トヨタ、Uberに5億ドルを出資し自動運転車技術の協業拡大


トヨタのガーディアンシステムを、Uber(ウーバー)社の自動運転キットと融合させ、Uber社のライドシェアネットワークに導入

トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田章男)とUber Technologies, Inc.は8月28日、自動運転技術を活用したライドシェアサービスの協業を拡大する。

具体的には自動運転技術の開発促進に加え、開発した車両のライドシェア市場への投入を目指す。これを踏まえ以降は計画の実現に向けて、両社の持つ技術を搭載したライドシェア専用車両を、Uber社のライドシェアネットワークに導入していく意向だと云う。

また加えて、トヨタはこれに併せてUber社に対し5億ドル(約555億円)を出資する。この発表についてトヨタの副社長で、“コネクティッドカンパニー”プレジデントの友山茂樹氏は「世界最大のライドシェア企業の一つであるUber社との提携は、トヨタがモビリティカンパニーへと変革する上で、重要なマイルストーンになるでしょう。

トヨタとUber社、両社の技術とプラットフォームを連携させたライドシェアサービスは、安全で安心な自動運転モビリティサービスの実現へ向けた一つの道筋になると考えています。

Uber社とトヨタが自動運転技術の今後を見据える際に、規模の拡大という意味でも、今回の協業は非常に重要なものとなります。

また両社は、協業を通じ導入する量産型の自動運転車両の運営や、第三者を含む運営会社についても検討していく予定です」とコメントした。

一方、Uber社CEOのダラ・コスロシャヒ氏は「今回の協業は、Uber社にとって前例がないものであり、常に世界水準の技術を自社のネットワークに導入するという決意を示しています。

我々の目標は、Uber社のネットワークに、世界で最も安全な自動運転車を投入することであり、今回のトヨタとの合意はその実現に向けた大きな一歩になります。

我々の先進技術と、トヨタの安全へのコミットメントや世界的に有名な製造技術との組み合わせは、ごく自然な調和であり、両社が協力して生み出される成果が大変楽しみです」と話している。

なお今計画を踏まえて投入される予定車両は、トヨタのミニバンであるシエナが最初の自動運転モビリティサービス「Autono-MaaS」専用車両となる。

ちなみに「Autono-MaaS」とは、Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaS(Mobility-as-a-Serviceモビリティサービス)を融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語だ。

このAutono-MaaS車両は、コネクティッドカーの基本的な情報基盤として機能する“モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)”に常時接続すると共に、Uber社の自動運転キットとトヨタのガーディアン(高度安全運転支援)システムを搭載する。両社はこの車両を、2021年にUber社のライドシェアネットワークに導入する予定としている。

この車両開発に関してToyota Research Institute(TRI)のCEOで、トヨタのフェローであるギル・プラット氏は、「Uber社の自動運転キットとトヨタのガーディアンシステムの双方が、二重に周辺状況をリアルタイムで監視することで、車両の総合的な安全性を高めます。

両社の自動運転技術の開発と導入を加速させる今回の協業に期待しています」と語っている。なお、このトヨタによるUber社への出資や協業案については、規制当局の承認の下で実施される見込みだ。