「もっといいクルマづくり」に向け、強固な個人情報保護機能を備えた車両取得データ活用の仕組みを世界構築へ
トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田 章男、以下、トヨタ)は1月4日、自社製品のカーユーザーへより豊かなカーライフを提供していくため、「つながる」技術に関する取り組みを加速させていくと発表した。
※ 以下は過去の同社構想動画(2010/12/30・参考動画:約8分)
この「つながる」技術とは、未来に向け変化していく社会・交通環境を踏まえ、ICTによる「つながる」技術を基に「もっといいクルマづくり」を、より強力に推し進めるというもの。
車載通信機の搭載拡大を通じ、クルマの「つながる」化を推進
その「つながる」計画とは、2017年以降のモデル切り替えタイミングを皮切りに、まずは米国に於いて、車載通信機(データ・コミュニケーション・モジュール。以下、DCM)を搭載したクルマをリリースしていく。
その後、同モジュール搭載車を米国以外の地域へも順次拡大し、クルマの「つながる」化を、いずれは世界規模で推進させていく構えだ。
こうした取り組みを介して収集・取得したデータは、次世代車の車両開発に活かして行くだけではなく、自動車を取り巻く付帯サービスの開発、さらには現行車両のアフターサービス向上にも活用していくと云う。
また収集したデータの活用は、上記の目的利用だけに留まらない。DCM搭載車両は事故などのアクシデント発生時に、エアバッグ展開と連動させて、いざと云うときの緊急通報システムとしても活かしていく。万一の際の迅速な初期対応サポートの充実も目指しているのである。
膨大なデータ処理を伴う「つながる」サービスの提供に向け、トヨタ・ビッグデータ・センターを構築
トヨタは、この取り組みに併せ、収集した膨大なデータの処理を確実に実施していくべく、社内のITインフラ環境を大幅に強化・拡張させる。
その手法は、まず現行のトヨタ・スマート・センター内にトヨタ・ビッグデータ・センター(以下、TBDC)を構築。
その中で、カーユーザーの個人情報を高度かつ精緻なセキュリティ環境下で運用。強固な個人情報保護を徹底させつつ、収集したデータの解析、活用、各種サービスへの展開を行っていく。
そして将来は、現状で国・地域で仕様の異なるDCMを2019年までにグローバルで共通化させる。
より安全・安心な「つながる」サービス提供に向け、UIEvolution, Inc.と業務提携
なおデータの収集・取得方法は、様々なスタイルを想定しており、場合によっては、スマートフォンアプリを介して車載システムを利用するケースもある。
そこで、こうした情報処理・保護分野で高い実績を持つUIEvolution, Inc.(以下、UIE : http://www.uievolution.com/ )と共同で、車載システムに実装する標準ミドルウェアを開発していく。
この提携により、UIEは車両データを用いたスマートフォンアプリを開発することも、そのサービス環境をトヨタが認証した外部のサービス・アプリ等を展開する事業者に提供することも可能になる。
これにより、スマートフォンは高セキュリティ環境下でTBDCを介して車両データにアクセスすることが可能となり、トヨタでは安全で安心なスマートフォン連携サービスを提供できるとしている。
個人情報を保護しながら、通信品質・セキュリティを向上
先のUIEへは、トヨタも出資する未来創生ファンド(※ 1 関連記事)が、昨年末に500万ドルの資本出資を実施済み。
今回の発表にあたり、トヨタ専務役員の友山茂樹氏は「急速な進化を続けるIT技術を積極的に取り入れることで、クルマはこれまでにない価値を提供し続けることができます。
中でも、トヨタとして大切にしたいのは、『つながる』化を通じて、すべてのお客様に安心、安全で便利なモビリティライフをご提供することりあるのです」と述べた。
トヨタは、「IoT(Internet of Things)時代の到来を踏まえ、自動車ユーザーが安心して楽しめるモビリティ社会実現に向けて、安全で高セキュリティな「つながる」クルマと、そのITプラットフォームのグローバル展開を推進していきます」と語っている。
(※ 1 ) MOTOR CARSの関連記事
スパークス・グループ、「未来創生ファンド」設立。トヨタ自動車、三井住友銀行が出資者として参画
他メディアサイト参考記事
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