JLR、ダカール/W2RC参戦ドライバー3名を選出

参戦に先立ち競技車両「DEFENDER DAKAR D7X-R」プロト公開

JLR(ジャガー・ランドローバー)傘下ブランドの〝DEFENDER〟は5月16日(英国ゲイドン発)、ダカール・ラリー 2026とFIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)向けに開発した競技車両「DEFENDER DAKAR D7X-R」のプロトタイプをモロッコ・サハラ砂漠に持ち込み、最初のテストセッションを実施・完了させた。

上記モロッコでの初テストは、世界で最も過酷な長距離オフロードレースとして知られるダカール・ラリーの環境を再現しているため、セッションへの参加は同社の参戦プロジェクトにとっては非常に重要な節目でもある。

なお上記で出走カテゴリに挙げているW2RC Stockとは、FIAとダカール・ラリーの主催者が、高性能4×4やSUVの人気が高まっていることを受け、2026年シーズンにStockカテゴリーをより競争力の高いものにすることを目的として新たなレギュレーションを導入したなかで設定されたもの。

この新カテゴリにより、出走車両の更なる性能向上が見込めるようになる。一方で同カテゴリの新設は、量産車両の設計での素性が良く基本性能が高い「DEFENDER」の耐久性と走破能力を実証するには最適なプラットフォームとなることから、DEFENDERは当該カテゴリへの出走を決めた。

ちなみにDEFENDERでは、公式競技車両の製造を既に開始していることから、JLRのニトラ工場の生産ラインから、当該車両が市場に向けても出荷されている。

従って2026年のダカール・ラリーとW2RCに先立ち、今年後半にチーム体制が正式に発足する前段階で、徹底的なテストプログラムが実施される予定です。しかしそれには、優れたワークスドライバーの存在が不可欠だ。

そこでDEFENDERでは、ダカール・ラリー 2026にワークス参戦するプレミアムブランドとして今回、世界トップクラスのドライバー陣と選手契約を行った。

ダカールに向けて世界トップクラスの3名のドライバーを発表

個々の契約選手達を紹介すると、まずはダカール・ラリーで14回の優勝を誇るフランス出身のステファン・ペテランセル選手、続いて新星ロカス・バチュスカ選手、更にステージ優勝4回を成し遂げたサラ・プライス選手の3名と手を携えて究極の冒険に挑む。なお、ステファン選手は、今後のモロッコ・サハラ砂漠でのテストにも合流する予定だ。

もとよりダカール・ラリーは、人間とマシンの限界が試される過酷な戦いとなる。

そのなかでステファン選手、ロカス選手、サラ選手の3名は、市販車をベースにしたStock(ストック)カテゴリーから3台の「DEFENDER DAKAR D7X-R」で出走してワークスデビューを果たす。更にステファン選手とロカス選手は、2026年W2RCの残りのラウンドにも参戦していく予定だ。

選手達がドライビングする「DEFENDER DAKAR D7X-R」は、市販車をベースに専用設計した競技用車両。市販の「DEFENDER」と同様、堅牢なD7xアルミニウムボディ構造、トランスミッション、ドライブラインのレイアウトなどを極限まで磨き込むことで「DEFENDER」が備える究極の耐久性と強度を実現している。

搭載したパワーユニットは、4.4リッターツインターボV8エンジンで、プロトタイプには過酷な環境に応えるべく、更なるカモフラージュを施す。

またサハラ砂漠の過酷な砂丘では、信頼性、耐久性、走破能力を検証するために徹底的なテストを実施した。

このようなDEFENDERの「不可能を可能にする」という理念と同様、肉体と精神が強靭であることがドライバーにとっては不可欠だ。

最も過酷な環境で極限まで試練にさらされるドライバーのなかでも、不屈の精神、揺るぎない勇気、冒険への情熱を備えた者だけが成功を手にできるからだ。

DEFENDERワークスチームの全ドライバーは、白熱したレースに於いて、恐れを知らないスピード、緻密なドライビングスキル、そして揺るぎないスタミナを発揮するだろうとDEFENDERでは、謳っている。

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ステファン・ペテランセル選手
ダカール・ラリー史上最も成功したドライバーとして有名なステファン選手は、サハラ砂漠で「DEFENDER」のテスト走行をした経験もあり、砂漠の過酷な条件に慣れたベテラン。

