TGR-WRT、ラリー・フィンランドで今季8勝目を目指す

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、7月31日(木)から8月3日(日)に掛けて、フィンランドのユバスキュラで開催される2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」に参戦する。

その布陣は、エルフィン・エバンス選手/スコット・マーティン選手組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ選手/ヨンネ・ハルットゥネン選手組(69号車)、セバスチャン・オジエ選手/ヴァンサン・ランデ選手組(17号車)、勝田貴元選手/アーロン・ジョンストン選手組(18号車)に、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ選手/マルコ・サルミネン選手組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1。今シーズン8勝目と、チームのホームイベントでの勝利を目指す。

前戦ラリー・エストニアでGR YARIS Rally1を初めてドライブしたオリバー・ソルベルグ選手が、スポット出場ながらWRC初優勝を飾ったことにより、TGR-WRTはシーズン7勝目を獲得。マニュファクチャラー選手権に於ける首位の座を守った。

そして迎える第9戦ラリー・フィンランドは、TGR-WRTのヘッドクォーターが置かれるユバスキュラを中心に開催される、伝統の一戦となる。

ラリーの舞台となるユバスキュラ周辺の森林地帯の道は、全体的に非常にハイスピードなグラベル(未舗装路)のステージが続く。

高速コーナー、ビッグジャンプ、そして大きくうねるクレスト(丘越え)。WRCで最もハイスピードなこのラリーで、TGR-WRTは過去7大会で6回優勝している。

そのうち、2021年と2023年の勝者であるエバンス選手は、このラリーで2回以上の優勝経験がある4人の外国人ドライバーのうちのひとり。

エバンス選手は現在首位と僅か1ポイント差のドライバー選手権2位につけており、得意とするこのラリーで3回目の優勝とランキング首位奪還を目指す。

フィンランド出身で2回世界王者を獲得しているロバンペラ選手にとって、ラリー・フィンランドは真のホームイベントだ。

昨年は最終盤までラリーをリードしていましたが、優勝目前で路面から掘り起こされた岩に当たり、地元戦初勝利を逃した。それだけにロバンペラ選手自身、そして地元のファンは昨年のリベンジを強く期待している。

昨年、フィンランドで2回目の優勝を達成したオジエ選手も、エバンス選手と同様キャリア3回目の優勝を狙っている。

今シーズン、全戦には出場していないオジエ選手だが、ここまでのところ5戦に出場し3戦で優勝。2戦で2位を獲得し、現在ドライバー選手権3位につけている。

また勝田選手はTGR WRCチャレンジプログラムの一期生としてフィンランドに住みながら経験を重ね、WRCドライバーとして成長してきた。

彼もまた北欧のハイスピードなラリーを得意としており、2023年大会では総合3位を獲得。更にスノーイベントである今年のラリー・スウェーデンではエバンスと最後まで僅差の優勝争いを繰り広げ、総合2位でフィニッシュした。

また、ロバンペラ選手と同じくフィンランド出身のパヤリ選手は、昨年このラリーでGR YARIS Rally1 HYBRIDを初ドライブ。トップカテゴリー初挑戦であったにも関わらず総合4位を獲得し天性の速さを見せた。

このラリーで過去3回優勝しているTGR-WRTチーム代表のヤリ-マーティ・ラトバラ氏は、昨年に続きドライバーとして今大会に挑む。

今シーズンはST185セリカGT-FOURでヨーロッパ・ヒストリック・ラリー選手権に挑戦しているラトバラ選手だが、彼にとって記念すべき20回目の出場となる今年のラリー・フィンランドでは、昨年と同様GR Yaris Rally2のステアリングを握る。

前戦ラリー・エストニアで劇的なWRC初優勝を飾った23才のソルベルグ選手(スウェーデン)は、フィンランドでは今年のメインプログラムであるWRC2の戦いに再び集中する。

今季、ソルベルグ選手はプリントスポーツのGR Yaris Rally2で3勝を挙げ、現在3ポイント差でシリーズをリードしている。また、フィンランドでは他にも多くのドライバーがGR Yaris Rally2をドライブする。

フィンランド国内王者のローペ・コルホネン選手(フィンランド)と、トゥッカ・カウッピネン選手(フィンランド)のふたりはラウティオ・モータースポーツから。

ラリー・エストニアでWRC2 2位を獲得したゲオルグ・リンナマエ選手(エストニア)はレッドグレイからエントリーする。

更にTGR WRCチャレンジプログラム2期生の山本雄紀選手もTGR WRT NGから出場。上位に迫る速さを発揮した前戦ラリー・エストニア以上の結果を目指す。

また、TGR WRCチャレンジプログラム3期生の後藤正太郎選手と松下拓未選手のふたりはWRC3に出場し、コ・ドライバーの前川富哉選手はベテランドライバーのヤルッコ・ニカラ選手と組みWRC4カーで出場。前川選手にとっては今回がWRCデビュー戦となる。

今年のラリー・フィンランドでは、TGR-WRTチーム代表代行のユハ・カンクネン選手もドライバーとして参加し、GR Yaris Rally2 H2 Conceptのデビューを担う。

車両は水曜日現地時間16時にサービスパークで公開される。圧縮水素を燃料とする内燃機関を搭載するこのクルマは、ラリーファンを魅了するサウンドと走りを保ちながらも、ほぼゼロエミッションを達成。

過去4回WRCチャンピオンに輝いたカンクネン選手のドライブで、ユバスキュラ市街地の人気ステージ「ハルユ」でデモ走行を行い、カーボンニュートラル社会に於けるモータースポーツの選択肢のひとつである水素のポテンシャルを、ファンの皆様の前で披露する。

