本田技研工業傘下のアメリカン・ホンダ・モーター・カンパニー・インコーポレーテッド( 本社:カリフォルニア州トーランス、CEO:滝沢一浩 )は 7月22日、アンナ・エンジン・プラント( AEP/オハイオ州シェルビー郡ラッセルズポイント )が40周年を迎えたことを明らかにした。
現在、ホンダEVハブの主要拠点となっているAEPは、オハイオ州にある3つの生産拠点のひとつで、エンジン生産とトランスミッション生産を組み合わせたフレキシブル体制を長年、推進してきた。
より具体的には、国内および海外から調達した部品を使用し、内燃機関( ICE )、ハイブリッドパワートレイン、そして電気モーターを同一生産ライン上で生産している。その歩みは、1985年7月22日にオートバイ用エンジンの生産を開始。
以来、自動車用やパワースポーツ製品用を含む3,250万台以上のエンジン、およびエンジンとトランスミッション用などの様々なパワートレイン系部品を製造。自動車用エンジンの生産に関しては、1986年にホンダ シビック用の4気筒エンジンから始まった。
こうした経緯から今回は、ホンダ製四輪車用エンジン工場として世界最大規模となったアナ・エンジン・プラントのものづくりの歴史を記念するものとなった。
AEPは現在、1.5リッター、2.0リッター、3.0リッターターボエンジンを含む、V6および直列4気筒エンジンを幅広く生産。AEPの生産実績には、高性能車や燃費効率の高いハイブリッド電気モデル向けの多種多様なエンジンも含まれている。現時点の主なパワーユニット生産は以下の通り。
アコード、CR-V、シビックハイブリッドを含むホンダのハイブリッド電気モデルに動力を供給する2.0リッターアトキンソンサイクル4気筒エンジン。
ホンダ シビック、アコード、CR-V、アキュラ インテグラ、ADX に搭載される 190 馬力の 1.5 リッター ターボチャージャー付き 4 気筒エンジン。
シビックタイプR用の315馬力2.0リッターターボチャージャー付き4気筒エンジンは、車両が組み立てられている日本に輸出されている。
その他、アキュラ インテグラ タイプSに搭載される320馬力2.0リッターターボチャージャー付き4気筒エンジン、アキュラ TLX および MDX タイプ S モデルに搭載される355馬力3.0リッター ターボチャージ V6 エンジン、第2世代のアキュラNSXに搭載された500馬力の3.5リッターツインターボV6エンジンなど。
こうした実績を踏まえ、アンナエンジン工場の工場長ヲ務めるマイケル・ティンチ氏は、「ホンダが過去40年間、アンナエンジン工場で成し遂げてきたことは全て従業員の技術と献身によって成し遂げられたものであり、今後もフレキシブルな生産形態の拡大を追求していくなかで、この姿勢は変わらぬものとなるでしょう。
内燃機関( ICE )とハイブリッドモデルの生産を最大化すると共に、将来のEV生産への準備も進めていきます。従業員は、お客様のニーズに応える高品質な製品を作り続けてくれると確信しています」と述べた。
そんなAEPは、1985年に94名の生産従業員を擁する20万平方フィートの小規模な施設として設立されたが、総額29億ドルに及ぶ一連の投資を経て、現在では280万平方フィートを超える広大な施設に成長、今や2,900名の従業員を擁している。
生産業務は、鉄鋼鋳造、高圧ダイカスト、機械加工から熱処理、組立まで多岐に亘り、業界で最も包括的かつ相互連携の取れたパワートレイン施設のひとつとしてのAEPの評判を確固たるものにしている。
AEPは、ホンダエンジン用のシリンダースリーブやヘッド、カムシャフトやクランクシャフト、オハイオ州のホンダトランスミッションで生産される無段変速機(CVT)に使用される高精度プーリーなど、様々な部品を生産している。これらの部品も国産品と海外製の部品を使用している。
工場の適応性と柔軟性を証明するAEPは、顧客の需要に応えるため、様々なICEエンジンを生産し続けながら、ホンダの電動化の未来に於いて主要な役割を担っている。
ホンダEVハブの一部として、また世界のホンダとして初めて、AEPはアルミEVバッテリーケースを製造するために、メガキャスティング、摩擦攪拌接合(FSW)、最小量潤滑(MQL)機械加工の3つの新しいプロセスを追加した。
今後2026年にEV生産が始まると、AEPのEVバッテリーケースメガキャストはメアリーズビル自動車工場に送られ、そこでバッテリーモジュールと組み合わされてEVバッテリーパックが作られ、メアリーズビルとイーストリバティの両自動車工場で製造されるホンダとアキュラのEVに電力を供給することになるという。
オハイオ州でのホンダの製造
ちなみにホンダは1979年、メリーズビルに米国生産拠点を設立して二輪車生産を開始した。現在、オハイオ州では1万2千人を超える従業員がホンダのものづくりを支えている。
その後、1982年11月にメアリーズビル自動車工場で自動車生産を開始して以来、40年以上に亘りオハイオ州で自動車を生産しており、現在では同州最大の雇用主となった。
現在オハイオ州にある5つの製造施設には、メアリーズビル自動車工場、イーストリバティ自動車工場、パフォーマンス・マニュファクチャリング・センターの3つの自動車工場と、ラッセルズポイントのアンナエンジン工場およびトランスミッション工場が含まれる。
同社は過去6年間でこれらの施設に14億ドル以上を投資し、国内外のホンダとアキュラの顧客のために、設備の近代化と新技術の導入を継続的に進め、品質と効率性を向上させてきた。
現在、ホンダは米国でのEV生産開始に向けて新たなEVハブを設立しており、これにはオハイオ州の既存の自動車工場とパワートレイン工場を電気自動車生産向けに改修するための10億ドル以上の投資、およびLGエナジーソリューションとの35億ドルの投資により、オハイオ州フェイエット郡にEVバッテリー工場を合弁で設立することが含まれる。
これらの5つの工場への総投資額は130億ドルに上り、国内および世界各国で製造された部品を使用し、ホンダおよびウキュラの四輪車46万台、自動車エンジン118万個、自動車トランスミッションおよび2モーターハイブリッドシステム100万台以上の生産能力を有している。