WRC第9戦フィンランドDay2、TGRのロバンペラが首位に浮上

TGR-WRTでは勝田は総合4位で続き、パヤリは総合5位につける

8月1日(金)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の競技2日目デイ2が、フィンランドのユバスキュラを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(GR YARIS Rally1 69号車)が首位に立った。

TGR-WRTでは、勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)が総合4位に。TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)が総合5位。

セバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(17号車)が総合6位、エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車) が総合7位につけた。

エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車)

TGR-WRTが、この結果を得る前日の夜、ユバスキュラ中心部でのSSS1「ハルユ1」で戦いがスタートしたラリー・フィンランドは、金曜日の朝から森林地帯のステージで本格的な戦いがスタートした。

ユバスキュラのサービスパークの北側から東側にかけてのエリアで、4本のステージを各2回走り、一日の最後にはSSS10として「ハルユ2」を走行。9本のステージの合計距離は114.52kmとなった。

金曜日は朝から青空が広がり、爽やかな一日の始まりとなった。しかし、午前中のループの最後に雨が降り始め、午後は雨が降ったり止んだりの非常に不安定な天気へ。そのため路面は刻々と変化し、非常に難しいコンディションでの戦いになった。

まず朝のステージはドライコンディションとなり、多くの路面はルースグラベルに覆われ非常に滑りやすい状態。

そのため、出走順が早いドライバーにとってはかなり不利に、一方で出走順が遅いドライバーにとっては有利な条件での戦いになった。

サミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)

オープニングステージのSS2「ラウカー1」では、8番手スタートのパヤリ選手がベストタイム。

パヤリ選手は約1年前にこのラリーでRally1デビューを果たし、いきなりキャリア初のベストタイムを記録したが、今回も、その時以来となるベストタイムを刻んだ。

2番手タイムは、パヤリ選手と0.1秒差の勝田選手。勝田選手とロバンペラ選手は、SS2で首位の座を分けあうことになった。

続くSS3「サーリカス1」では、出走順4番手のロバンペラ選手がベストタイムを刻み単独首位に。勝田選手は総合5位に順位へと順位を下げた。

勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)

その後、SS4「ミヒンパー1」でロバンペラ選手が、SS5「ルーヒマキ1」でパヤリ選手が各々再びベストタイムを記録したことで、GR YARIS Rally1は午前中の4ステージ全てを制覇。首位ロバンペラ選手は、総合2位アドリアン・フォルモー選手(ヒョンデ)に対し4.4秒のリードを築いた。

その後、ユバスキュラでのミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージは、降雨により路面が湿り、多くの水溜まりができるなど非常にトリッキーな路面での戦いとなった。

午後1本目のSS6「ラウカー2」では勝田選手がキャリア50回目となるベストタイムを刻み、ロバンペラ選手と3.3秒差の総合2位にジャンプアップ。

続くSS7「サーリカス2」ではロバンペラ選手がベストタイムで、ふたりの差は5.7秒に拡がった。

カッレ・ロバンペラ

SS8「ミヒンパー2」では、ティエリー・ヌービル選手(ヒョンデ)が総合2位に順位を上げ、勝田選手は総合3位に後退。

さらに、SS9「ルーヒマキ2」では総合4位に後退したが、それでも首位ロバンペラ選手との差は8.6秒と、僅差の戦いが続いた。

一日の最後の午後には再び「ハルユ2」のステージが行われ、競技が始まる前には前日に続き、水素エンジンを搭載するGR Yaris Rally2 H2 Conceptがデモ走行。

助手席に日本人メディアを乗せ、TGR-WRTチーム代表代行のユハ・カンクネン選手がクリーンかつ迫力のある走りを大勢の観客の前で披露した。

デモ走行の後に始まったハルユ2では、6番手タイムのロバンペラ選手が、総合2位のヌービル選手に対し4.9秒のリードを守り首位でデイ2を走破。

2番手タイムの勝田選手は、ロバンペラ選手と8.1秒差、総合3位のフォルモー選手と0.4秒差の総合4位で一日を終えた。

また、パヤリ選手は勝田選手と7.6秒差の総合5位につけ、トップ3を狙える好位置で金曜日を締め括った。

セバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(17号車)

出走順3番手のオジエ選手と、2番手のエバンス選手は、朝のステージでルースグラベルの掃除役を担い、非常に不利なコンディションでの走行を強いられた。

更に午後は水溜まりが多くできた路面で少なくないタイムを失ったが、それでもオジエ選手はパヤリと1.9秒差の総合6位、エバンス選手はオジエ選手と8.4秒差の総合7位につけてている。