そのハルユのステージ1回目は、ラリー初日の7月31日(木)に、午前中にルーヒマキで行なわれるシェイクダウンを経て、夜7時過ぎからSSS1としてスタート。

全長2.58kmのステージは、市街地のターマック(舗装路)と公園内のグラベルの両路面を走行する。

森林地帯での本格的な戦いは8月1日(金)の朝から始まり、デイ2としてサービスパークが置かれるユバスキュラの北側から東側にかけてのエリアで、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。

そのうち「ミヒンパー」「ルーヒマキ」「ラウカー」のステージはいずれもラリー・フィンランドを代表する名ステージだ。更に8本のステージの後にはSSS10として夜7時半から再びハルユを走行。

競技3日目、8月2日(土)のデイ3は、ユバスキュラの南西エリアで「パルッコラ」「バスティラ」「パイヤラ」「レウストゥ」という4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は142.16kmと4日間で最長の一日となる。

ラリー最終日となる8月3日(日)のデイ4は、ユバスキュラの南西エリアで今大会最長となる23.98kmの「オウニンポウヤ」のステージをミッドデイサービスを挟むことなく2回走行。

ラリー・フィンランドでもっとも人気の高いこのステージの2本目、SS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されている。

ラリーは3日間で20本のステージを走行し、その合計距離は307.22km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、1400.39kmが予定されている。

ユハ・カンクネン (チーム代表代行)
私たちのチーム全体にとって、ラリー・フィンランドは非常に特別なイベントです。ユバスキュラと森の中でファンの皆さんが作り出す雰囲気は素晴らしく、すべてのドライバーは大きな応援を感じながら、ハイスピードなフィンランドの道を走ることを本当に楽しんでいます。

彼らは皆、良い結果を手にするためのスピードを持っていますし、チームはプレイベントテストで彼らと協力し、彼らがクルマを扱いやすく感じ、スタートから自信を持って速く走れるように努力しています。

また、今回GR Yaris Rally2 H2 Concept を自分で運転することも楽しみです。このプロジェクトは、ラリーカーらしいサウンドとパフォーマンスを損なうことなく水素技術の潜在能力を示す、私たちのチームにとって非常にエキサイティングなプロジェクトです。ファンの皆さんにも楽しんでもらえることを願っています。

エルフィン・エバンス / スコット・マーティン
(GR YARIS Rally1 33号車)
フィンランドは素晴らしいラリーですし、私にとってはシーズン最大のハイライトなので、とても楽しみにしています。フィンランドのステージを走る感覚は、特にクルマと一体になったときは、他に比べられるものはありません。

スピードの面ではエストニアと似たイベントですが、路面や道のキャラクターは大きく異なるため、今週フィンランドで行ったプレイベントテストは、ベストなセットアップとドライブフィールを見つけるために重要でした。いつも非常に楽しめるラリーなので、まず何よりも運転を楽しみ、その上で良い結果が得られることを願っています。

カッレ・ロバンペラ / ヨンネ・ハルットゥネン
(GR YARIS Rally1 69号車)
ホームイベントであるラリー・フィンランド臨む時は常に、多くの興奮とファンの応援を感じ特別な気分になります。過去2年間は良いペースで走ることができ優勝するチャンスもありましたが、残念ながら実現しませんでした。

今年ここまでグラベルで示してきたペースをさらに改善するため、チームと一緒になって一生懸命仕事を進めてきましたし、ラリーに向けたテストでは新たなアイデアをいくつか試しました。そしてもちろん、ラリーでは1週間を楽しみながら最大限プッシュし、最高の結果を得るために全力を尽くします。

セバスチャン・オジエ / ヴァンサン・ランデ
(GR YARIS Rally1 17号車)
今年もラリー・フィンランドに出場するのが楽しみです。昨年は2年ぶりの出場でしたが、フィンランド2勝目を獲得することができた素晴らしいラリーだったので、今年の参戦スケジュールに再び組み込むのは良い考えだと思いました。

美しいフィンランドの道を楽しみながら、チームのホームイベントで良い結果を残せるように努めます。私にとっては今年初となる真のハイスピードラリーですが、今シーズンはここまでグラベルでのパフォーマンスは良好ですし、ラリーの前にフィンランドでテストをする機会もあるので、スピードを取り戻すことができると思います。

勝田 貴元 / アーロン・ジョンストン
(GR YARIS Rally1 18号車)
自分にとってフィンランドは特別な場所です。長年住み、多くのことを学び、友人も多くいるので、このイベントは自分にとって第2のホームラリーのようなものです。フィンランドのステージでは常に良いフィーリングで走ることができますし、もちろん、チームにとっても重要なラリーです。

2年前にフィンランドでポディウムに立った時は本当に嬉しかったので、今回はさらに良いラリーを目指したいと思います。パフォーマンスをさらに高め、可能な限り全力でプッシュし、ラリーを楽しめることを願っています。

サミ・パヤリ / マルコ・サルミネン
(GR YARIS Rally1 5号車)
6年前に初めてWRCイベントで走った時から、ラリー・フィンランドは自分にとって常に特別なラリーです。友人や家族の前で走るのはいい気分ですし、道そのものが、どんなクルマで走っても素晴らしいと感じられます。

昨年既に一度経験していますが、それでもRally1カーでこの道を走るのは自分にとって夢のようなことです。常に前回よりも良い結果を出したいとは思っていますが、それは決して簡単なことではないので、自分に過度のプレッシャーはかけません。ただただ本当に楽しみなので、良いラリーを戦えるように全力で取り組むつもりです。

WRC 第9戦 ラリー・フィンランド 2025 マップ

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