WRC第9戦フィンランドDay3、TGRのロバンペラを勝田が追う展開に

8月2日(土)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」の競技3日目デイ3が、フィンランドのユバスキュラを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(GR YARIS Rally1 69号車)を勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)が追う展開になっている。

18号車(勝田 貴元、アーロン・ジョンストン)

続く総合3位はセバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(17号車)。エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車) は総合4位に順位を上げ、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)は総合5位を守った。

ラリー・フィンランドのデイ3は、サービスパークが置かれるユバスキュラの南西エリアが戦いの舞台に。「バスティラ」「パイヤラ」「レウストゥ」という定番の3本に、新しい「パルッコラ」を加えた4ステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。

8本のステージの合計距離は142.16kmと、4日間で最長となった。また土曜日は雲が多い朝となったことで、幾つかのステージで雨が降り、多くの路面がウェットコンディション下での戦いとなった。

エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(33号車)

しかも雨の量により路面のグリップは大きく変化。一日を通して非常にトリッキーな路面での攻防が続いた。

前日、金曜日のデイ2で総合2位のティエリー・ヌービル選手(ヒョンデ)に4.9秒差をつけ、トップに浮上したロバンペラ選手は、デイ3午前の4ステージのうち3ステージでベストタイムを刻み、ヌービル選手との差を14.7秒に拡大。SS14「レウストゥ1」は彼にとって、WRC通算250回目のベストタイムを記録した記念すべきステージとなった。

カッレ・ロバンペラ

デイ2で総合4位につけた勝田選手は、表彰台をかけて総合3位のアドリアン・フォルモー選手(ヒョンデ)と僅差の戦いを展開。SS13では2番手タイムを記録した。

また、その後方では前日の不利な出走順から開放されたオジエ選手とエバンス選手がペースアップ。オジエ選手は、パヤリ選手を抜き総合5位に順位を上げたことで、パヤリ選手は総合6位に後退した。

ミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージの1本目、SS15は強い雨によりグリップが大幅に低下。このステージではオジエ選手がベストタイムを刻み、3番手タイムのエバンス選手がパヤリを抜き総合6位に順位を上げた。

続くSS16は一転、土煙が立つドライコンディションでの戦いとなり、パヤリ選手がベストタイムを記録。

5号車(サミ・パヤリ、マルコ・サルミネン)

また、上位に大きな変動があり、総合2位のヌービル選手と総合3位のフォルモー選手がタイヤのエアーを失い大きく後退。

その結果、首位ロバンペラ選手を筆頭に総合2位が勝田選手、総合3位オジエ選手、総合4位エバンス選手、総合5位パヤリ選手と、TGR-WRTのドライバー全員がトップ5を独占した。

その後、SS17とSS18ではロバンペラ選手が連続でベストタイム。勝田選手はSS18で金曜日2回目のセカンドベストタイムを刻み、TGR-WRTはトップ5を独占したままデイ3を終えた。

17号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)

サポート選手権のWRC2クラスでのGR Yaris Rally2勢は、ローペ・コルホネン選手(フィンランド/ラウティオ・モータースポーツ)が首位を堅持。

TGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラ選手(フィンランド)が、1.8秒差の2位に順位を上げた。

また、前日のSS9「ルーヒマキ2」でキャリア初のWRC2ベストタイムをラトバラ選手とシェアした、TGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀選手は、4位に順位を上げた。

 

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
今夜、我々の全ドライバーがトップ5に入り、1位から5位までの差が1分以内であることを、当然ながら非常に嬉しく思っています。

今日の午後まで、ライバルたちと素晴らしい戦いが続いていました。元ドライバーとしての立場から思うに、2人のドライバーが同じ石に当たってしまったことは、少し不公平に感じられたことでしょう。

明日、我々の全ドライバーは自由に走ることができます。追加で10ポイントを獲得可能ですし、ドライバーたちは調子が良く、クルマも良好な状態ですので、私からは、頑張れ! としか言えません。

