑太(東京都)
終電を気にせず行けるもう1軒 駒井 浩昭(兵庫県)

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選考に係る、日本広告制作協会の各選考委員のコメントは以下の通り

株式会社博報堂プロダクツ  大塚 由紀
生活者にとって、瞬時に自分へのメリットが理解できること、思わずタクシーに手を挙げたくなること、を基準に選びました。掲出時期が8月ということもあり「熱中症対策」というスピード感のある言葉が際立っていたと思います。同じ切り口で「夏の必需品。水分・塩分・タクシー。」「乗れば天国。歩けば地獄。」といったコピーも秀逸でした。個人的には、「両手に花も。両手に荷物も。」というコピーにも一票!です。乗る人の光と影、シーンがリアルに浮かびました。総じて力作揃いで、2万本を超えるコピーの中から選ぶ苦しさと面白さを味わわせていただきました。

株式会社スタヂオ・ユニ  川畑 豊
さすが2万点を超える応募から選ばれた作品には、移動手段としてのタクシーに “感情” という目に見えない価値を乗せた、詩的で本質的な表現がたくさん見られ、選考に迷うことしきり。言葉の余白が想像力を広げ、短い一行に、サービスの哲学と人間味、そして、機能が凝縮されており、キャッチコピーの力を改めて感じさせてもらいました。街で「一行タクシー」を見かけたら、思わず手を挙げてしまいそうです。

株式会社アドブレーン  萩原 美佳
応募数が2万本を超えると、似通ったコピーがたくさんあります。何を言うか、という視点も当然被ります。ですが、ちょっと言い方をずらしてみる。そうすると、他とは違う、きらっとする何かが見える。それがコピーの面白いところです。最後まで選ぶか迷った「今日こそは前髪キープで会いに行こう」には、視点の新しさと、今の時代の空気を感じました。近年の酷暑という課題を乗り切るための一手段として、タクシーをもっと使ってほしいという思い。多くの人に瞬時に伝わる機能性のある表現。そうした基準から、「走る熱中症対策!」に票を入れました。

株式会社電通クリエイティブピクチャーズ  藤田 洸介
わたしたちに与えられた採用枠は1本。「こういうのがあってもいいじゃん!」というノリではとても選べませんでした。最終的に残ったものは、あらゆる粗さがしに耐えたものです。日本語的にヘンでないことはもちろん、タクシーの未来を1本で背負える訴求点の大きさも求められました。結局のところ、勝負は1本に込められた総合力で決まります。さまざまなアプローチを試すことは大切ですが、最終的にはあらゆる観点で見直して、「いろんなのを出すうちの1本」ではなく「ベストだと思う1本」を仕上げることが重要だと、わたし自身も勉強になりました。

株式会社アクロバット  田中 貴弘(審査委員長)
タクシーの良さをエモーショナルに伝えるものから、ストレートに特長を打ち出したものまで多様な切り口が揃い、選定にたいへん迷いました。その中で、近年の猛暑という社会背景を無視できない現状において、タクシーをただの移動手段ではなく「暑さからの避難所」として提案しているコピーが強く印象に残りました。特に、「熱中症対策」という端的なワードは目に留まりやすく、実用的かつ伝わりやすいと評価しました。この夏、このコピーが少しでも多くの日の目に触れ、一人でも多くの熱中症を防ぐ一助となることを願っています。

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なお併せて、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会では、8月末までの期間に於いて、例年恒例の「タクシーに関するアンケート調査(東京特別間・武三交通圏/東京特別区・23区と武蔵野市、三鷹市を合わせたタクシーの営業区域を指すもの)」を実施している。ちなみに前年2024年度(第33回)の調査報告はリンクのPDF(1.7MB)の通り。