WEC第2戦イモラ6時間、トヨタは5位と7位に終わる


2025年のFIA世界耐久選手権(WEC)、第5戦の決勝が4月21日、イタリアのイモラ・サーキットで行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の2台のGR010 HYBRIDは、8号車が5位、7号車は7位に終わった。

セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手のGR010 HYBRID 8号車は、大胆な戦略を尽くしたものの5位でフィニッシュ。粘り強く最後まで戦い抜いた小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手のGR010 HYBRID 7号車は7位でチェッカーを受けた。

降雨が予想される中、ドライバーとエンジニアはソフトとミディアム2種類のタイヤを駆使し、豊富な経験を活かし効果的なレース戦略で挑んだ。

コース上では接近戦が繰り広げられ、ピットストップでの秒単位の争いも重要となった。そうしたなかでTGRの2台のGR010 HYBRIDは合計13回のピットストップをこなし、ドライバーに最良の状況を整えた。

結果、現在TGRは、マニュファクチャラーズランキングで3位、トップのフェラーリと39ポイント差につけている。またドライバーズランキングでは8号車が6位、7号車は7位で、それぞれトップから25、32ポイント差となっている。

決勝は現地時間午後1時に開始。7号車はコンウェイ選手、8号車はハートレー選手がステアリングを握り、4、5番手グリッドから6時間の長い戦いをスタートした。

2台のGR010 HYBRIDは、最初のスティントから2度にわたり順位を入れ替えながら、表彰台圏内を争い、歴史ある狭いコース内で、2台のGR010 HYBRIDは序盤から現れるLMGT3クラスの周回遅れをかわしながら、全開での走行を続けた。

レーススタートから2時間、5位を激しく争っていた7号車とBMW 20号車がヴァリアンテ・アルタ・シケイン(15ターン目)で接触。

7号車はそのまま走行を継続したが、このアクシデントによりコース上に散らばった破片を清掃するためにフルコースイエロー(FCY)となり、7号車と8号車はこのタイミングでピットインした。

軽いダメージで済んだ7号車はデ・フリース選手に、8号車は平川選手にドライバーを交代。しかし、8号車はFCY中の速度違反としてドライブスルーペナルティが科され、順位を落とすこととなった。

レースは折り返しを過ぎ、給油と左のタイヤ交換のピットインを終えた時点で、デ・フリース選手の7号車はトップ6を走行し、平川選手の8号車はトップ10入りを目指してバトルを繰り広げた。

8つのハイパーカーマニュファクチャラーはそれぞれに適した異なるタイヤ戦略を採ったため、エンジニアとドライバーは臨機応変にその戦略を調整しながら戦った。

レースが3分の2を過ぎようとする中、GT3車両のアクシデントによるセーフティカーが導入され、このタイミングで7号車は小林選手、8号車はブエミ選手へとドライバーを交代し、左のタイヤはソフトのままでそれぞれ右を新品のミディアムタイヤに交換。

セーフティカーにより各車間のタイム差がなくなったことで、9位につけていた8号車も、首位と10秒差未満という接近した状況でレースが再開された。

弱い雨がぽつぽつと降り始め、さらに緊張が高まる中で、残り2時間のハイパーカーの栄誉を賭けた激戦が再び始まり、ブエミ選手の8号車は、タイムが僅差で連なる過密な状況で走行するライバルとは離れたクリアなコース上で、より速いラップタイムを重ねるために、20分後という早いタイミングで給油ピットインするという、他車とは異なる戦略を選択した。

7号車の小林選手は、2位を行くポルシェ6号車を追走し、最後から2回目のピットストップ直前に果敢にオーバーテイクを決めた。

一方、8号車のブエミ選手は他と異なる戦略で、ライバル勢がピットインする中で一時は首位に立ち、フェラーリ50号車からの猛追を凌ぎながらの周回を続けた。

8号車とフェラーリ50号車のバトルは、最後の給油ピットを終えても続いたが、2台が接触し、フェラーリ50号車がパンクを喫したことで決着がついた。

2台のGR010 HYBRIDは、交換せずに走り続けた古いタイヤを上手くコントロールし、8号車のブエミ選手は残り10分を切ったところでBMW 15号車をパス。5位でチェッカーし、7号車の小林選手も7位フィニッシュで貴重なポイント獲得を果たした。

