ユーピーアールが「物流の2024年問題」に関する調査を実施
パレット等物流機器のレンタル事業を担うユーピーアール(本社:東京都千代田区、代表取締役:酒田 義矢)は7月23日、「物流の2024年問題」に関する調査を実施した。
この調査の結果、企業の7割が「人手不足」「コスト圧力」「業務効率」といった課題の影響を実感していることが明らかになった。
こうした課題への対応策として、荷役効率化の切り札である「パレット輸送」への期待が3年前と比較し飛躍的に高まっているという。
さらに自社単独ではこれらの課題解決が難しいと感じる企業が多く、「企業間連携」を重視する戦略へ大きくシフトしていることも明らかになった。
当該調査では、2024年4月の「働き方改革関連法」執行から1年後の現状を明らかにすると共に、3年前に実施した同様の調査結果と比較することで、この間の企業の意識や戦略の変化を捉えた。
調査概要
調査期間:2025年2月27日~2025年3月21日
調査方法:オンラインアンケート
有効回答数:843名
回答者の主な属性:
業種:倉庫/運輸 (46.5%)、メーカー (31.1%)、卸 (12.2%) 等
企業規模:大規模企業 (40.1%)、中規模企業 (42.7%) が中心
1.深刻化する「物流の2024年問題」の影響
7割の企業が影響を実感、コスト増が直撃
「物流の2024年問題」による事業への影響度を尋ねたところ、全体の69.5%が事業への影響を実感していることが明らかになった。
サプライチェーン全体に広がる課題:物流の当事者である「倉庫/運輸業」だけでなく、荷主側の「メーカー」や「卸売業」も影響を認識しており、サプライチェーン全体に広がる課題であることが浮き彫りとなった。
具体的な影響:フリーコメントでは「運賃・物流費の高騰」や「車両・チャーター手配困難」といった声が多数を占め、コストと輸送力の両面で企業活動が圧迫されている実態が示された。
二大課題:影響を実感している回答者に「直近で解決すべき具体的な課題」を尋ねた結果、「人手不足」(56.1%)と、荷役作業の負担となる「手積み手下ろし(手荷役)」(50.8%)が二大課題として挙げられた。
2.今後の展望と対応策のシフト【3年前比較】
最大の懸念は「人手不足」、3年前より深刻化
今後3年間を見据えた課題認識は、3年前の調査と比較して大きく変化している。
危機感の高まり:今後3年間で自社が検討すべき物流課題の有無を尋ねたところ、「ある」と回答した企業は87.2%にのぼり、3年前(79.8%)から7.4ポイント上昇した。
「人手不足」が量・質ともに深刻化:将来の最大の課題は「人手不足」(67.3%)で、3年前(50.0%)から17.3ポイントも急増している。単なる人手の「量」の問題だけでなく、「能力ある人材の不足」や「後進育成」といった人材の「質」に関する課題が指摘された。
対応策のシフト:切り札は「パレット輸送」、期待が飛躍的に増大
課題が深刻化する中、企業が検討する対応策にも明確なシフトが見られる。
最重要施策へ:将来の対応策として「パレット輸送の推進」を挙げる企業は48.6%にのぼり、3年前(25.4%)から23.2ポイントも大幅に増加した。
荷役の効率化と標準化が、人手不足を解消する切り札として強く期待されていることがわかります。
「企業間連携」が新たな戦略軸に:自社単独で、これまで挙げられた課題解決が難しい状況を背景に、「外部パートナーや物流会社同士との連携」(39.3%)が対応策の上位に浮上した。フリーコメントでも「共同配送」等が寄せられ、協調によって活路を見出そうとする動きが活発化している。
3.総括:変革の鍵は「パレット輸送」と「連携」
調査から、多くの企業が物流の構造的な課題に直面し、個社の努力だけでは限界があることを認識し始めている姿が明らかになった。今後の持続可能な物流体制の構築には、以下の視点が不可欠となるだろう。
徹底した効率化・標準化:人手不足や現場負荷を軽減するため、「パレット輸送」の推進は待ったなしの状況。
企業間での「連携・協調」:「共同配送」等を通じて業界全体で輸送網を最適化する視点が、これまで以上に重要となる。また、透明性の高い情報共有のもと、サプライチェーン全体でコストとリスクを分担し、持続可能な関係性を築く視点も不可欠であると考えられる。
調査レポートの完全版
調査の詳細な結果と分析をまとめた調査レポート「物流の2024年問題の影響と今後3年の針路」は、以下よりダウンロードできる。
ダウンロードURL:https://www.upr-net.co.jp/download/report202507/