「公共交通空白地」に於ける自家用車を用いた有償運送解禁を受け、「ライドシェア」向けの自動車保険を新開発
東京海上日動火災保険株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:永野 毅、以下、東京海上日動)は、バス・タクシーによるサービスが提供されない地域(いわゆる「公共交通空白地」)に於ける「自家用有償旅客運送(いわゆるライドシェア)」の利用拡大を受け、「自家用有償旅客運送」の事業者向け自動車保険を新たに開発し、販売を開始する。
1.ライドシェア向け保険開発の背景
「自家用有償旅客運送」とは?
近年の少子高齢化・人口減少に伴い、特に地方都市や過疎地域などに於いて、公共交通事業を取り巻く環境が年々厳しさを増し、住民の移動手段の確保が切実な課題となってきている。
このような状況を受け、生活交通の確保を目的とする場合であれば、市町村や NPO 法人などによる自家用車を用いた有償運送(「自家用有償旅客運送」)を認める規制緩和が、平成18年に道路運送法において行われた(※1)。
そこで上記の規制緩和を活用して、バス・タクシーによるサービスが提供されない地域(いわゆる「公共交通空白地」)に於いて、「自家用有償旅客運送」の利用が拡大していることを受け(※2)、東京海上日動火災保険は、こうした「自家用有償旅客運送」ことライドトェア事業者向け、乗員の安全を担保することのできる自動車保険を新たに開発し、販売を開始した。
(※1) 市町村や NPO 法人などが、自家用有償旅客運送を運営する際は、運営協議会において地域の関係者(バス、タクシー事業者を含む)の合意を得たうえで、国土交通省の登録を受ける必要がある。
(※2) 平成 27 年 3 月 31 日時点で 519 団体がある。
(国土交通省「国家戦略特区 WG ヒアリング説明資料 平成 27 年 9 月 17 日」より)
2.「自家用有償旅客運送事業者向け自動車保険」の概要
(1)商品の概要
この保険が適応されるのは、自家用有償旅客運送事業において、市町村や NPO 法人等が事業者となり、住民ボランティアなどの個人の方を運転手として、持込み自動車を用いて旅客運送する形態。
上記形態に於いて、旅客運送中に事故を起こした場合は、運転手本人に加え事業者も法律上の損害賠償責任を負うことがある(民法上の使用者責任や自賠法上の運行供用者責任等)。
この場合、当該運転手が加入している自動車保険を使用することが一般的なのだが、当該運転手の自動車保険では、補償が不十分で、事業者も損害賠償を負担せざるを得ない場合に、「自家用有償旅客運送事業者向け自動車保険」で補償するというもの(※3)。
具体的に同保険で支払いが想定される例は以下のようなケースが考えられる。
(1) 損害賠償責任額が運転手本人の自動車保険でお支払できる限度額を超過する場合。
(2) 運転手本人の保険加入が漏れているなど、運転手が損害賠償責任額を支払うことができない場合等。
(※3) 同商品は、運転手としての登録時に運転手本人が自動車保険に加入していることを前提としている。
(2)販売開始時期
2016 年 3 月 7 日より販売が開始されている。
さらなる詳細・問合せは東京海上日動火災保険株式会社まで
< http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/ >
同社・問合せ、アクセスページ
< http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/inquiry/ >
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以下参考情報(外部リンク)
自家用有償旅客運送について(国土交通省)
< http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000012.html >
自家用有償旅客運送の利用実態と課題(前橋工科大学・地域交通研究室・PDF書面)
< http://www.maebashi-it.ac.jp/~yuzawa/paper%20miyazaki%20sotuken.pdf >
「ライドシェア」は違法な白タク行為か?上陸した自家用車相乗りビジネスの是非
(ダイヤモンドオンライン過去記事・2015年8月28日掲載)
< http://diamond.jp/articles/-/77474 >