E-Prix最終、英・屋内外複合コースを舞台にふたつのタイトルを争う

ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、2025年7月26日と27日に、屋内外を跨がってフォーミュラEマシンが駆け抜けるエクセルアリーナの戦いで(第15ラウンドと第16ラウンド)で締め括られる。

しかも先のベルリン戦で、オリバー・ローランド選手が念願のFIAドライバーズ・ワールドチャンピオンシップを獲得した一方で、チームタイトル、メーカータイトルを巡る攻防は依然として混戦模様だ。

現在、その行方はタグ・ホイヤー・ポルシェが両カテゴリーで優位に立っている。しかし日産が彼らのリードにひっくり返す可能性も残されている。従って最終戦は定番の消化戦ではなく緊縛のダブルヘッダーになる。

そんなFIAチームズを巡る戦いでは、タグ・ホイヤー・ポルシェが228ポイントで首位を走るが、日産が205ポイントでその直後に迫る。

ポルシェは、シーズンを通して力強いパフォーマンスを発揮し、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ選手とパスカル・ウェーレイン選手はマイアミでのウェーレイン選手の優勝、そしてジュリアス・ベアのポールポジション獲得3回を含む計9回の表彰台獲得に貢献した。

一方、日産はローランド選手の活躍により、チーム全体の獲得ポイントのうち184ポイントを稼ぎ出した。

マイアミでポールポジションに輝いたチームメイトのノーマン・ナト選手は、他のレース活動のためベルリンでの2レースを欠場した後、今回のロンドンで日産チームへ大量ポイントを獲得したい考えだ。

更に今シーズンから導入されたFIA公認のFIAマニュファクチャラーズ・ワールドチャンピオンシップでも、ポルシェはランキングトップに立つ。

このポルシェの成功は、カスタマーチームのアンドレッティとクプラ・キロの貢献によって支えられている。併せて2位に留まっている日産も、カスタマーチームのNEOMマクラーレンの活躍に支えられている。

ロンドンのE-Prixのファンは、日産が順位をひっくり返し、ドライバータイトル獲得と共に、チームタイトル、メーカータイトルのトリプルタイトルを獲得する可能性にも注目している。そんな2025年ロンドンE-Prixは、7月26日土曜日、現地時間17:05(UTC 16:05)にスタートする。

ちなみに英国の首都ロンドン中心部に位置するエクセル・ロンドン・サーキットは先の通り、ABB FIAフォーミュラE世界選手権のカレンダーでも他に類を見ない屋内と屋外セクションが巧みに融合したこのサーキットとなっていて、ドライバーにとっては試練の場でもあり、シーズン最終戦に相応しいトリッキーな舞台でもある。

全長2.08km、20コーナーのサーキットは、滑らかでグリップ力の高い屋内路面からスタートする。ドライバーはコーナーを次々と素早くクリアし屋外へと飛び出す。

しかしコースは次第に野外へと移り、この変化によって路面コンディションは劇的に変化するのだ。滑りやすい金属路面の次には、展示センターを囲む摩耗性の高いアスファルト路面が続く。

屋外セクションには、オーバーテイクに最適な流れるようなシケインと、ドライバーがメインホールに戻って周回を完了するまでの一連の難関コーナーが待ち受ける。

路面、標高、照明が常に変化するこの変化は、特に雨天時には更に複雑な状況を作り出し、ファンや競技者にとって飽きることのない、スリリングで予測不可能なレース体験を生み出す。

そうしたなかでレースに組み込まれたアタックモードの場面は、ターン16の外側に戦略的に配置されており、フィニッシュラインまで激しいバトルが続くことを予感させる。そうした意味でロンドン・エクセル・サーキットはチャンピオンシップのドラマチックな結末に相応しい舞台づくりを提供することになりそうだ。

またロンドンE-Prixは、NEOMマクラーレン・フォーミュラEチームにとっては、有終の美を飾るための舞台となる。今シーズン初めに参戦撤退を発表したチームは、地元のファンの前でフォーミュラE選手権を最高の形で締め括れるのかも注目に値する。

そもそもNEOMマクラーレンは、Gen3時代に向けてメルセデスからチームを引き継いで以降、輝かしい実績を築き上げて8回の表彰台獲得などの記憶に残る勝利を手中に収めた。

更に今シーズンだけでも、新人のテイラー・バーナード選手が5回の表彰台と2回のポールポジションを獲得し、チームの揺るぎない闘志を証明した。

サム・バード選手もまた、昨年、マクラーレンの初優勝を決定づける劇的なオーバーテイクでフォーミュラEの歴史に名を刻んだ。おそらくバード選手とバーナード選手は共に、チームの輝かしい記録に新たな栄冠を加えるべく全力で取り組んでいくことになろう。

象徴的なパパイヤカラーで知られるチームは、ロンドンでの最終戦に向けて、NEOMの再構想された工業都市オクサゴンとのコラボレーションにより開発された特別なブルーの「アウェイキット」を発表する。

このユニークなデザインはレーシングスーツにも採用され、ウォーキングを拠点とするチームにとって、個性的で記憶に残る最後の姿となるだろう。

ドライバーのサム・バード選手とテイラー・バーナード選手の今後のキャリアはまだ確定していないが、そうして意味でも自らのアピールの場とするべく彼らには引き続き注力していきたい。

更に祝祭ムードをさらに盛り上げる週末には、豪華なライブミュージックパフォーマンスも予定されている。土曜日のヘッドライナーは、チャート上位アーティストのピクシー・ロット。日曜日には、人気デュオ、リズル・キックスによるエネルギッシュなパフォーマンスも披露される。

2025年ロンドンE-Prixは、7月25日(金)現地時間16:00にフリープラクティス1回目が行われ、決勝レースがスタートする。第15戦は7月26日(土)現地時間10:00にフリープラクティス2回目でスタートします。予選は現地時間12:20に開始され、現地時間17:05(UTC 16:05)に終了する。

7月27日(日)の第16戦は、ダブルヘッダーの2戦目と同じスケジュールで、フリープラクティス3が現地時間10:00、予選が現地時間12:20に開始され、週末のレース2が現地時間17:05に開始される。

英国のファンは、ITVXで予選と決勝をライブで視聴できる。世界各国のファンは、こちらで自国のタイムゾーンのレース日程放送予定を確認されたい。