日産、クルマの電動化・知能化をリードする「日産インテリジェント・モビリティ」発表
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区 社長:カルロス ゴーン)は3月1日(欧州中央時間)、ジュネーブモーターショーにて「ゼロ・エミッション」・「ゼロ・フェイタリティ」の実現に向けたビジョン「日産インテリジェント・モビリティ」を発表した。
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同ビジョンは、日産が商品を進化させていく上での指針となるもの。具体的には、更なる運転の楽しさを追求すると同時に、クルマがエネルギーをどのように使い、どのように走るのか、そして社会とどのようにつながっていくのかという3つの領域についての考え方を明確化し、同社の重要な意思決定を支えていく。
日産の社長兼CEOのカルロス ゴーン氏は、「『日産インテリジェント・モビリティ』は、世界中のお客さまに向けた安全かつ持続可能な社会の実現を目指すためのビジョンです。
その実現に向け当社は、グローバルでの電気自動車セグメントにおける先駆者かつリーダーとして長期的な戦略を発表しました。
我々は『ゼロ・エミッション』『ゼロ・フェイタリティ』に関する取り組みを次の段階に進め、2020年までに幅広い車種に自動運転技術を搭載するために、研究開発に多大な投資をしています。
日産は、こうした取り組みによって、電気自動車や自動運転など革新的な技術による価値を世界中のお客さまに届け、モビリティの新しい時代への道を切り開いていきます」と語った。
2016年、欧州で自動運転の公道デモンストレーションを実施
この「日産インテリジェント・モビリティ」は、以下の3つの領域から構成されている。
- 日産インテリジェント・ドライビング:クルマがより信頼できるパートナーへ。日産の自動運転技術「パイロット ドライブ」が代表例
- 日産インテリジェント・パワー:クルマの更なる効率化と電動化による走りの楽しさ。電気自動車が代表例
- 日産インテリジェント・インテグレーション:クルマと社会がつながることで生まれる新しい価値
なお、それぞれの領域を支えるのは、日産が持つ最先端技術となる。これには高度な車両制御技術や信頼性の高い駆動システムなどの自動運転にもつながる安全技術、最新のエンジンとトランスミッションを組み合わせた高効率なパワートレイン、エネルギーマネージメントのソリューションなども含まれる。
日産ではこの活動にあたり、「お客さまがクルマで過ごす時間をこれまで以上にリラックスでき、活力を与えワクワクするものにするために、このビジョンを通じて、技術が提供する価値を変えていきたいと考えています」と述べている。
日産が掲げる3つの領域についての概略は以下の通り。
日産インテリジェント・ドライビング
「日産インテリジェント・ドライビング」は、走り、快適性、安全性を構成する要素だ。
日々の運転におけるストレスを取り除き、危険のリスクを減らす技術の多くはすでに実用化しており、ドライバーは危険を認識し、適切なアクションをとることで、安全性を高めることができる。
日産は車線逸脱警報、車線逸脱防止支援システム、エマージェンシーブレーキなどの「セーフティ・シールド」技術によりこの分野でリードしてきたが、今後、自動運転技術を主要車種に投入していくことでそのリーダーシップをさらに推し進めていく。
日産は、2020年までに欧州、米国、日本、中国向けの複数車種に自動運転技術を搭載する予定。
同技術は各市場における主要モデルに搭載予定で、自動運転の第一段階となる高速道路上の単一レーンで安全な自動運転を可能にする技術を搭載した最初のモデルを今年日本で発売する。
さらに2017年には欧州向け「キャシュカイ」に同技術を採用する予定。また、欧州では、公道での最先端の自動運転のデモンストレーションを2016年内に実施予定としている。
日産インテリジェント・ドライビングについて、日産自動車でグローバルマーケティング&セールスを担当する副社長のダニエレ スキラッチ氏は、「日産は長年、自動運転技術の開発に取り組んでおり、実際にクルマが使われる環境で技術を検証するため、2013年以降、公道での実証実験を実施しています。
