株式会社SUBARU(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:吉永泰之)傘下のSTIチームがWRXを基にモデフィアを加え、慎重な走行テストを重ねてようやく仕立て上げた「2018年型SUBARU WRX STI」は3月22日、成田国際空港から日本航空の航空機に積み込まれドイツへと旅立った。
2018年モデルのNBRマシンは、2月22日に富士スピードウエイで行われたシェイクダウンテストの後、2月28日・3月1日・2日、3月7日、同13日にも開発および耐久テスト、ナイトプラクティスを実施。
NBR決勝レースで使用するサスペンションセットの組み込み、本年仕様のギアレシオを組み込んだトランスミッションアッセンブリーの投入、本年から規制が厳しくなるターボ過給圧コントロールによるエンジンフィーリングの向上にむけたセッティング調整など段階的に最終仕上げを行い、国内における準備を完了した。
3月20日にマシンは成田空港へと運ばれ、日本航空が用意したボーイング787旅客機の荷室にローディングするパレットに固定。翌々日の22日に取材陣が見守る中、実際にドイツに向けて運行される機体へ積み込まれ、同日午前11時過ぎに飛び立って行った。
今後5月10日から始まる本年のニュルブルクリンク24時間レースに向け、国内の準備を全て終えた車両は、現地でのセットアップを重ねた後、本戦へと臨む。
なお今回STIが利用したのは、日本航空(JAL)の旅客機による車両輸送サービスである「J Solution Wheel」。
貨物パレットに乗せた車両を旅客機の進行方向に搭載し固定するもので、旅客スペースの下部に格納するため、「広い貨物専用機に搭載するよりもスペース効率的が高い」とJALの貨物担当者の方は説明していた。
リフトでパレットごと持ち上げられたNBRマシンは、荷室に入る時点で90度回転され、スムーズに指定スペースに運ばれた。この積込作業に立ち会ったSTI NBRチーム監督の辰己英治氏は「テストは予定通り終了し、順調に準備は進行しています。
富士スピードウェイでのテストだけでなく葛生や太田のテストコースでも走り込みを重ねましたので、今年のクルマはこれまでに既に10,000kmくらい走れています。
例年以上に走り込めているので、今の所不安材料はありません。ほとんどの走行は冷間で、路面温度も25度までと条件設定がニュルの現実に合っていました。
昨年のように、異常に暑いということもあり得なくはないのですが、今年は熱対策を徹底的にやっているので、少しぐらいの温度上昇は問題ないはずです。
現在載っているエンジンもギアボックスも既に3,000kmくらい走り続けていますが、何も問題はないです。現地入りしてから4月第2週末のQFレース、4月20日の走行テストを終えて、エンジン、駆動系を決勝レース用の新品に交換したらあとは本番を待つばかりです。
日本人ドライバーのふたりも富士での耐久テストには参加しており、だいぶ今年のクルマには慣れてきています。特に今年のSUBARUで初めてニュル24時間を走る井口は、決勝レースが相当楽しみの様子です」と語った。
4月14日・15日のQFレースは、SUPER GT鈴鹿テストと重なっているため日本人ドライバーの山内英輝と井口卓人は参加せず、現地にいるカルロ・ヴァンダム、ティム・シュリックの2名体制で練習走行と3時間の練習走行と6時間の予選レースに出場し、最終的なマシンセットアップの調整とドライバーの慣熟を進める予定だと云う。
一方、4月20日に予定している練習走行では、日本人ドライバー2名だけでテストを実施。ドライバーの慣熟をメインにプログラムを進めることになる。レースウィークは5月10日(木)に練習走行とナイトプラクティス(予選1)が行われ、11日(金)の予選2を経て、いよいよ12日(土)15時30分に24時間の決勝レースがスタートする。