ホンダ、自動車&2輪車全ての2017年モータースポーツ活動計画を発表


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)は2月13日の午後、東京都港区青山のホンダ本社に於いて、2017年のモータースポーツ参戦体制と普及活動計画を含む記者会見を実施した。

昨年ホンダは、二輪に於いてFIM(Fédération Internationale de Motocyclisme/国際モーターサイクリズム連盟)ロードレース世界選手権の最高峰クラス参戦50周年の節目に、ロードレース世界選手権(MotoGP™)、FIMモトクロス世界選手権(MXGP)、FIMトライアル世界選手権(WCT)のそれぞれでチャンピオンを獲得。

3つの最高峰クラスを制覇した。但し他方では、ホンダの本拠地とも云える鈴鹿サーキットで開催された8時間耐久オートバイレースに於いて、ヤマハのYZF−R1&中須賀克行選手を前に2連敗を喫している。

また四輪では、フォーミュラONEレーシングの世界で苦難が続くものの、2016年を迎えたスーパーフォーミュラに於いてはホンダエンジンの存在感を高め、さらに米国では記念すべき第100回大会を迎えた伝統の「INDY500」に於いて勝利を収めている。

こうした戦績を背景に2017年のホンダは、コーポレートスローガンである「The Power of Dreams」のもと、常に勝ちにこだわって挑戦を続けていく構えであると、記者会見冒頭で宣言した。

なおホンダの具体的なモータースポーツ参戦体制は以下の通り

【二輪モータースポーツ活動】
<MotoGP>
昨シーズン、チャンピオンを獲得した、FIMロードレース世界選手権の最高峰であるMotoGPクラスには、2017年シーズンの連覇を目指して昨年と同様に、HRC直轄ワークスチームの「レプソル・ホンダ・チーム(Repsol Honda Team)」から、2016年チャンピオンのマルク・マルケスと、MotoGPクラス参戦12年目となるダニ・ペドロサの2名が、2017年型のワークスマシン「RC213V」で参戦する。

また「エルシーアール・ホンダ(LCR Honda)」のカル・クラッチロー、「エストレーリャ・ガリシア・ゼロ・ポイント・ゼロ・マーク・ブイディーエス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)」からは、ジャック・ミラー、ティト・ラバトが参戦。

昨シーズンと同様の5台体制で、ライダーズおよびコンストラクターズ、チームのタイトル三冠獲得を目指す。(“チーム名”の★印はワークスチーム、“マシン”の★印はワークスマシン、“ライダー”の★印はHRC契約を示す)

<Moto3>
併せてMoto3クラスには、2017年型のワークスマシン「NSF250RW」を15台投入し、8チーム体制でチャンピオン奪還を目指す。

<MXGP>
FIMモトクロス世界選手権では、最高峰クラスのMXGP(450cc)クラスに、ワークスチーム「チーム・エイチアールシー(Team HRC)」から、昨年ルーキーイヤーながらチャンピオンを獲得したティム・ガイザーと、ランキング5位のイブジェニー・ボブリシェフが参戦する。

なお両ライダーとも2017年型のワークスマシン「CRF450RW」を駆りクラス連覇を目指している。

<MX2>
MX2クラスには、昨シーズンに全日本モトクロス選手権のIA2(250cc)クラスでチャンピオンを獲得した能塚智寛が、ミケーレ・セルベリンと共に「チーム・エイチアールシー(Team HRC)」からワークスマシン「CRF250RW」で参戦しタイトル獲得を目指す。

<FINトライアル>
FIMトライアル世界選手権には、ワークスチーム「レプソル・ホンダ・チーム(Repsol Honda Team)」から、10年連続チャンピオンのトニー・ボウ。

そして昨年、参戦22年目にして通算300戦を迎えた藤波貴久、昨シーズンランキング6位で若手のハイメ・ブストがワークスマシン「COTA4RT」で参戦します。トニー・ボウは個人タイトル11連覇を狙う。

<AMA 450SX>
AMAスーパークロス世界選手権の450SX(450cc)クラスには、米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーターの運営するワークスチーム「チーム・ホンダ・エイチアールシー(Team Honda HRC)」から、新たにチームの一員となったケン・ロクスンと、2年目となるコール・シーリーが2017年型「CRF450R」で参戦しチャンピオン獲得を目指す。

