トヨタ自動車とセブンイレブン、環境配慮型の次世代型コンビニ網構築へ


トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男)と株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、2017年8月に店舗及び物流における省エネルギー・CO2排出削減に向けた検討に関する基本合意書を締結した。

予てよりトヨタとセブンイレブンは、新たに開発する燃料電池(FC)小型トラックや燃料電池発電機(FC発電機)の活用を検討してきた。それがいよいよ6月6日、共同プロジェクトの具体的な内容が固まり、2019年から順次プロジェクトを展開することになったと都内にて発表した。

このプロジェクトは、セブン‐イレブンの店舗と物流にトヨタが培ってきた技術やシステムを導入し、CO2排出削減を目指すもの。

その計画は、店舗に定置式のFC発電機とリユース蓄電池を導入。それらを店舗エネルギーマネジメントシステム(以下、BEMS)で統合的に管理し、店舗で使用する再生可能エネルギーや水素由来の電力の比率を高め、CO2排出削減を進めていく。

併せて物流のセッションでは、新開発したFC小型トラックを導入し、CO2を含めた環境負荷物質の排出ゼロを目指す。

両社のうちセブン&アイグループでは、「弊社は、取り組むべき社会・環境に関する『5つの重点課題』を明確にし、事業を通じた社会課題解決に取り組んでいます。

その中の一つである『商品、原材料、エネルギーのムダのない利用』の項目では、2015年に国連で採決されたSDGsの目標達成に向け、再生可能エネルギーの利活用、拡大を目指していきます。

具体的には、2030年までに店舗での再生可能エネルギーの利用比率を20%まで引き上げ、CO2排出量を2013年度対比で約27%削減する計画です。

セブン‐イレブンにおいても、セブン&アイグループが掲げる目標に向け、再生可能エネルギーの利用を中心にサプライチェーン全体でCO2排出削減に取り組みを進めています。

また、同取り組みのフラッグシップとして、2017年12月7日に“ひとと環境にやさしい店舗”セブン‐イレブン千代田二番町店を開店。2018年5月22日には、2店目となるセブン‐イレブン相模原橋本台1丁目店を開店し、店舗で使用する電力の再生可能エネルギー比率を46%まで高めております。

今回、トヨタの技術やシステムを店舗や物流拠点へ導入して水素を活用した環境負荷低減に取り組み、2019年春ごろに首都圏でFC小型トラック2台を導入、2019年秋ごろから、さらに再生可能エネルギーの比率を高めた、次世代型店舗への取り組みを進めてまいります」と述べている。

※ セブン&アイグループの「重点課題」5項目は以下の通り
– 高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供、
– 商品や店舗を通じた安全・安心の提供、
– 商品、原材料、エネルギーのムダのない利用、
– 社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援、
– お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上

一方のトヨタは、「持続可能な社会の実現に貢献するため、2015年10月に『トヨタ環境チャレンジ2050』を発表し、地球温暖化や資源・エネルギー問題といった地球環境問題に対し、CO2排出削減、エネルギーの効率的利用や代替燃料の利用促進に向けた水素の活用などに積極的に取り組んでいます。

今回の共同プロジェクトを通じて、セブン‐イレブンの店舗・物流におけるCO2排出削減や省エネルギーに貢献するとともに、FC小型トラックやFC発電機など新たな技術や知見の蓄積・実証を進めていきたいと考えています」と話している。

上記を踏まえた両社の共同プロジェクトの詳細は下記の通り。

(1)店舗で使用するエネルギーを、再生可能エネルギーと、将来的に低炭素水素に移行することを見据え、両社で効率的なエネルギー調達方法と活用について検討する。

(2)店舗にリユース蓄電池やFC発電機を、配送にはFC小型トラックを導入し、各領域でのCO2排出削減を進めるとともに、求められる性能・コスト・耐久性・CO2削減効果を評価し、さらなる展開を目指す。

今後の展開計画

(3)FC発電機
– 店舗にFC発電機を導入し、水素で発電した電力を店舗で使用する。
– 水素ステーションから生じるボイルオフ水素の有効活用も可能。
– 将来的には、低炭素水素の利用も見据え、水素エネルギーの有効活用を目指す。

(4)リユース蓄電池
– 天候によって発電量が左右される太陽光発電の電力を安定的に利用する。
– 店舗の電力需要に対して発電量が余剰している場合は充電、不足している場合は放電することで、店舗での再生可能エネルギー使用比率を高める。
– ハイブリッド車の使用済みバッテリーを再利用しています。
(5)BEMS
– 店舗の電力消費状況に応じて、太陽光発電・FC発電機・リユース蓄電池を制御し、最適な電源構成で店舗へ電力を供給する。

(6)給電機能付き充電器
– EVやPHVへの充電に加えて、EV・PHV・FCVから店舗への給電が可能。災害時に、BEMSと連携して充電器に接続しているEV・PHV・FCVから店舗へ電力供給することで、店舗を継続して営業でき、地域の復旧に貢献する。

(7)物流(首都圏)に導入するアイテム
FC小型トラック
– MIRAIのFCユニットを搭載し、走行中にCO2などの環境負荷物質を排出しない。
– FCユニットで発電した電気は、動力のほかに冷蔵ユニットの電源に使用する。
– 停車中も、FCユニットで発電した電気を冷蔵・冷凍ユニットに給電する。

寸法 :全長 6,185/全幅 2,180/全高 2,970 mm
最高出力 :114kW/155PS
水素貯蔵量 :約7kg(3本)
積載 :中温冷凍車 3トン
走行距離 :約200km
*今回のプロジェクトによるセブン‐イレブンの配送パターンに応じた実用走行距離。トヨタ試算。