ボルボ・カー・ジャパン、年内に販売全モデルの電動化を達成へ


ボルボ・カー・ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:リチャード・スナイダ―ス)は8月25日の午前、東京の主力販売拠点のひとつボルボ・カー世田谷に於いて、オンライン記者会見を開催。この壇上で、同社のリチャード・スナイダ―ス社長は、ボルボブランドに於ける電動化戦略の進捗を改めて説明した。(坂上 賢治)

その内容は、内燃エンジンの単一搭載車を年内にも刷新。全車種ラインナップをいち早く電動化させるというもの。ちなみにこれを同社の指針に沿うと、例外なく現行車両をPHV(プラグインハイブリッド)車。あるいは48Vハイブリッド車に置き換えることを意味している。

この計画に沿ってボルボ・カー・ジャパンは、同日を以て、コンパクトSUVセグメントの「XC40」にPHV車である「XC40 Recharge Plug-in Hybrid T5(リチャージ・プラグインハイブリッド・ティーファイブ)」を新設。さらにプレミアム・ミッドサイズSUVの「XC60」と、フラッグシップSUV「XC90」のパワートレインを48Vハイブリッドにすると畳み掛けた。

新たに設けられたXC40 Recharge Plug-in Hybrid T5は、電動モーターのみで走ることができる「Pureモード」であれば約40km以上の電動走行が可能だ。これを一般ユーザーの日常生活に置き換えると通常の通勤利用であるなら事前に蓄えた100%の蓄電力だけで賄えてしまう計算となる。

この新型車の導入によりボルボ・カー・ジャパンは、日本国内の全販売モデルでPHV車のフルラインナップ化を完了。さらに先の通りSUVタイプ3モデルのラインナップもPHV化と48Vハイブリッドにしていくことで内燃機関のみのクルマを一気に一掃させていく。

また同日本法人は、年内にもプラグイン・ハイブリッドモデルを除く、SUVライン外のガソリンエンジン搭載車も48Vハイブリッドとしていくことで、早くも日本国内に於けるボルボ車電動化計画の第一段階を完了させる計画だ。

なおボルボ・カーズでは、こうした電動化推進計画を体現するべく、電動車(BEV=バッテリー・エレクトリック・ビークル)とPHVに、先のXC40 Recharge Plug-in Hybrid T5の車名にも使われた新プロダクトライン「リチャージ(Recharge = 外部充電可能)」を導入。

これまでボルボ・ブランドとしてプラグインハイブリッドモデルの呼称として長らく使用していたTwin Engine(ツイン・エンジン)名を廃止し、「Recharge Plug-in hybrid(リチャージ・プラグインハイブリッド)」とする。

また近未来に向けた電動化戦略を象徴するモデルとして、2021年内に初のピュアBEVの「XC40 Recharge Pure Electric(リチャージ・ピュア・エレクトリック)」も投入する。

一方で48Vハイブリッド車の「B4」「B5」「B6」は、CDA(シリンダー・ディ・アクティベーション:気筒休止)システムを装備。さらに約90%に上るパーツを新設計して徹底したフリクションロス低減を図り、かつISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)による回生ブレーキからの電力を48Vリチウムイオンバッテリーに蓄えることで、これをエンジンの補助動力として使う仕様となる。

最後に日本国内の車両販売成績だが、2020年1月~7月の数値は33万2253台と前年比16%減となった。対して2020年7月単月の世界販売台数では6万2291台と対前年比14.2%増になっており、この成績に日本市場も1.2%増で貢献。世界並びに日本国内の事業推移に回復の兆しが見え始めているとした。

この要因には、欧州のパンデミック規制が緩和されてきていること。コンパクトSUVの「XC40」がブランド全体を底上げしていること。さらに先から説明されている新たなRechargeラインナップが拡充していることを挙げている。結果、各地域に於ける販売シェアは倍増した。

今後は以降5年間の期間を通して、さらにBEVを5車種を新規導入する予定であり、2025年までに世界販売台数の50%をBEVに。残りをPHV、48Vハイブリッドに置き換えていく計画だという。

ちなみに同社は、このような車両のエネルギーマネジメントに関わる取り組みを、同じように車両の製造現場に於いても波及させていく意向だ。

具体的には来る2040年までに競合他社から抜きん出た孤高のクライメートニュートラル企業を目指す。そのためにも、車両の電動化のみならず〝開発・生産・サプライチェーン〟に至る企業活動全域で、環境負荷を大きく削減させるべく積極姿勢を見せている。