TGRの選手権タイトル獲得に向けた挑戦とル・マン24時間への準備は、5月10日(土)に行われるスパ・フランコルシャン6時間で新たなステージに進むけ。このレースは、チームがサルト・サーキットでの6度目の勝利を目指して戦う前の最後のレースとなる。

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小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー):
我々にとって厳しいレースだったのは明らかでした。終盤にはタイヤの摩耗が激しく、最後の2スティントでは攻めることができませんでした。

おそらく、私のスティントの序盤でポルシェ6号車を追走したことで、タイヤの摩耗が予想以上に進んでしまったのだと思います。

全体的に見ても、我々にはフェラーリと戦うための十分なレースペースがありませんでしたが、彼らのイモラでのホームレース勝利を祝福します。次戦のスパではより良いパフォーマンスを発揮できるよう頑張ります。

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マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー):
一時は表彰台を狙える位置にいたと思ったのですが、最後の2時間でそのチャンスを逃してしまいました。

残念ですが、チーム全員が懸命に戦って得た結果です。他車との接触があったのも残念でした。BMWとのバトルの影響により、順位を落とすこととなってしまいました。

この週末はもっと良い結果が期待できると思っていたのですが、運に恵まれませんでした。それでも、これからもプッシュを続けます。

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ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー):
なぜ7位という結果で終わったのか理解が難しく、正直なところ、何と言っていいかわかりません。

我々はクリーンなレースを戦うことができたため、エンジニアとメカニックの努力には感謝しています。しかし、最後はレースペースが足りず、表彰台のチャンスを逃すという痛恨の結果となってしまいました。

もう少しいい結果を期待していたので、次は強くなって戻ってこられるよう、チームと共に努力を続けます。

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セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー):
今日は他車との接触やペナルティなど、いろいろなことがありました。表彰台も狙えたかもしれませんが、全体を考えると、多くのポイントが獲得できたまずまずな一日だったと思います。

フェラーリのレベルには届きませんでしたが、その中でも全力を尽くしました。自分のパフォーマンスには満足していますし、チームとしても2台揃って多くのポイントが獲得できて良かったです。次はスパで上位争いができるよう、全力で取り組んでいきます。

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ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー):
今日は大変な戦いとなりました。最初の2スティントはクリーンなレースで、我々は4位を走行しながら前を行くBMWにプレッシャーをかけ続けていました。

そこまではいい戦いができていたのですが、残念ながらFCY時の速度違反でペナルティを科されることになってしまいました。幸いにも、最後のセーフティカー後、チームの素晴らしい戦略によりその影響は最小限に抑えられ、セブ(ブエミ)はコース上がクリーンな中、フェラーリ50号車と素晴らしバトルを展開しました。

結果としての5位は、レースペースが不足していたこの週末を考えれば、ダメージを最小限に抑えられたと思います。今日はこれ以上できることはほとんどありませんでした。

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平川亮(8号車 ドライバー):
非常に難しいレースでした。着実なレースペースでスタートを切りましたが、不運なペナルティにより大きく順位を落とすことになってしまいました。

しかし、結果的に諦めることなく、上位争いへ復帰するために異なる戦略を試すことにしました。この挑戦が功を奏し、エキサイティングなバトルを繰り広げることができました。

ペナルティを考慮すれば、5位という結果は現状における最良の結果でしょう。もちろんいつでももっと上位の結果を望んでいるので、気持ちは複雑ですが、スパではより強くなって戻ってきたいと思います。

WEC第2戦イモラ6時間 決勝結果