伊フィアット、ダンテ・ジャコーザを称える特別展

ステランティス傘下のフィアットは7月15日、著名なデザイナー、ダンテ・ジャコーザの生誕120周年を記念し、ステランティス・ヘリテージが彼の最も重要な技術革新を振り返る特別展を開催する。

40年以上にわたりフィアットのエンジニアリングとデザインを牽引したジャコーザは、技術的な創意工夫と機能的なエレガンスを融合させ、20世紀を象徴する名車の数々を生み出した。

そんなダンテ・ジャコーザは1905年、ローマでピエモンテ州クーネオ地区ネイヴェ出身の家庭に生まれた。

1927年にトリノ工科大学で機械工学の学位を取得。翌年、デザイン製図工としてフィアットに入社し、イタリア自動車産業の歴史において最も注目すべきキャリアをスタートさせた。

ダンテ・ジャコーザ(1972)

長い社内成長期を経て、1946年に自動車技術局の局長に任命され、戦後のフィアットの主要モデルの開発を指揮する。

そんな彼の最初の大ヒット作は500「トポリーノ」(1936年)で、第二次世界大戦後は1400、1900、カンパニョーラが続いた。

500トポリーノ

1955年の600ではリアエンジンレイアウトを導入し、ムルティプラではコンパクトで多用途な車の道を切り拓いた。

1957年は、創意工夫と機能性を兼ね備えた傑作であり、イタリアに於ける大衆自動車化の象徴であり、1959年には権威あるコンパッソ・ドーロ賞を受賞したヌオーヴァ500の誕生した。

600ムルティプラ

その後も、1800、1300-1500、124(1967年カー・オブ・ザ・イヤー)、128(1970年カー・オブ・ザ・イヤー、フィアット初の前輪駆動車)、127(1972年カー・オブ・ザ・イヤー)といった象徴的なモデルを次々とデザインした。

アウトビアンキとの共同開発により、イタリア初の前輪駆動・横置きエンジン搭載車となった革新的なプリムラも開発している。

そんな彼は、フィアットでの勤務に加え、トリノ工科大学で約20年間教鞭を執り、「Motori Endotermici」などの基礎書を出版し、62件の特許を取得し、権威ある国際工学協会で要職を歴任した。

フィアット600

彼はエンジニアリングのビジョン、美的感覚、そして人文主義的な教養を融合させた人物でもある。1970年、社長顧問に任命された直後にフィアットを退社し、回想録の執筆に専念。

著書『I miei 40 anni di progettazione alla Fiat』の中で、彼の全キャリアを導いた手法と情熱を綴っている。そして1996年、91歳でトリノにて逝去した。

彼の教えは、今日においても高い意義を持ち、直感、シンプルさ、そして設計の厳格さのバランスを基盤としている。また自身の記述で「設計する」とは、困難を評価し、本質的な問題を特定し、それらを最もシンプルかつ完全な方法で解決することでもあるとした。それは、何世代にも亘るエンジニア、デザイナー、そしてイノベーターたちにインスピレーションを与え続ける遺産となっている。

500ジャルディニエラ

今回トリノの歴史的なミラフィオーリ工場、トリノのプラヴァ通りにあるオフィチナ81の印象的な空間で開催されるこの特別展では、敷地の入り口に10台の車両が展示される他、ヘリテージ ハブが保有するジャコーザの他の傑作が紹介される。

展示ではフィアット500「トポリーノ」から、多用途な600 ムルティプラ、そして革新的なフィアット 128 など、ジャコサがデザインした象徴的な車両 10 台が展示される。

これらのモデルに加え、展示通路では、今年で 70 周年を迎えるフィアット600 のオリジナルプロトタイプの他、伝説のフィアット600の源流であり非常に希少なプロトティーポ 100 など、ヘリテージ・ハブに収蔵されているあまり知られていない作品も紹介される。

そもそも今年はダンテ・ジャコーザ生誕120周年に加え、彼の代表作のひとつでもあるフィアット600の70周年でもある。

これらは、博物館の主要なテーマ別エリアの外にある製品もあるため、訪問者は、あまり知られていないものを見つけることができるだろう。

展覧会は2025年9月中旬まで開催され、最前列にはジャコーザがデザインした数多くのモデルが展示されます。

それぞれの車は、テクノロジー、アクセシビリティ、そして先進性を兼ね備えたモビリティのビジョンを体現する証であり、自動車界に革命をもたらし、イタリアの自動車産業発展に重要な役割を果たした天才デザイナー、ダンテ・ジャコーザの類まれな功績を反映している。

ステランティス ヘリテージは、20世紀の自動車工学界での最も優れた頭脳のひとつに敬意を表し、フィアットブランドの国際的な名声を築く上で重要な役割を果たした先見の明があった彼の考え方とデザインの遺産を称える。

またこの取り組みを通じて、ひとりのデザイナーを取りあげただけではなく、技術的な精度と人間主義的な精神を融合させ、工業生産を超えた足跡を残した人物にも敬意を表します。

なおこのヘリテージ・ハブで開催されるこの展覧会は、2025年9月まで一般公開される。チケット取得のアクセスは文末のURLリンクから。

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