ヤマハ発動機、2016年12月期連結業績は減収減益ながらも次期業績増を見込む


ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市、社長:柳弘之、以下、ヤマハ発動機)は2017年2月9日、2016年12月期連結業績を発表した。

その成績は、該当連結会計年度の売上高で1兆5,028億円(前期比1,283億円・7.9%減少)、営業利益は1,086億円(同217億円・16.7%減少)、経常利益は1,021億円(同232億円・18.5%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は632億円(同31億円・5.2%増加)となった。

営業利益の前年からの変動要因は、「高価格商品の販売増」、「プラットフォーム・グローバルモデル等の開発手法や、理論値生産等の製造手法によるコストダウンなどの収益性改善による365億円の増加」、「為替影響により438億円の減少」、「経費増加により144億円の減少」などによるとしている。

為替影響は、対米ドル・対ユーロでの円高進行に加え、インドネシア・ブラジル・インド等の新興国通貨に対しても円高が進んだため。

こうした為替影響を除いた場合、売上高は増収(前期比293億円・1.8%増加)、営業利益は増益(同221億円・16.9%増加)になると云う。
なお、年間の為替換算レートは米ドル109円(前期比12円の円高)、ユーロ120円(同14円の円高)としている。

今期セグメント別の業績については以下の通り

二輪車事業の業績
二輪車事業全体の業績は、売上高9,301億円(前期比1,024億円・9.9%減少)、営業利益360億円(同32億円・8.1%減少)となった。

販売台数は、インド・ベトナム・フィリピンなどで増加、先進国では前年並み、インドネシア・中国・ブラジルなどで減少した。

売上高は、為替影響を受けて事業全体では減収となった。営業利益は、新興国では高価格商品の販売増加やコストダウンの効果により増益、先進国では為替影響を受けて減益、事業全体では減益となっている。

ヤマハ発動機としては、先進国に於いて在庫圧縮、金融ビジネスへの殿組み、さらなる構造改革などを推し進めている。

またインドでは市場好調の中、積極的な販売拡大と同時に損益分岐点を下げる努力を継続し、ブラジル・中国では景気低迷が続く中、構造改革を進めていくとしている。

マリン事業の業績
マリン事業全体の業績は、売上高2,972億円(前期比121億円・3.9%減少)、営業利益554億円(同86億円・13.4%減少)となった。

なかでも船外機の販売台数は、北米・欧州で大型モデルを中心に増加している。ただし事業全体では為替影響を受けて減収・減益となっており、営業利益率19%の高収益体質の維持は達成している。今後は将来に向けて、システムサプライヤーを目指すビジネスモデルづくりを進めていくとしている。

特機事業の業績
特機事業に於ける全体の業績は、売上高1,523億円(前期比172億円・10.1%減少)、営業利益45億円(同115億円・71.8%減少)となった。

レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)の市場に於いては、小売台数自体伸長したが、在庫適正化のための生産調整を行ったため販売台数自体は減少に転じた。

併せてそのための経費増加や為替影響により、事業全体では減収・減益となっている。次期は事業正常化を急ぎながら、新しいプラットフォーム・モデルを市場投入するとしている。

産業用機械・ロボット事業の業績
同分野の売上高は469億円(前期比4億円・0.8%増加)、営業利益75億円(同3億円・4.2%増加)となった。

主力のサーフェスマウンターの販売台数は、中国景気低迷の影響で減少したが、高付加価値商品の販売増加などにより増収・増益となっている。

営業利益率は16%を達成し、高収益体質づくりを進めている。今後は、高速・多機能領域のサーフェスマウンター、統合制御型ロボットシステム等、次世代型のソリューションビジネスを提案し、顧客対象を広げていく策を打っていくとしている。

その他の業績
同分野では、売上高763億円(前期比31億円・4.2%増加)、営業利益52億円(同12億円・30.1%増加)となっている。

なかでも電動アシスト自転車の市場領域では、欧州向けE-kit(電動アシスト自転車用ドライブユニット)の輸出や、国内向け完成車の販売が伸長し、その他の事業全体で増収・増益となった。今後は世界市場に向けて、さらに顧客対象の拡大を目指していく。

次期連結業績の見通しについて
ヤマハ発動機としては、次期業績について、総じて前期同様の市場環境・経営環境が続くものと想定している。具体的には、中長期的な取り組みを着実に進めながら、安定的利益の持続を目指して行くと述べている。

なお次期連結業績の予想は以下の通りとした

  • 売上高 1兆6,000億円(972億円・6.5%増加)
  • 営業利益 1,200億円(114億円・10.5%増加)
  • 経常利益 1,200億円(179億円・17.6%増加)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 750億円(118億円・18.8%増加)
    ※( )内は対前期増減。
    ※為替レートについては、米ドル110円(前期比1円の円安)、ユーロ115円(同5円の円高)を前提としている。

最後に利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当に関しては、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当性向の目安としている。

該当当期の期末配当は、1株につき30円の実施を2017年3月23日開催予定の第82期定時株主総会に上程する予定。これに中間配当金(1株につき30円)を加えた年間配当金は60円となる。なお次期の配当金については、連結業績予想に基づき年間65円(中間32円50銭、期末32円50銭)を予定している。