第35回アメリカズカップ優勝を目指し技術協力
ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社:英国・コベントリー、CEO:ラルフ・スペッツ<Ralf Speth>)傘下のランドローバーブランドは、ベン・エインズリー・レーシング(BAR)とのパートナーシップの基、新たに誕生した「ランドローバーBAR」として、2017年に開催される世界最高峰のヨットレースである「第35回アメリカズカップ」最速のヨット開発に向け、精力的に開発を進めている。
https://www.youtube.com/watch?v=PMkiFbDYLUg
そこで今回、2016年の初戦となる、ルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ オマーン戦(開催期間:2月26~28日、開催地:オマーン・マスカット)に先立ち、そのハードウエアに関する技術情報を公表した。
そのハードウエアは「R1」というコードネームがついたアメリカズカップ仕様のヨット(双胴船)で、同船体にはランドローバーがこれまでの車両開発などから培った設計・技術・専門知識をフルに反映させている。
通常、船体の設計そのものが勝敗を左右するとされるアメリカズカップに於いて、参戦チームが本戦を前にして、自チームの手の内となる技術情報を公開することは、これまであり得ず、それは極めて異例なことだと云う。
ちなみに出走する船体「R1」自体の重量は2トンを超える。
しかしそうした要素をモノともせず、水中翼に働く翼揚力を利用して、水中から浮かび上がらせ、抵抗を極限まで抑制して、最高速度と、推進効率を向上させていく。
こうして前進を図るフォイリング技術を背景に、運行速度は50ノット(約90km/h)超に達するとされている。
「R1」の正式発表となるアメリカズカップに至るまでは、まだ11か月もある訳だが、ランドローバーのアドバンスド・エンジニアリング・チームは既に、ランドローバーBARのデザイナーやエンジニアたちと協力して、テスト用プロトタイプを複数開発している。この開発プロセスを通じて、世界最速のアメリカズカップ仕様ヨットが完成に至る計画だ。
https://www.youtube.com/watch?v=YSsHSrXE2rU
船の開発について、ジャガー・ランドローバーのリサーチ部門を統括するトニー・ハーパー氏は、「フォイリング技術の誕生以来、比較的小さな表面積においてバランスをとりながら、この極めてパワフルなマシンをいかにしてコントロールするかが、最大のチャレンジのひとつとなっています。
ランドローバーBARとのワークストリームの中で不可欠なパートである、エアロダイナミクス、機械学習、高度データ処理の分野においては、ジャガー・ランドローバーから最も有能なエンジニアたちを選り抜きました。
海は当社にとっては新しい領域ですが、この11か月の成果をヨットの最終的な設計に反映し、そうして獲得したノウハウは、当社の研究開発部門に還元していきます」と語った。
これを踏まえランドローバーは、最初の注力分野として、ボーイング社製航空機737型機の翼のサイズに匹敵する78.6フィートのカーボン・ファイバー製の“高硬度を持つ”帆の開発に取り組んだ。
この帆が、「R1」の要となり、かつヨットの唯一の推進力源となるからだ。
ランドローバーの製品開発の要となる数値流体力学(CFD)と有限要素解析(FEA)を組み合わせ、複雑なエアロダイナミクスを解析し、ヨットの速度向上を実現させようとしている。
またランドローバーは、大容量データ処理能力に関する高い技術や機械学習分野における経験と専門知識を生かし、セーリング・データの傾向を把握することでヨットのパフォーマンス最適化に貢献している。
ランドローバーBARのチーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)、マーティン・ウィットマーシュ氏は、「この4年間で、私たちはアメリカズカップで戦うごとに大きく進化していることに、皆さんは驚かれるでしょう。
この海のF1では、F1と同じように、従来の手法や技術、設計だけでは戦闘力をもって戦い抜くことはもはや不可能です。
ヨット自体は進化しており、それはトップスピードだけでなく、加速性能や方向転換能力においても同様です。
競合についていくのではなく、打ち負かすためには、ランドローバーの膨大な専門的なノウハウとテスト用ツールが必要なのです。
私たちはまだスタートラインに立ったばかりです。この先の道のりは長いですが、大きく前進しており、今後の結果が楽しみです」と述べている。
現在のアメリカズカップの規定では、ヨットにパワーを蓄えておくことはできず、すべてのパワーをウイングとセーリング・チームのメンバーで創出しなければならないため、レース中のクルーは、極限状態に於ける屈強な体力が求められる。
ここでもランドローバーのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)分野における専門知識が役立っており、ヨット向けに最適化したディスプレイや計器を開発し、使用可能なパワーを把握し有効活用できるようにすると云う。
ランドローバーBARチームのプリンシパル兼スキッパーのベン・エインズリー氏は、「このレースは水陸の両方で勝つ必要があります。アメリカズカップはセーリングの最高峰です。
世界最高のセーラーとチームが求められますが、何よりも重視すべきは、どのチームも最速のヨットで勝利するために、設計や技術の専門性を生かした努力をしているということです。
私たちの最大の課題は、エアロダイナミクスです。ヨットのほとんどの部分は水の上にあるので、パワー供給を最適化し、データ解析を通じて制御システムを理解する必要があります。
競争は激しく、数秒の差で決着がつくレースも珍しくない中、このプロジェクトにランドローバーが協力してくれたことは大きな強みになるでしょう」とコメントした。
そんなランドローバーBARチームは、2月26~28日に開催されるルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズのオマーン戦に第3ポジションから参戦する予定だ。
■ランドローバーBARについて
ベン・エインズリー・レーシング(BAR)は、ケンブリッジ公爵夫人列席のもと、2014年6月10日に結成された。
このチームは、オリンピックで4個の金メダルを獲得し、第34回アメリカズカップで優勝した、ベン・エインズリー氏により発足され、同氏は1851年に英国で始まったアメリカズカップの優勝トロフィーを奪還し英国に持ち帰るべく同チームを率いる。
加えてランドローバーBARは、民営のスポーツ・チームであり、企業パートナーとともに多くの個人投資家の支援を受けつつ、英国内外の最高レベルのセーラー、デザイナー、職人、サポーターで構成されるチームだ。以来、チームは運営におけるサステイナビリティ(持続可能性)を重視している。
拠点は、英国ポーツマス中心部に7万4,000平方フィートもの本部を新設。ランドローバーBARのさまざまな活動をここで担う。併せて「1851 Trust」によるビジター・センターも公開予定である。
この「1851 Trust」は、ケンブリッジ侯爵夫人がロイヤル・パトロンを務めるランドローバーBAR公式の慈善事業にあたる。
なお2度目となるルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ ポーツマス戦は、2016年7月21~24日に開催される。
2015年のポーツマス戦では、水上からの観戦者2万5,000人を含む約25万人の観客を動員した。2016年は、レース観戦とホーム・チーム応援のために、さらに多くの観客で賑わうと予想されている。
ランドローバーとランドローバーBAR詳細情報
http://www.landrover.co.jp/experiences/sponsorship/ben-ainslie-racing.html
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