ボルボカーズは6月27日、来たる2025年以降の北米向け仕向け車に、北米充電規格(NACS)の充電ポートを搭載すると発表した。これにより当該車は米国、カナダ、メキシコ全土のテスラ製スーパーチャージャー(域内12,000台)を利用出来るようになるという。( 坂上 賢治 )
このNACS規格とは、米テスラ(Tesla)が2022年11月に世界に向けて開放した充電コネクター規格を指す。当地のAC充電と最大1MWのDC充電に対応している。
テスラは先の2022年11月11日、自社の充電コネクターと充電ポートを自社の機器や車両に設置するよう充電ネットワーク事業者や自動車メーカーへの打診を開始していた。
一方、北米では独フォルクスワーゲンやフォード、GMが参画するCharIN(CCS策定団体)によるCCS1充電器が並列して存在している。その違いは、NACSが可動部品がなく、CCS1コネクターの半分の大きさで2倍の充電パワーを備えている点にある。
また北米に於けるEVの充電ネットワーク網は、テスラが敷くNACS網・約1万9000基の規模に対して、CCS1網は約1万5000基の規模と見劣りする。またこれを前提にフォード(今年5月)・GM(今年6月)が相次いでNACS規格の採用計画を発表。この結果、北米地域では充電規格のデファクト化が進んでいく流れだ。
こうしたなかボルボ・カーズは、テスラと契約を結んだ最初のヨーロッパの自動車メーカーとなり、現在および将来のボルボ製EVは、全米のNACS(スーパーチャージャー)網にアクセス出来るようになった。
ボルボ・カーズは「この協定により、米国のボルボ車は12,000 か所の新しい急速充電ポイントにアクセス出来るようになり、テスラが当該地域でスーパーチャージャーネットワークを拡大し続けるにつれて、この数字は更に増加すると予想されています。
これらの新しい充電ポイントは、ボルボのドライバーが既存の何万もの急速充電ポイントにアクセス出来る機能が加えられ提供されます」と記している。
なおボルボ・カーズのジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は「2030年までに完全電気自動車を実現するための取り組みの一環として、電気自動車のある生活を出来るだけ楽にしたいと考えています。
そもそも交通機関による移動を、より持続可能なものにするための重要なステップである電気自動車への移行を、より多くのお客様へご利用頂くための最大の阻害要因は、簡単で便利な充電インフラへのアクセスです。
私達は、このテスラとの合意により、米国、カナダ、メキシコのボルボ車ドライバーに対して、EV利用に係る敷居のひとつを取り除く大きな一歩を踏み出します。
XC40およびC40 Rechargeから、最近発表されたEX30およびEX90に至るまで、ボルボ・カーズの現行ラインナップのドライバーは、ボルボ・カーズ・アプリを通じて簡単に充電場所を見つけることが出来、スーパーチャージャーを使用出来るようになる予定です。
より具体的には2024年前半から、NACS規格に対応したアダプターを使用することでテスラのスーパーチャージャー・ネットワークに接続出来るようになります。
またNACS 充電ポートを装備したボルボ車のドライバーが、既存の複合充電システム (CCS1) の充電器を介して充電を継続したい場合、ボルボ カーズが提供するCCS1対応アダプターを使用して充電を続けることが出来ます」と話している。