<FIM WSB>
FIMスーパーバイク世界選手権(WSB)には、Hondaの英国現地法人ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドが支援する「レッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイク・チーム(Red Bull Honda World Superbike Team)」から、2006年のMotoGP世界チャンピオンであるニッキー・ヘイデンとステファン・ブラドルが新型「CBR1000RR SP2」をベースにしたマシンで参戦する。

<鈴鹿8時間耐久オートバイレース>
なお2017年から、FIM世界耐久選手権(EWC)の最終戦となり、同時に40周年を迎える鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、世界選手権および各地域の選手権にホンダから参戦しているライダーを選定して優勝を目指す構え。

<FIM SS600>
「FIM アジアロードレース選手権(ARRC)」のSS600クラスには、6年連続でのチーム・個人タイトルを狙うムサシ・ブンシュウ・ホンダ・レーシング(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)より、2016年チャンピオンのザクワン・ザイディと名越哲平が参戦する。

<FIM AP250>
またAP250クラスには、アストラ・ホンダ・レーシング・チーム(Astra Honda Racing Team)よりゲリー・サリム、レーザー・ダニカ・アーレンズ、アーウィン・サンジャヤが新型「CBR250RR」で参戦する。

<MFJ JSB1000>
MFJ(Motorcycle Federation of Japan/一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会)全日本ロードレース選手権(JRR)のJSB1000クラスには、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)のテスト契約ライダーである高橋巧が「ムサシ・アールティ・ハルク・プロ(MuSASHi RT ハルク・プロ)」から参戦。

また「エーユーアンドテルル・コハラ・レーシングチーム(au&Teluru・Kohara RT)」からは秋吉耕佑が参戦。

さらにホンダ・ドリーム・レーシング(Honda Dream Racing)および、トーホー・レーシング(TOHO Racing)からは山口辰也が参戦し、「モリワキ・モチュール・レーシング(MORIWAKI MOTUL RACING)」からは高橋裕紀に加え、鈴鹿8時間耐久レースなどで優勝経験を持つ清成龍一が参戦する。

なお、各ライダーとも新型「CBR1000RR SP2」をベースにしたマシンでの参戦となる。

<MFJ IA1>
MFJ全日本モトクロス選手権(JMX)IA1(450cc)クラスには、2016年シーズンのチャンピオンで、これまでに11回のチャンピオンを獲得した成田亮に加え、2012年のIA2(250cc)クラスチャンピオンで、2016年シーズンにモトクロス世界選手権シリーズMXGPクラスへの参戦経験を持つ山本鯨がワークスチーム「チーム・エイチアールシー(Team HRC)」から、ワークスマシン「CRF450RW」で参戦し、同クラスでの連覇を狙う。

<MFj IAS>
MFJ全日本トライアル選手権(JTR)のIASクラスでは、昨年、自身6度目のチャンピオンを獲得したHRCのテスト契約ライダーである小川友幸が「RTL300R」を駆って「エイチアールシー・クラブ・ミタニ(HRC CLUB MITANI)」から参戦し、5年連続7回目のチャンピオン獲得を目指す。

【四輪モータースポーツ活動】
<F−1>
昨年に続き、FIA(Fédération Internationale de l’Automobile/国際自動車連盟)フォーミュラ・ワン世界選手権(F1™)では「マクラーレン・ホンダ(McLaren‐Honda)」のパワーユニットサプライヤーとして参戦。レースドライバーはフェルナンド・アロンソ、ストフェル・バンドーンの2名体制となる。

<WTCC>
FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)では、1.6L直噴ターボエンジンを搭載した「Civic WTCC」の投入を継続。

「カストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チーム(Castrol Honda World Touring Car Team)」のティアゴ・モンテイロ、ノルベルト・ミケリスに加え、「ホンダ・レーシング・チーム・ヤス(Honda Racing Team J.A.S.)」から道上龍が参戦、2チーム3ドライバーのワークス体制で臨む。

またプライベートチームについては、Civicでの参戦5年目になる「ゼングー・モータースポーツ(Zengő Motorsport)」にマシンを供給し、ワークスチームとともにドライバーとマニュファクチャラーのダブルタイトル獲得を目指す。

<SUPER GT・GT500>
SUPER GTのGT500クラスには、昨年と同様に5チーム5台体制で参戦。日本では昨年8月に発表したスーパースポーツモデル「NSX」をベースとした「NSX-GT」を今シーズンより投入。開発体制も大幅な見直しを図り、タイトル獲得を目指す。