日産は自動運転技術を通して、より楽しく、よりストレスの少ない運転をお客さまに提供することを目指しています」とコメントしている。
日産インテリジェント・パワー
日産は長年、電気自動車の分野で、技術・販売の双方において業界をリードしてきた。日産のカーユーザーからは、電気自動車ならではの高い静粛性や力強い加速等で一定の評価を得ている。
今回はさらにそうした電気自動車の先進性を伝え・味わってもらうためにも、より長い航続距離の実現に向け、バッテリーのエネルギー密度と性能の向上に取り組んでいく。
今回のジュネーブショーで欧州初披露となった60kWhの大容量バッテリーを搭載した「ニッサンIDSコンセプト」は、NEDCモードの1回当たりの充電で550kmの航続距離を実現している。
また、日産では並行して充電時間の短縮や他の革新的な手法で電気自動車の可能性を広げるための技術開発も行っている。
こうした様々な燃料から電気を生み出す燃料電池などの革新的な技術により、車両の電動化を進めるとともに、再生可能エネルギーの活用も推進。それにはダウンサイズターボやエクストロニックCVTなどの燃費向上や快適な走りを実現するための既存技術もインテリジェント・パワーに含まれる。
この領域に於ける取り組みについて、先のスキラッチ副社長は、「日産は未来に向けて、幅広いエネルギーの活用にチャレンジしており、様々な技術に投資を続けていくことは我々の使命と考えています。
これまで発売した『日産リーフ』が走行した距離は、合計21億キロメートルを越えており、多くのお客さまにご満足いただいています。
これは我々の電気自動車や革新的な技術を市場に投入する高い能力を証明するものです」とコメントした。
日産インテリジェント・インテグレーション
自動車メーカーはどのように社会に対して新しい価値を提供し、より環境に優しく、より安全な車社会の実現に貢献できるのか?
その答えは充電インフラの整備だけでなく、クルマ、人、そして社会インフラをネットワーク化することにある、と日産は考えていると云う。
クルマを道路、情報ネットワーク、電力網といった社会インフラとつないでいくことで、将来的な渋滞の緩和やより効率的なカーシェアリング、遠隔操作によるクルマの新しい使い方やエネルギーマネージメントの効率化などが実現される。
そこで日産は、日本、欧州、米国、メキシコなどの市場で、電気自動車の充電ネットワーク拡大にも貢献し続けている。
急速充電器は、既に世界で10,000基以上設置。また、欧州において、日産はパートナーとともに、他社の電気自動車でも充電できる急速充電器の増設に取り組んでいる。
これにより市場全体が成長し、日産のユーザーだけではく、欧州すべてのユーザーの利便性が向上し、より安心して電気自動車を利用する環境整備を進めていく。
実際、電気自動車は、仕事やプライベートで使うデバイスであるゆえに、どこでも自由に使えることを望んでおり、こうした流れは自動車にも広がっていく。日産はそうした人とクルマがつながる社会の実現にも貢献していく。
最後にスキラッチ副社長は、「日産は、『インテリジェント・インテグレーション』は、『インテリジェント・パワー』と『インテリジェント・ドライビング』の取り組みを社会と融合させます。
インテリジェント・モビリティは、運転をより楽しいものとするだけでなく、日産の目指す『ゼロ・エミッション』と『ゼロ・フェイタリティ』の実現に向けた重要な一歩です。
この重要な目標を達成するために、自動車メーカーはより幅広い責任を担っていく必要があります。
自動運転を支えるための法整備、基準作り、政策作りに向け、我々は行政と一緒に努力を重ねていかなければなりません。
日産インテリジェント・モビリティ」はセーフティ・シールドの技術や、電気自動車などの形で既に実用化が始まっています。
そして2016年に日本で、2017年に欧州で自動運転技術を搭載したクルマを投入します。
日産が描くインテリジェント・モビリティの全体像は、カーシェアリングや統合的な交通マネージメントシステム、非接触充電ネットワークなどの実現とともにより明確になっていくのです」と結んている。