富士キメラ総研、「2016次世代カーテクノロジーの本命予測調査」概要公表


環境規制対策・自動運転開発に向けた先進技術・既存技術・代替技術の本命を調査・検証

富士経済グループ傘下で、市場調査(フィールドリサーチ中心)53年の株式会社富士キメラ総研(本社所在地:東京都中央区日本橋小伝馬町12-5、代表取締役社長:田中 一志)は、2016年に於ける次世代自動車技術の進展と本命とされるテクノロジーを独自調査。その成長予測を公表した。

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【調査の背景】
自動車開発では、「環境」「安全」「快適」の向上を目的に、様々なテクノロジーが搭載され、日々開発が進展している。

例えば環境技術に於いては、燃料の燃焼による熱エネルギーを膨張力として取り出すレシプロエンジンの環境対策技術や、燃費改善技術開発が進められている。

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併せて並行して次世代自動車(HV/PHV/EV/FCV)開発も進められている。このためガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車の環境負荷低減を目指した新技術の導入に加えて、ハイブリッド化の進展、EV/FCVの市場展開が注目されている。

安全技術では、先進運転支援システム(ADAS)の普及が進んでおり、今後、自動運転システムの実現に向けたセンシング技術、外部との情報通信技術の高度化が期待されている。

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一方、快適性向上に関する取り組みとして、コックピットの充実、インターフェースの向上が挙げられ、HUDの普及、IVIシステム、スマートフォンとの連携によるサービスの拡充が進展している。

各社が技術開発を進める中で、個々のテーマに対してさまざまな技術アプローチがみられ、方式や構成部品、機能などが異なり、本命の技術が見えづらいのが現状である。

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同社では、今回の調査を「自動車開発で点在する有望技術を、環境技術、自動運転/安全技術、コックピット技術、その他技術に分類し、それぞれの技術における課題、競合技術とのすみ分け・共存・融合の展望を明確にすることで、2020年代の本命技術を明らかにすることを目的とした。

本調査資料が、今後の事業展開において活用していただければ幸いである」と述べている。

【調査目的】
調査では、自動車開発で点在する有望技術を、環境技術、自動運転/安全技術、コックピット技術、その他次世代技術に分類し、それぞれの技術における課題、競合技術とのすみ分け・共存・融合の展望を明確にすることで、2020年代の本命技術を明らかにすることを目的としている。

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【各調査対象】
■2030年の世界市場予測
■自動運転システム:ADASは5,800万台、自動運転レベル3、4は1,100万台超。
■次世代カーナビゲーションシステム:スマートフォン連携システムは普及が進み7,450万台。
■車載電源:48V電源はEUや中国の48VマイルドHVの需要増加により1,685万台。

マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、自動車産業における「環境」「安全」「快適」をキーワードとする有望技術を環境、自動運転/安全、コックピット、その他の4つの領域に分類し、それぞれの技術の課題、競合技術との差異点・共存・融合の方向性を明確にし、それらに応じて変化する機器やデバイスの市場を調査した。
その調査結果を報告書「2016 次世代カーテクノロジーの本命予測」を報告書として以下概要にまとめた。

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1.自動運転システムの世界市場[自動運転/安全技術]
ADAS:先進運転支援システム。センシングデバイスを用いて衝突回避、車線逸脱防止、道路検知などを行う技術
自動運転レベル3:限定条件下での自動走行が可能
自動運転レベル4:安全自律走行を行う高度な自動運転システム

  • ADAS5
    – 2015年1,030万台
    – 2030年予測5,800万台
    – 2015年比5.6倍
  • 自動運転レベル3
    – 2015年 -
    – 2030年予測1,050万台
    – 2015年比 -
  • 自動運転レベル4
    – 2015年 -
    – 2030年予測56万台
    – 2015年比 -
    ※搭載車の販売台数

ADAS搭載車の販売台数は、2015年に1,030万台となった。日本、EU、NAFTAなどでは交通事故低減を目的に、ADAS搭載を推奨している。

EUではEuro-NCAP、NAFTAではUS-NCAやNHTSAでADASを評価基準としていることから、急速に増加していくとみられる。

2020年には、日本、EU、NAFTAにおける販売台数の過半はADAS搭載となる。その後は自動運転レベル3へ移行するとみられ、中国などを中心に自動運転レベル3の増加が期待される。2030年には、ADAS搭載車の販売台数は5,800万台と、全販売台数における構成比は41.5%になると予測される。

自動運転は、先進国を中心にレベル3の生産が2020年から徐々に拡大するとみられる。レベル4の量産は2020年代後半になる見通しであり、高級車や商用車を中心に搭載車が増加するとみられる。

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2.次世代カーナビゲーションシステムの世界市場[コックピット技術]

  • IVIシステム
    – 2015年289万台
    – 2030年予測1,812万台
    – 2015年比6.3倍
  • スマートフォン連携システム
    – 2015年243万台
    – 2030年予測7,450万台
    – 2015年比30.7倍
    ※搭載車の販売台数

