TDK、EV電源事業強化のため一部開発業務を田淵電機へ委託


TDK株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:石黒 成直、以下TDK)は10月27日、電気自動車やハイブリッド自動車向け電源機器事業の強化のため、各種パワーコンディショナを扱う田淵電機株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:貝方士 利浩)に開発業務の一部委託を行うことで合意した。

TDKと田淵電機は、2007年から資本業務提携をしており、今回の一部開発業務の委託はその一環となる。

TDKにとって、今回の一部開発業務委託の目的は、今後世界各地で厳格化の傾向にある自動車の燃費規制(CO2排出規制)に伴うもの。

具体的には、さらなる需要の伸びが期待される電気自動車やハイブリッド自動車に必要不可欠な「DC-DCコンバータ」や、「車載用充電器」などのEV電源製品のさらなる売上拡大のため。

写真はxEV用車載DC-DCコンバータ。xEVのメインバッテリの高電圧を、車載電子機器用の低電圧に高効率変換して供給する電源。国内外問わず、多くのメーカーxEVに採用されていると云う。

これを背景に田淵電機が多年にわたり太陽光発電システムで培ったパワーエレクトロニクスの技術とノウハウを生かし、TDKの新製品開発のスピードアップにつなげていく。

TDKでは、「近い将来の自動運転の普及や、電気自動車など環境対応車の需要増大を見据え、車載用電源のみならず、各種の受動部品、センサ、磁石など、TDKが得意とする車載用製品の事業拡大をはかってまいります」と述べている。

写真は車載用充電器。PHEV/BEVメインバッテリを高効率で充電。最適設計により、業界最小クラスの大容量・高効率のバッテリ充電器を車載品質で実現している。

そもそも田淵電機は、車載用機器分野に関しては、従来から、主にトランス、リアクタ等の大型受動部品分野に関して活動を進めてきた。

そして今回、新たにパワーエレクトロニクス分野に於いて、本格的に車載用機器を事業領域に取り込む。この取り組みにより、将来的な駆動モータ用インバータ開発も視野に入れた活動を推進していく構えだ。

なお田淵電機株式会社は、1925年に珪素(電磁)鋼板の切断加工で創業。現在では“ZEBRA”ブランドの各種トランスをはじめ、ゲーム機用電源アダプタ、“EneTelus”ブランドの太陽光発電用パワーコンディショナなど、エレクトロニクス分野における幅広い製品を提供している。

日本、中国、東南アジアの製造拠点を中心としたモノづくりと、日本、中国、東南アジア、 アメリカ、欧州での販売ネットワークを有し、地球環境にやさしいエネルギー先進企業として“Global Power-Solution Company”となることを目指した事業を展開中。2017年3月期の売上は約262億円、従業員総数は全世界で約3,700人となっている。

一方、TDK株式会社(本社:東京)は、各種エレクトロニクス機器に於いて幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立された。

主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、センサおよびセンサシステム、電源など。

これらの製品ブランドとしては、TDK、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがある。

さらに、HDDヘッドやマグネットなどの磁気応用製品、そしてエナジーデバイスやフラッシュメモリ応用デバイス等も提供している。

事業拠点はアジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、現在、情報通信機器、コンシューマー製品、自動車、産業電子機器の分野に於いて、電子部品のリーディングカンパニーを目指しビジネスを展開している。

2017年3月期の売上は約1兆1800億円で、従業員総数は全世界で約100,000人となっている。