三菱電機の「自動車版ドクターイエロー」、インフラ検査・維持管理展に出展

走行しながら道路や鉄道の変化状況を高精度に三次元計測し解析

三菱電機株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：柵山正樹、以下、三菱電機）は、かねてより開発を進めていた社会インフラ向け「三菱インフラモニタリングシステム」を、鉄道・道路のインフラ製品関わる製品として、サービス化したと発表した。

具体的には、まず鉄道向けにサービス提供を開始し、2016年 10月からトンネル（鉄道／道路双方）向けにサービス提供開始する予定。なお同システムは、「第 7回インフラ検査・維持管理展」（7月 22日〜24日、於：東京ビッグサイト）に出展する予定。

「三菱インフラモニタリングシステム」は、専用の自動車に三次元計測機器を組み込み、走行しながら社会インフラのひとつである「道路」や「鉄道」の変化状況を、高精度に三次元計測しながら、同時に解析を進めていくシステム。

考え方としては、新幹線区間において、線路のゆがみ具合や架線の状態、信号電流の状況などを検測しながら走行し、新幹線の軌道・電気設備・信号設備を検査していく事業用車両「ドクターイエロー」の自動車版と云ってよいようなシステムである。

通常の車両と一緒に走行しながら計測・解析が実施出来るため、以下の利便性がある。

利便性1.
道路・鉄道などの構造物や設備を走行しながら、自動で高精度に三次元計測

計測機器搭載車が、実際に走行しながら計測するので、通行規制などが不要となり、短時間で三次元計測が可能となる。

また、三次元計測が高精度にできることで、ベテラン技術者の熟練に頼っていたトンネル設備などの社会インフラの微小な経年変化の把握や、これまで正確な計測に要した時間が短縮出来る。

利便性2.
高精度解析技術の開発により、社会インフラの変化状況識別の自動化を実現

従来、こうした社会インフラ設備の点検は、主に目視による調査でインフラの点検結果を記録していましたが、記録作業に時間が掛かり、現場作業者のスキルが要求されるなど多くの課題があった。

今回、レーザーによる三次元計測データと壁面用高精細カメラによる高精細画像などを使用することで、トンネル覆工面の変状（ひび割れ、うき、はく離、はく落、変形、漏水など）解析・路面の変状（ひび割れ、轍ぼれなど）解析を行うことができ、記録時間の短縮だけでなく、自動的に正確な記録が可能となる。

利便性3.
各種設備計測・三次元地図作成の自動化により業務の効率化を実現

特に鉄道分野では、従来、路線全体での計測作業を行うには、多くの作業時間を必要とし、かつ、網羅的な計測ができないという課題があった。

今回、 GPS衛星電波が受信できない地下においても、三次元計測データを短時間に取得できるため、そのデータを解析することで、（※1）建築限界の支障位置判定、エアセクション区間の偏位計測、（※2）地上子位置計測など、鉄道沿線に設置された設備を自動的に正確に計測することが出来るため、鉄道計測点検業務の効率化する。

また、連続したデータを取得するなど網羅的な計測ができるので、鉄道の安全運行にも貢献する。

同様に、道路分野においても道路沿線に設置された各種設備を自動で正確に計測することで、道路計測点検業務が効率化できる。

（※1）：交通の安全を確保するため道路、軌道、鉄道上において障害となる工作物や構築物の設置が許されない空間範囲
（※2）：列車の運行を制御するため、線路内に設置された装置

以上により、
（１）道路・鉄道などの構造物や設備を走行しながら、自動で高精度な三次元計測・走行しながら計測するので、通行規制などが不要となる。

（２）これまで人力（目視）に頼っていた点検・計測作業の自動・省力化を実現し、作業のばらつき防止と技術者不足を解決。

（２）高精度解析技術の開発により、社会インフラの変化状況識別の自動化を実現

（３）レーザーによる三次元計測データと、壁面用高精細カメラによる高精細画像などを使用することで、トンネル内の構造物の変化状況を高精度に識別

（４）正確なトンネル覆工面の変状解析、路面の変状解析作業の自動化を実現し、作業時間の短縮に貢献

（５）自動作成した三次元 CADデータや三次元地図データを、設備設計や三次元地図データを用いる様々なアプリケーションに活用可能。

また、今後のシステム改善や進化に関わる展開としては以下の２点を想定・予定しているという。

今後の展開 1．
2018年度に 4機体制に整備される準天頂衛星のセンチメータ級測位補強サービスを活用予定

今後の展開 2．
関連システムとして以下のシステムを順次開発・市場投入していく予定