次世代カーナビゲーションシステムは、IVIシステム、スマートフォンとディスプレイオーディオなどのディスプレイ類を接続してナビゲーション機能を実現するスマートフォン連携システムを対象とした。

IVIシステムは、日系自動車メーカー、欧州自動車メーカーの高級車への搭載が多くなっている。ADASの搭載が進むなかで、IVIシステムのディスプレイにADAS情報を映すニーズが高まっていくと考えられる。

スマートフォン連携システムは、低価格車を中心に需要が拡大している。ディスプレイオーディオが搭載されている自動車は欧米や中国では非常に多く、今後はディスプレイオーディオとスマートフォンを連携させる需要が急速に高まると予想される。

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3.センシング技術の世界市場[自動運転/安全技術]

  • センシングカメラ
    – 2015年860万台
    – 2030年予測6,906万台
    – 2015年比8.0倍
  • ミリ波レーダー
    – 2015年673万台
    – 2030年予測4,734万台
    – 2015年比7.0倍
  • レーザーレーダー
    – 2015年218万台
    – 2030年予測946万台
    – 2015年比4.3倍
    ※搭載車の販売台数

ここでは障害物の検知・距離の検出を行うセンシングデバイスの搭載車を対象とした。主にADASに用いられるためADAS需要の拡大に連動して市場が拡大する。

センシングカメラは、現状では前方衝突軽減・回避を目的に、FCW(前方衝突警報)、ACC(車間距離制御)、AEB(緊急ブレーキ)で採用が急速に増えている。日本・欧州自動車メーカーでは、センシングカメラ+ミリ波レーダーが主流になりつつあり、米国自動車メーカーでは、センシングカメラ+レーザーレーダーの採用が多くみられる。

ミリ波レーダーは、特に欧州自動車メーカーのAEBでの採用が進むとみられる。2030年には、センシングカメラ+ミリ波レーダーの組み合わせが主流になるとみられることから、センシングカメラ、ミリ波レーダーの搭載車の販売台数が増加すると予想される。

レーザーレーダーは、コスト低減要求の強いコンパクトカーや新興国向け車種の一部で採用されるとみられる。

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4.車載電源の世界市場[その他技術]

  • 48V電源
    – 2015年-
    – 2030年予測1,685万台
    – 2015年比-
    ※搭載車の販売台数

自動車に搭載される車載電源は通常12V電源が採用されているが、燃費規制が厳しい欧州では48V電源を実用化する動きが出ている。2011年にドイツのメーカー5社が「LV148」規格を策定し、48V電源対応車の開発が進んでいる。

2016年から欧州自動車メーカーが48V電源を搭載した48VマイルドHVを投入する予定であり、欧州を中心に市場が形成されるとみられる。2020年からは中国、米国でも採用が増えると予想される。

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5.バイ・ワイヤ技術の世界市場[その他技術]

  • ドライブ・バイ・ワイヤ
    – 2015年8,424万台
    – 2030年予測1億3,982万台
    – 2015年比166.0%
  • シフト・バイ・ワイヤ
    – 2015年86万台
    – 2030年予測3,958万台
    – 2015年比46.0倍
  • クラッチ・バイ・ワイヤ
    – 2015年-
    – 2030年予測815万台
    – 2015年比 -
    ※搭載車の販売台数

バイ・ワイヤ技術は機械式制御に置き換わって電気信号で制御する技術であり、主にEU、NAFTA、日本を中心に搭載が増えている。

ドライブ・バイ・ワイヤは、エンジンの回転を電気制御するため、燃費削減につながるほか、アクセルワイヤやダッシュポットなどの部品が不要になるため軽量化にもつながる。

今後は自動運転などで電子制御化が必須技術となることから、2020年代前半にはどの地域においても搭載率は100%になるとみられる。

シフト・バイ・ワイヤは、シフトレバーのデザインに制約がなくなり、センタークラスター、センターコンソールのデザイン性向上にもつながるため、ハイエンドクラスの自動車を中心に搭載が進むとみられる。

クラッチ・バイ・ワイヤは、コースティングを自動的に行うことが可能になるため、燃費向上が実現できる。

また、高速道路など運転時のみクラッチ操作からオートマチックに切り替えるなどドライバーの運転支援にもつながる。主にMT車の多い地域において2018年から搭載が予想されるが、欧州、中国、新興国に限定的に普及するとみられる。

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【その他の調査対象】
1)調査対象品目
環境技術
4分野14品目
– モーター駆動システム(HVシステム/PHVシステム/EVシステム/FCVシステム)
– 二次電池(EV用LiB/PHV用LiB/HV用LiB/48V電源用LiB/全固体電池)
– 燃費改善システム(アイドリングストップシステム/回生エネルギーシステム)
– エンジンマネジメントシステム(ガソリンPFI/ガソリンDI/DEM)

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自動運転/安全技術
5分野15品目
– 自動運転システム(ADAS/自動運転(レベル3)/自動運転(レベル4))
– センシング技術(センシングカメラ/ミリ波レーダー/レーザーレーダー/レーザースキャナー)
– 路車間・車車間通信技術(DSRC/760MHz帯)
– 広域通信技術(3G回線/4G回線/5G回線)
– 車内通信技術(Ethernet/FlexRay/MOST)