オウニンポウヤは世界で最も素晴らしく、速いステージの一つですし、すべてのドライバーが気に入っています。2回目の走行でもコンディションは良好なので、走っても観ても非常に楽しい最終日になるでしょう。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
私たちにとって今日は良い一日でした。チームメイトとの戦いは、ほとんどのステージで僅差の接戦でした。午後の最初のステージは降雨によりトリッキーなコンディションだったので、乗り切ることができて良かったです。

それ以外はかなり安定した楽しい一日でしたし、明日も楽しみです。オウニンポウヤは高い集中力が必要なステージですが、自分たちのベストを尽くせば、きっと楽しい一日になるでしょう。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちとチームにとって、非常に良い一日でした。今日の午後は、多くの場所がトリッキーなコンディションでしたが、うまくペースをコントロールすることができました。

クルマのフィーリングは少し良くなり、大きなリスクを冒さなくても良いタイムを出すことができたのは、良い兆候です。このような過酷なステージで戦うことになる日曜日は、きっと難しい一日になるでしょう。

全員がハードにプッシュすると思いますし、もちろん自分も確実に勝利を狙っていきますが、チャンピオンシップのために、できるだけ多くのポイントを獲得する必要もあります。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
今日は、ペースがまだ少し足りておらず、素晴らしい仕事をしたとは思っていません。クルマは運転しやすかったのですが、限界までプッシュするための、あと少しの何かが欠けており、それによってこのような超高速ステージでタイムを失っていると思います。

明日に向けてはいくつかアイデアがあるので、それが奏功することを願っています。明日はオウニンポウヤのみの一日です。シーズンで最も美しいステージですし、ラリーの決戦の場としてもパーフェクトです。

運転するのはいつも楽しいですし、全員がポイント獲得を目指してプッシュするので、きっと素晴らしい戦いになるでしょう。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
波乱の一日でしたが、最終的に総合2位で終えることができたので、満足しています。今日は主に、リスク管理に重点を置いていました。

セブとエルフィンと戦いながら、リスク管理のバランスを取ることは簡単ではありませんでしたが、上手くいきました。明日はスーパーサンデーとパワーステージがあるので決断は簡単、ただフラットアウトで臨むだけです。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
今日もまた安定した一日でした。セブとのバトルは、とくに午前中は本当に接戦でした。午後の1本目のステージは雨だったので少し慎重に走りましたが、2本目にはベストタイムを記録することができました。

全体的には悪くない一日だったと思いますし、楽しみながら学習を続けています。明日は完走が主な目標ですが、速く走りたいとも思っています。オウニンポウヤは本当に素敵なステージですし、全力で走らないと無駄になってしまうので、楽しみたいと思います。

 

ラリー・フィンランド デイ3の結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h01m28.8s
2 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +36.1s
3 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +42.9s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +44.4s
5 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1) +59.2s
6 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +1m54.7s
7 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m23.7s
8 ジョシュ・マッカーリーン/オーエン・トレーシー (フォード Puma Rally1) +3m28.3s
9 グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ (フォード Puma Rally1) +4m27.9s
10 マールティンシュ・セスクス/レナールス・フランシス (フォード Puma Rally1) +4m38.7s
(現地時間8月2日20時00分時点のリザルト。最新リザルトは https://www.wrc.com/en を確認されたい)

 

明日のステージ情報
ラリー最終日となる8月3日(日)のデイ4は、ユバスキュラの南西エリアで「オウニンポウヤ・デイ」として、今大会最長となる23.98kmの「オウニンポウヤ」のステージのみを、ミッドデイサービスを挟むことなく2回走行。

ラリー・フィンランドでもっとも人気が高いこのステージの2本目、SS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されている。

また、最終日のみの合計タイムで順位を競う「スーパーサンデー」では、最大5ポイントを獲得することができる。2本のステージの合計距離は47.96km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は220.67kmとなる。

 

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