59歳のステファン選手は、バイクと四輪の両方でダカール・ラリーに35回参戦し、この究極のアドベンチャーレースに於いて14回の優勝経験がある。

今回はDEFENDER ワークスチームからW2RCの全ラウンドに参戦し、豊富な経験と知識をチームにもたらす。また、自身の記録的な優勝回数を更に更新しながら、DEFENDERのモータースポーツ界での将来を切り拓く役割を果たしていきたいと話している。

ステファン・ペテランセルのコメントは以下の通り
「DEFENDERとともに新たな取り組みを始めることができて、とても嬉しく思います。W2RCはラリーとオフロード競技の最高峰であり、『DEFENDER』はアイコニックでありながら卓越したパフォーマンスを誇る4×4車両です。

私にとって、W2RC と『DEFENDER』は完璧な組み合わせだと思います。この新たな挑戦がとても楽しみで、表彰台の頂点に導けるようにしたいです。

これまでダカール・ラリーにはバイクと四輪で参戦してきましたが、Stockカテゴリーは初めてで、このチームと一緒に挑戦できることに興奮しています。

また、モロッコで『DEFENDER DAKAR D7X-R』プロトタイプのハンドルを握ったことは素晴らしい経験でした。まだ初期段階ではありますが、2026年ダカール・ラリーへ向けた準備は順調に進んでいます」

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ロカス・バチュスカ選手
25歳のロカス・バチュスカ選手は、ラリー界で最も有望な若手ドライバーのひとりであり、FIA史上初めて2つの異なるカテゴリーで世界チャンピオン・タイトルを獲得するという偉業を打ち立てましたドライバーでもある。

リトアニア人として最年少で初出場したダカール・ラリー 2022では、T4カテゴリーで3位に入賞、その後W2RC 2022 T4カテゴリーではモロッコラリーでの優勝を含む4回の表彰台を獲得し総合チャンピオンとなった。

また、ダカール・ラリー 2023 T4カテゴリーで2位、ダカール・ラリー 2024 T3カテゴリーで3位を獲得した。W2RCで目覚ましい成績を残しているロカス選手は、2026年シーズンに於いても、DEFENDERと共に活躍してくれるものとDEFENDERでは、期待を寄せている。

ロカス・バチュスカの選手コメントは以下の通り
「ダカール・ラリーのStockカテゴリーでドライブできることはとても嬉しいです。特に、『DEFENDER』で走ることは、このデビューをさらに特別なものにしてくれます。

伝説のDEFENDERがW2RCとダカール・ラリーに参戦することは、モータースポーツ界とブランドにとって歴史的な瞬間と言えるでしょう。これから紡ぐすばらしいストーリーの一員として、重要な役割を果たせることを楽しみにしています。

DEFENDERは、とどまることを知らない、不可能を可能にするという理念を体現する、素晴らしいブランドです。このプログラムの一員として参加できることは、私にとって大きな誇りです。ダカール・ラリー 2026に向けて、チームとともに『DEFENDER DAKAR D7X-R』のテストをする日が待ちきれません」

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サラ・プライス選手
サラ選手のレースキャリアは8歳の時、二輪車から始まりまった。その8年後に四輪レースに挑戦を果たすが、それまでに19回の全米選手権のタイトルを獲得してプロに転向し、X Gamesでメダリストとなっている。

その後、伝説となった SCOREインターナショナルのバハ1000でのトロフィー・トラッククラス優勝や、チップ・ガナッシ・レーシングから電動ラリー選手権Extreme Eに参戦し、チーム初の女性レーサーによる優勝をもたらすなど、様々なオフロードカテゴリーで豊富な経験と実績を築いてきた。

2024年には、SSVクラスでダカール・ラリーデビューをし、アメリカ人女性として初めて、そして女性としては史上3人目のダカール・ラリーのステージ優勝を果たした。更に総合4位でフィニッシュし、最優秀新人賞も獲得するという輝かしい戦績を持っている。

サラ・プライス選手のコメントは以下の通り
「DEFENDERワークスチームの一員としてダカール・ラリーに参戦できることは、私にとって栄誉なことです。ダカール・ラリーはラリーレイド競技の最高峰です。今までこの大会に参加できたことをとても誇りに思っています。

『DEFENDER』は最高の性能を備えたアイコニックな車であり、明確な目的をもったブランドでもあります。英国のアドベンチャー・ブランドの歴史的な瞬間を共にすることができるのは、私にとってすばらしい経験となります。

舞台裏で行われているテストと準備作業は本当に驚くべきもので、実際にドライブするのが楽しみでなりません。私はとても競争心が強い、生まれながらのレーサーであり、DEFENDERとともに高い目標を目指し、成功するまで決して諦めることはありません」