日産自動車、新型セレナに自動運転を可能とする「プロパイロット」を搭載して8月発売へ


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日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は7月13日、同社横浜のグローバル本社1階に於いて、8月下旬発売予定の新型「セレナ」に、同社が鋭意開発中の自動運転技術を一部利用した「プロパイロット」を初搭載すると発表した。

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この新技術となる「プロパイロット」は、高速道路の単一車線上を、同社の自動運転技術の一部を用いて、「渋滞走行時」と「長時間の巡航走行時」の2つのシュチエーション下でアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動的制御し、ドライバーの運転の負担を軽減する運転補助機能。

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新型セレナの製品としての優位性を語る日産自動車、日本・アジア・オセアニア事業担当の中村公泰取締役副社長

渋滞走行時のハンドル、アクセル、ブレーキすべての自動化は、国内自動車メーカーとしては初の技術(既にメルセデスベンツ、BMW等の輸入車では実現している)ではあるが、現段階では、車線変更処理等の拡張性は持たせておらず、あくまでも単一車線上を半自動で走行するレベル。

イメージ的には、これまで高速道路で利用してきたオートクルーズ機能が大きく拡張した概要と考えると判り易い。

基本的な仕組みは、イスラエルに拠点を置くモービルアイ社< http://www.mobileye.com/ >の単眼カメラによる画像解析技術に、日産自動車が自ら開発してきた技術を重ね合わせた。

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「プロパイロット」だけでなく、使い勝手を向上させる数多くの新機能について語った日産自動車、製品開発担当を担う坂本秀行副社長

これによってセレナ自体に搭載されたCPUなどの専用演算ユニットが、道路と交通状況を3次元的に把握。ステアリングを正確に制御して、人間が運転している感覚に近い自然な走行を実現するというもの。

今回、新型「セレナ」へ「プロパイロット」を搭載するにあたっては、日本の高速道路での使い易さに拘った開発を続け、北海道から沖縄に至る各地・各シーズン毎に、考えられる様々な走行環境に於ける実走テストを、実際のテスト車両を用いて何度も繰り返してきたと云う。

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「プロパイロット」の技術説明並びに開発時のエピソード等を語る日産自動車、電子技術・システム技術開発本部/AD&ADAS先行技術開発部長の飯島徹也氏

「プロパイロット」機能の動作開始は、ステアリングスイッチの操作のみでシステムを起動・設定することができる。

またその場の様々な走行環境に対して、自動運転機能がどのように動作しているかを分かり易く表示する専用ディスプレイを採用する等、機能そのものの使い勝手と併せて、搭載された自動運転機能が担える守備範囲を、リアルタイムにドライバーへ対して的確に伝えられるヒューマンインターフェース設計に拘ったとしている。

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具体的なシステム構成は先の通りだが、より詳しく述べると画像処理ソフトウェアを搭載した単眼カメラにより、前方車両や白線を三次元的に把握し、その情報をもとにアクセル、ブレーキ、ステアリングの制御を行う。

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ことハードウエア構成としては、実にシンプルな構成となっており、これだけの構成と、ソフトウエア開発技術を用いて自動運転を可能としている。

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さらに実際のシステム作動状況を説明すると、高速道路上でドライバーが設定した車速(約30~100km/h)内で、先行車両との車間距離を一定に保つよう制御することに加え、車線中央を走行するようにステアリング操作を支援していく。

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また一時的な渋滞等で、先行車両が停車した場合は、(1)システムが自動的にブレーキをかけて停車。

(2)車両が完全に停止した場合、ドライバーがあえてブレーキを踏むことなく、システム自身が電磁パーキングブレーキを利用して停止状態を保持する。

その後、(3)先行車両が発進した際は、ドライバーがレジュームスイッチを押すかアクセルペダルを軽く踏むと、追従走行を再開する。ここは先行するTESLA等とは異なり、そのまま放置しておいても再発進はしない格好となっている。

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日産では、今回の取り組みと新機能の新型車への搭載について、「『ゼロ・エミッション』、『ゼロ・フェイタリティ』の2つのゴール実現に向け、クルマの電動化、知能化に取り組んでいます。

またさらなる将来に向けて、ワクワクしたモビリティを実現するために、『ニッサン インテリジェント モビリティ』の取り組みを進めています。

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今回の『プロパイロット』は、安全で意のままになるドライビング体験を維持しつつ、自動運転モードの搭載によって交通事故原因の9割を占めるというドライバー由来によるアクシデントの解消を目指す第一歩となります。

これにより乗車しているすべての人の快適さを提供する『ニッサン インテリジェント ドライビング』がより具現化するものとなりました」と述べている。

なおこの「プロパイロット」は、2017年に欧州で「キャシュカイ」に搭載するほか、今後、米国、中国へも順次導入していく予定であると云う。

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さらに同機能の開発は、今後も鋭意続けられ、来る2018年には高速道路での車線変更を自動的に行う、複数レーンでの自動運転技術の実現を目指す。

また来る2020年までには、交差点を含む一般道での自動運転を可能とする新機能追加を投入予定としており、さらなる社内研究を深めていくことで、次世代自動車が目指す自動運転のデファクトスタンダードを目指していく構えだ。

ちなみに上記・自動運転機能搭載予定の「セレナ」は、1991年の初代モデル発売以来、消費者に親しまれてきた日産の中核モデルである。

新型「セレナ」は、エクステリアデザインとインテリアデザインを大幅に刷新すると共に、上記を含む多彩な新機能を採用することで、家族とのドライブが今まで以上に便利にするミニバンへと進化したことになる。

スタイリングを含む機能面での進化では、物理的にAピラーを細くする等の処理を筆頭に、ドライバーの運転環境を改善。持ち前の視界の良さをさらに推し進めた。

例えばインストルメント・パネル周りを含むダッシュボードは、空間的な広がりを感じさせる様、横方向の流れを強調した体裁としており、メーターを薄型化して車両前方に配置することによってパノラミックな開放感を実現した。

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一方で居住空間の確保という視点では、Dピラーレスのデザインを取り入れることで、さらなる室内空間の広さをアピールしている。

装備面では、「セレナ」に於いては、これまでも「エマージェンシーブレーキ」、「車線逸脱警報」、「アラウンドビューモニター」、「スマート・ルームミラー」など安全技術を搭載してきたが、今回は「エクストレイル」に先行採用していた自動駐車機能「インテリジェントパーキングアシスト」を新搭載している。

また後方視界では、昨今話題となっていた電子ミラー機能をルームミラーに追加搭載することが、同社で云う「スマートルームミラー」として装着可能となっている。

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これはバックドアのリアウインドウ下に後方視界を捉えるための専用カメラを搭載して実現するもので、これまでこうしたワゴン系車両で付きまとってきたリアウインドウの汚れや雨粒の付着による後方視界の悪化を解消することが可能となっている。

加えてこれまで大人数での移動に於いて、後方の乗員が視界を遮っていたことについても、大きく視界改善を実現させている。

なお搭載されるパワーユニットについては、これまでの「スマートシンプルハイブリッド」を改善した上で引き続き採用している。

気になる価格であるが、現時点に於いてフルライン上の価格一覧の発表はまだ無いが、より多くのユーザーに自動運転技術がもたらす安心感、快適性、利便性といったメリットを伝えていくたる、こうした先進同技術を搭載したグレードに於いても300万円以下の価格を設定していると述べていた。生産拠点は、日産自動車九州工場が担っていく構えだと云う。