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コックピット技術
4分野11品目
– 表示技術(LCD/フレキシブルディスプレイ)
– HUD(光源タイプ/自発光タイプ)
– 入力操作技術(タッチ入力/ジェスチャー入力/音声認識/視線入力)
– 次世代カーナビゲーションシステム(IVIシステム/カーナビゲーション
– システム/スマートフォン連携システム)

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その他技術
4分野10品目
– 車載電源(48V電源/12V電源)
– 認証技術(キーレス/スマートキー/生体認証)
– バイワイヤ技術(ドライブ・バイ・ワイヤ/シフト・バイ・ワイヤ/クラッチ・バイ・ワイヤ)
– 夜間視野支援システム(ヘッドランプシステム/ナイトビジョン)
以上合計50品目

2) 調査対象企業
自動車メーカー
BMW、Daimler、Fiat Chrysler Automobiles、Ford、GM、Hyundai、PSA Peugeot Citroën、Renault、Volkswagenグループ、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、他
車載部品メーカー
Bosch、Continental Automotive、Delphi、Magna International、Valeo、アイシン精機、デンソー、日立オートモティブシステムズ、他

【調査項目】
(1)技術概要
(2)競合技術の比較
(3)各技術の搭載市場規模予測
(2015年実績~2030年予測)※2016年以降は隔年
(4)エリア分析
(5)メーカー動向/開発動向
(6)技術別搭載コストと今後の見通し
(7)技術別キーデバイス動向
(8)ロードマップ・課題点
(9)本命技術予測

【目次】
I 総括編(1)
I.1 2020年代の自動車将来像(3)
I.2 次世代自動車(HV/PHV/EV/FCV)の普及予測(9)
I.3 パワートレインの本命(13)
I.4 自動運転/安全技術の本命(17)
I.5 コックピット技術の本命(24)
I.6 その他技術の本命(29)
I.7 競合技術の比較(32)
I.8 法規制動向(36)

II 集計編(43)
II.1 ワールドワイド次世代技術の搭載車市場規模予測(45)
II.2 地域別次世代技術の搭載車市場規模予測(47)
II.3 自動車メーカーの開発動向(66)
II.3.1 トヨタ(66)
II.3.2 日産(69)
II.3.3 ホンダ(71)
II.3.4 BMW(73)
II.3.5 Daimler(75)
II.3.6 Ford(77)
II.3.7 GM(79)
II.3.8 VW/Audi(81)
II.4 自動車販売台数基礎データ(83)

III 個票編(87)
III.1 環境技術(89)
III.1.1 モーター駆動システム(HVシステム/PHVシステム/EVシステム/FCVシステム)(91)
III.1.2 二次電池(EV用LiB/PHV用LiB/HV用LiB/48V電源用LiB/全固体電池)(106)
III.1.3 燃費改善システム(アイドリングストップシステム/回生エネルギーシステム)(117)
III.1.4 エンジンマネジメントシステム(ガソリンPFI/ガソリンDI/DEM)(125)
III.2 自動運転/安全技術(135)
III.2.1 自動運転システム(ADAS/自動運転(レベル3)/自動運転(レベル4))(137)
III.2.2 センシング技術(センシングカメラ/ミリ波レーダー/レーザーレーダー/レーザースキャナー)(151)
III.2.3 通信技術(168)
III.2.3.1 路車間・車車間通信技術(DSRC/760MHz帯)(168)
III.2.3.2 広域通信技術(3G回線/4G回線/5G回線)(179)
III.2.3.3 車内通信技術(Ethernet/FlexRay/MOST)(189)
III.3 コックピット技術(199)
III.3.1 表示技術(LCD/フレキシブルディスプレイ)(201)
III.3.2 HUD(光源タイプ/自発光タイプ)(211)
III.3.3 入力操作技術(タッチ入力/ジェスチャー入力/音声認識/視線入力)(221)
III.3.4 次世代カーナビゲーションシステム(IVIシステム/カーナビゲーションシステム/スマートフォン連携システム)(233)
III.4 その他技術(243)
III.4.1 車載電源(48V電源/12V電源)(245)
III.4.2 認証技術(キーレス/スマートキー/生体認証)(252)
III.4.3 バイワイヤ技術(ドライブ・バイ・ワイヤ/シフト・バイ・ワイヤ/クラッチ・バイ・ワイヤ)(264)
III.4.4 夜間視野支援システム(ヘッドランプシステム/ナイトビジョン)(273)

問い合わせ・資料購入申し込み
調査資料名:2016 次世代カーテクノロジーの本命予測

頒価:150,000円+税

発刊日:2016年05月27日

報告書体裁:A4版 オフセット印刷

ページ数:281ページ

担当部署
株式会社富士キメラ総研 第一研究開発部門
TEL. 03-3664-5839 FAX. 03-3661-1414

ISBNコード
ISBN978-4-89443-778-4

富士経済グループ http://www.group.fuji-keizai.co.jp/