最後にサポート選手権のWRC2でも、一日を通して僅差の戦いが続き、GR YARIS Rally2のドライバーはローペ・コルホネン選手(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)が首位に。

ゲオルグ・リンナマエ選手(エストニア/レッドグレイ)は3位、TGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ選手(フィンランド)は4位、TGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀選手は6位につけた。

 

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
良い一日だったと思います。カッレはエストニア後少し自信を失っていましたが、今日は笑顔でサービスに戻ってきたので本当に良かったです。

このようなハイスピードなラリーでは、自信を持って全力で攻める必要がありますが、今日のカッレはまさにそれを実践していました。彼がラリーをリードしている姿を見ることができて嬉しいです。

貴元とサミも今日はとても速く、彼らがステージで優勝し、上位につけていることを嬉しく思います。エルフィンとセブも、午後の難しい天候の中でよく走ってくれましたし、上位との差はまだそれほど大きく拡がっていません。

ドライバーとファンにとって、これからの2日間はさらにエキサイティングな日々になると思います。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
朝は良いスタートを切ることができました。暑く乾燥した天候が続いた後だったので、予想していた通りルースグラベルを少し掃き飛ばしながら走らなくてはなりませんでした。

そのことを考えると私たちはかなり調子が良く、タイムも非常に接近していました。残念ながら午後は雨が降って轍に水がたまり、非常にトリッキーなコンディションになったため、私たちにとってはあまり有利な状況ではありませんでした。

そのため今日の結果には少しがっかりしていますが、明日は大切な一日ですし、驚くような天気になる可能性もあるので、引き続きベストを尽くして戦います。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちにとっては良い金曜日でした。首位争いをすることができましたし、多くの人々が応援してくれたので、とても楽しかったです。

クルマのフィーリングはまだベストとは言えませんが、ハードにプッシュしましたし、速く走るために多くの作業を重ねてきたので、良くなりつつあります。

午後は雨が降ってトリッキーでしたが、それでも良いタイムを記録しリードを守ることができました。明日も良い流れを保ち続けられることを願っています。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
今日は簡単なコンディションではありませんでした。朝はドライコンディションだったので少し路面のクリーニングが必要となり、いくつかの場所で十分に力を発揮することができず、少しタイムを失いました。

午後の雨は、私たちを含む出走順が早いドライバーにとっては少し難しかったですが、それほど悪くはありませんでした。改善できる点はいくつかあったと思いますが、それでもポディウム圏内からそう遠くない位置にいるので、明日はポディウムをかけて戦います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
朝は最初から良いフィーリングでした。いくつかのステージでは苦戦しましたが、クルマに少し調整を加えたところすぐに良くなりました。午後、雨が降ってきた時はプッシュすべきタイミングだと思いました。

すぐに良いフィーリングが得られましたし、ベストタイムを記録することもできました。その後もフィーリングは良かったのですが、トリッキーな轍や段差で少しタイムを失ってしまいました。それでもギャップは小さいですし、まだ長い距離を走るので、集中力を切らさずプッシュし続けます。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
自分たちにとっては本当に安定した一日でした。午前中は2本のステージで優勝し、総合3位につけるなど良いスタートでしたが、まだ改善の余地があるとも感じました。

午後は少し難しいコンディションになりましたが、それでもトップから大きくは離れていません。全員が非常に接近しており、大きな差をつけるのは難しい状況です。

ホームラリーで戦うことができているのは本当に素晴らしく、大勢の観客の皆さんが応援してくれることも嬉しいので、残り2日間も楽しむことができそうです。

 

ラリー・フィンランド デイ2の結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 56m31.6s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +4.9s
3 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +7.7s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +8.1s
5 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +15.7s
6 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +17.6s
7 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +26.0s
8 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +40.5s
9 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +1m06.0s
10 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m07.2s
(現地時間8月1日21時00分時点のリザルトです。最新リザルトは https://www.wrc.com/en を確認されたい)

 

明日のステージ情報
競技3日目となる8月2日(土)のデイ3は、ユバスキュラの南西エリアで「パルッコラ」「バスティラ」「パイヤラ」「レウストゥ」という4本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走る。8本のステージの合計距離は142.16kmと4日間で最長、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は605.68kmとなる。

 

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