<全日本SF>
全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)では、熱効率を高めた2.0L直列4気筒直噴ターボエンジン「HR-417E」を投入。

新たに2016年の「GP2シリーズ」王者であるピエール・ガスリーが「チーム・ムゲン(TEAM MUGEN)」に加入し、5チーム8台体制でドライバーとチームのダブルタイトル獲得を目指す。

なお2017年の「チーム・ムゲン(TEAM MUGEN)」2台体制は、2016年秋季に決まっていたとされ、ピエール・ガスリーの全日本参戦は、彼のスポンサーであるレッドブルからの打診により、検討され、加入が決まったとしている。

上記、ピエール・ガスリーの全日本参戦は、レッドブル側のプロモーション戦略の考え方もあったようだが、ホンダ側にとっても、昨年ドコモ・チーム・ダンディライアン・レーシングから参戦したストフェル・バンドーンの全日本参戦により、国内外からスーパーフォーミュラの注目が高まったことは好ましい事と考えていること。

加えて、今年度もGP2チャンピオンがスーパーフォーミュラ参戦を果たすことは国内のモータースポーツシーンにとって、大いにプラスになると考えてのことのようである。

なお対して、北米のインディカー・シリーズでは、アメリカン・ホンダモーターの子会社であるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)より、6チーム14台に2.2L V6ツインターボエンジン「HI17TT」の供給を予定している。
またここでは、参戦8年目のシーズンを迎える佐藤琢磨がチームを移籍し、「アンドレッティ・オートスポーツ(Andretti Autosport)」より参戦する。

《若手ライダー・ドライバーのトップカテゴリー参戦へ向けた取り組み》
ロードレースでは二輪モータースポーツへの関心が急速に高まるアジア地域に於いてホンダのレース活動と連動し、FIMロードレース世界選手権へのチャレンジという若手ライダーの夢の具現化を目指している。

今年から、MotoGP主催者である「ドルナ・スポーツ(Dorna Sports SL.)」が主催する「イデミツ・アジア・タレント・カップ(IATC)」を活用し、世界で戦うさらなるライダーの輩出に取り組む。

HRCの競技専用車両である「NSF250R」を使用するこのプログラムは、アジア地域で開催されるFIMロードレース世界選手権、FIMスーパーバイク世界選手権、FIM アジアロードレース選手権シリーズと併催し、年間6戦開催される。

また、ステップアップの場として、FIM CEVレプソルMoto3ジュニア世界選手権やMoto2、Moto3へ参戦する「ホンダ・チーム・アジア(Honda Team Asia)」を継続してサポートする。

Moto2では「イデミツ・ホンダ・チーム・アジア(IDEMITSU Honda Team Asia)」から、昨年初優勝を飾りランキング6位の中上貴晶がチャンピオンを目指して参戦。

また、昨シーズンMoto3で2勝をあげたカイルール・イダム・パウィがステップアップして参戦する。

さらに、Moto3ではホンダ・チーム・アジアから、昨年のFIM CEVレプソルMoto3ジュニア世界選手権でランキング4位の鳥羽海渡を新たに起用し、そのチームメイトには、同クラスで17位のナカリン・アティラプワパを起用する。

モトクロスでは全日本選手権へ参戦するチーム・ライダーの国内合宿をはじめ、将来有望な若手ライダーによる米国キャンプや世界選手権への参戦など育成プログラムを継続する。

また、モトクロス世界選手権のMX2クラスへ、全日本モトクロス選手権IA2(250ccクラス)チャンピオンでHRC契約ライダーの能塚智寛が参戦し、またAMAモトクロス選手権450MX(450ccクラス)には引き続き、HRC契約ライダーの富田俊樹を起用するなど、世界で戦える人材の輩出を目指す。

対して四輪レース活動に於いては、前年に引き続きモータースポーツ界で活躍する若手ドライバーの発掘・ステップアップを目的としたプログラム「Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」を展開する。

F1への登竜門と呼ばれる「GP2シリーズ」には、2016年に続き松下信治。「GP3シリーズ」には福住仁嶺が、それぞれ「エーアールティー・グランプリ(ART Grand Prix)」から参戦。

また2016年は「全日本F3選手権」に参戦した牧野任祐が新たに「FIA Formula3 European Championship」に「ハイテック・ジーピー(HITECH GP)」より挑戦。世界で戦えるドライバーの輩出を目指していく。

