警察の協力を得て、車検切れ車両の取り締まり施策を強化・広域展開へ
国土交通省は9月15日、車検切れ車両の取締り対策強化を広く社会に対して告知するべく、同省開発の可搬式「ナンバー自動読取装置」を用いた車検切れ車取り締まりの公開デモンストレーションを実施した。
同省は、予てより車検切れで無車検状態となっている車両の使用者に対して、注意喚起ハガキを送付するなどの地道な注意喚起活動を続けてきた。
しかし先に、通勤・通学などの時間帯を中心にナンバー読取装置を利用して、主要道路の特定区間で通過する車両のナンバープレート情報を実際に調査してみたところ、全通過車両のうち約0.27%が車検切れ車両であるという驚くべき実態が判明した。
この数字は、主要幹線道路を走る実稼働車両から抽出したデータであることから、交通社会上での正確な車検切れ車の実態数を表していると考えられ、その数値は、平成29年6月末現在の国内自動車保有台数81,605,442台(自動車検査登録情報協会調べ)で換算すると、実に20万台分にも相当する。
またこうした車検切れ車の多くは、無保険車であると想定されることを踏まえて同省は、車社会の安全・安心を脅かす、このような深刻な車検切れ車両の取り締まりを強化するため、今年度にも一般公道に於いて、可搬式のナンバー自動読取装置を設置・導入する意向だと云う。
具体的には、この装置を2017年度中に全国5カ所で試験導入すると述べており、翌2018年度には、さらなる本格導入と運用が開始される見込みだ。
そこでこれを踏まえて、国土交通省はナンバープレートを撮影するカメラと、撮影した情報を照合するデータベースとで構成された「ナンバー自動読取装置」の公開デモンストレーションを東京都内に於いて行った。
この装置は、移動式カメラで撮影した車両映像から、精密に走行車両のナンバープレート情報を取得。これを登録車両のデータベースと照合して、瞬時に車検切れの有無を判別する。
なお実際の取り締まりの現場では、国土交通省の係員が同システムの管理・運用を担い、万が一車検切れ車両を発見した際は、その進行方向前方に待機している警察官が、安全な確認検査エリアに該当車両を誘導。
自動車検査証などから、車検切れが確認・発覚された場合には、直接指導や警告などの行政処置を受けることになる。
もとより車検切れ車を公道で走らせた場合は、道路運送車両法違反の「無車検車運行」にあたり、例え、他の前歴がない場合も違反点数6点、30日間の免許停止、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則対象となる。
さらに車検切れ車であり、かつ自賠責保険切れでもある車を公道で走らせた場合は、例え、他の前歴がない場合も違反点数12点(運転免許停止処分に該当)、90日間の免許停止、1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金という処罰の対象となってしまう。
加えて元々車検切れ車は公道を走れない訳であるから、車検切れ発覚時点で公道を走ることができなくなり、レッカー車を手配する。
または再度車検を取得するにしても仮ナンバー申請を行わなければならない等、車検取得についての費用や手間について高額なコストを負担しなければならない。
加えて常習性が認められる場合は、さらなる罰則を受けてしまう可能性もある。
そこで公開デモンストレーションを実施した国土交通省の奥田哲也自動車局長は、「車検切れの車両は、交通社会の安全・安心の担保という目的のみならず、自動車損害賠償責任保険切れの可能性が極めて高いことから、早期に是正を図っていく必要があります。
公開したナンバー自動読取システムは、可搬式であるため設置場所を選ばす、車検切れ車両の補足という面で大きな効果が期待できます。
自動車使用者の皆様には、安全・安心な車社会のため、車検ステッカーや車検証の有効期間をご確認頂き、うっかり忘れ等がないよう車検及び点検・整備の確実な実施をお願い致します。
当省は今後も、警察の協力を得つつ無車検車対策をより総合的かつ包括的に推し進めてまいります」と語っていた。