アストンのヴァルキューレ、IMSAで全戦ポイント獲得記録を維持

初のWEC/IMSAダブルヘッダーを完走率100%で終える

アストンマーティン ヴァルキューレ( Aston Martin Valkyrie )は、5月半ばの週末、アストンマーティンTHORチーム所属の3台のValkyrieが、大西洋の両岸で同時に戦うことになった。

まずは5月11日開催されたスパ・フランコルシャン6時間でのValkyrieは、FIA世界耐久選手権( WEC )に於ける自己ベストを記録。レースでは最終盤までポイント獲得争いに絡みながら、総合13位と14位の成績を残した。

一方のラグナ・セカでは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)に出場したValkyrieが10位に入って3連続目となるポイントフィニッシュを果たし、シリーズ全戦ポイント獲得の記録を伸ばした。

この成果についてアストンマーティンの耐久モータースポーツ責任者のアダム・カーター氏は、「今週末、Valkyrieは3台とも心強いパフォーマンスを見せてくれました。

スパのように高速で難しいサーキットで、WEC出場の2台が6時間を通してリードラップを走り続けることができたのは、マシンのパフォーマンス向上に関して私たちが成し遂げることのできた前進を示しています。

WECハイパークラスのライバルたちと比べてValkyrieのペースが上り調子なのは、シーズンの最重要レースであるル・マン24時間レース(6月14日~15日)に向けて好材料だと思います。

スパ・フランコルシャンのWECで自己ベストを記録

また米国に於いて、Valkyrieは好調な走りでポイント獲得圏内に深く食い込んでいましたが、接触後にタイヤの問題が発生するという不運に見舞われてしまいました。にもかかわらず、3連続でのポイント獲得ができ満足した結果を得ています。

これら2つのチャンピオンシップを合わせると、Valkyrieは9回のスタートで8回完走しています。全く新しいハイパーカーとしては驚異的な記録です。

デビューシーズンを通してValkyrieのパフォーマンス向上を積み上げていく中で、この力強い確かさは強力な財産になります。

セーフティカー出動もあった波乱に満ちたスパ6時間レースで、英国人レーサーのトム・ギャンブルとハリー・ティンクネルの#007号車、アレックス・リベラス(スペイン)とマルコ・ソーレンセン(デンマーク)の姉妹車009号車は、共にレースを通してトラブルに見舞われることなく、それぞれ13位と14位でフィニッシュしました。

加えて007号車は、スプラッシュ&ゴーが必要となってしまった残り4周までは10位に入っていました(終盤のピットストップシーケンス中には4位まで上昇)」と述べた。

 

IMSAでもValkyrieは3連続ポイントフィニッシュ達成

この際、#007号車のステアリングを握っていたティンクネル選手は、「一歩ずつ着実に全てがよくなってきています。

レース終盤には十分なポイント獲得圏内で戦っていましたが、残念ながら給油のためのピットストップが必要になりました。半周だけフルコースイエローがもうひとつあれば、というところでしたが、誰にも追い抜きを許さない決意で走りました。

今は飛ぶ勢いで、スティントが終わって戻ってきたときの手応えは益々良くなっています。カタールからイモラ、そしてここへと、大きく前進してきました。素晴らしいことです」と話している。

対してラグナ・セカは、ドライバーとマシンの両方の実力が試されるサーキットである筈だか、ここでもアストンマーティンTHORチームのドライバー、ロス・ガン選手(英国/ロングビーチIMSA GTD Proクラス優勝経験者)と、IMSA GTDチャンピオンのロマン・デ・アンジェリス選手(カナダ)が手堅く競争力のある走りで10位に入り、今回もポイントフィニッシュを果たした。

これは2月のデビュー戦10位、先月のロングビーチ8位に続くもの。この結果により、FIAのハイパーカー(LMH)レギュレーションに準拠したハイパーカーとしてのポイントフィニッシュ記録を再び伸ばすことができた。

Valkyrieは、IMSAとWECの両方で戦う唯一のハイパーカー

この実績についてラグナ・セカを走ったドライバー、ロス・ガン選手は、「ラグナ・セカでも着実に前進するレースが戦えました。

不運なことに、開始後45分に先頭集団との差20秒内を走行中にパンクが発生しました。そこからはフィニッシュまで持っていくことだけに集中することになり、フィニッシュすることができました。

全般的に、前進できたことやGTPクラスのミッドフィールドに近づけたという点で良い週末だったと思います。おかげで、学んだことすべてを集め3週間後のデトロイトに向けた組み立てを行うことができます」と語った。

最後にアストンマーティン初の「ル・マン・ハイパーカー」(LMH)となるValkyrieのことだが、このクルマはIMSA最高峰GTPクラスで唯一、公道仕様のハイパーカーをベースにしている。

従って2月のカタール1812kmレースでデビューを果たしたValkyrieは、IMSAに出場する最初のLMHであると同時に、IMSAとFIA世界耐久選手権(WEC)の両方に出場する唯一のLMHでもあるのだ。

アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズとTHORによって量産モデルをベースに開発されたValkyrieの競技バージョンは、レース用に性能アップしたカーボンファイバー製のシャシーに6.5リッターV12エンジンの改良版を搭載している。

エンジンは標準仕様では最高回転数11,000rpm、最大出力は1,000bhpを超えるが、ハイパーカーのレギュレーションに従い、500kW(680bhp)という出力制限を厳密に遵守している。