国内ではモータースポーツ界で活躍する有能な若手ドライバーのステップアップに向けて、全日本F3選手権、ジュニア・フォーミュラレースである「FIA-F4選手権」に参戦するドライバーをサポートする。


《モータースポーツ普及活動》
併せてホンダは、モータースポーツの普及にも積極的に取り組んでいく。具体的には、初心者でも気軽に楽しめる各種イベントを開催するなど、幅広い層にモータースポーツの魅力を伝えることを目的としたさまざまな活動を展開する。

<株式会社ホンダ・レーシング(HRC)主催 ワンメイクレース>
「NSF100 HRCトロフィー」は、HRCの市販ロードレーサー「NSF100」を使用し、2006年より全国20ヵ所以上のサーキットで開催している。

今年で開催12年目となる同レースは、世界を目指すジュニアライダーの登竜門のひとつとなっている。さらに2016年より市販車両の「GROM」を使用した「HRC GROM Cup」を新設し、レース未経験者でも、気軽に参加しやすいクラスとして開催している。

「CBR250R Dream Cup」は、市販車両の「CBR250R」を使用し、2012年より日本全国のサーキットで開催している。

2014年からはレース未経験者にも参加しやすいクラスを新設し、国内最大級のエントリー数を誇るレースとなっている。

「HRC NSF250R Challenge」は、HRCの市販ロードレーサー「NSF250R」を使用し、将来のMotoGPライダー育成のために開催している。

このレースは、国内の地方選手権においてJ-GP3クラスと混走で行われ、スタンダード車両(HRC出荷時の仕様)から改造範囲を制限することで、ランニングコストを抑え、より安価に本格的なレースへの参戦を可能としている。

<Honda Sports & Eco Program>
モビリティランドと(株)M-TECが共同で運営する参加型モータースポーツ「Honda Sports & Eco Program」は「Ecoでスポーツする。」をテーマに2012年から開始された。

環境とスポーツドライビングの両立を目指し、レース仕様の車両をレンタルして、、「操る・磨く・競う」楽しさを気軽に体感できるモータースポーツである。

今年も入門者でも安心してレースデビューを目指せる4段階のスクールプログラムと、年4回のレースプログラムを継続して提供するほか、初級者から上級者まで、より多くの方々が手軽にモータースポーツを体験できるよう、充実した内容で展開していく。

<FIT 1.5 Challenge CUP>
(株)モビリティランドと(株)菅生が開催している「FIT(フィット)」によるワンメイクレース「FIT 1.5 Challenge CUP」は、JAF準国内格式競技として、「鈴鹿ツーリングカー選手権」と「もてぎ・菅生ツーリングカー選手権」がそれぞれ6戦ずつ開催される。

<N-ONE OWNER’S CUP>
軽自動車「N-ONE」を活用した参加型モータースポーツ「N-ONE OWNER’S CUP」は、レース入門者をはじめとした、より多くのレース参加を募ることを目指し、2014年から開催しているナンバー(車両番号標)付き車両によるスプリントレースである。

本年度は北海道の十勝スピードウェイを追加し、国内7ヵ所(鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎ、岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、オートポリス、スポーツランドSUGO、十勝スピードウェイ)で開催する。

今シーズンは、レース開催数を全14戦とし、レース初心者へのサポートをさらに充実させていく。

<Honda エコ マイレッジ チャレンジ 2017>
ホンダは、環境にスポットを当て、創造力と自由な発想、そして技術を結集した手作りのマシンを使って、1Lのガソリンで何km走行できるかを競う「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」を、1981年から開催している。

今年で37回目となるこの大会に、初回大会以来、のべ1万4,000を超えるチームが参加。また日本国内だけでなくタイ、中国、ベトナムにおいても開催している。

<Enjoy Honda 2017>
「Enjoy Honda」は、ホンダのモータースポーツや、二輪・四輪・汎用製品を「見て、遊んで、体感する」ことを目的としたファン感謝イベントである。

今年は、熊本県、三重県、静岡県、北海道、栃木県、宮城県に加え、2年ぶりの開催となる愛媛県と新規会場として岡山県・新潟県の全9会場で開催する。Enjoy Honda公式サイト:http://www.honda.co.jp/enjoyhonda/ 

<Honda Racing THANKS DAY 2017>
Hondaは、モータースポーツファンの皆様に対する感謝イベント「Honda Racing THANKS DAY」を今年も開催する。