電力の安定供給に対し、同社のエネルギー精製システムに期待が集まる
アウディは、2013年にAudi e-gas精製工場の本格稼動を目指して、同プロジェクトを開始。そして今日、再生可能エネルギーを自ら精製する世界初の自動車メーカーとなった。
現在、ニーダーザクセン州のヴェルルテ市を筆頭する同社のAudi e-gas精製工場では、グリーン電力、水、二酸化炭素を使用して、水素と化学合成メタンガス“Audi e-gas”を精製している。
今般、ドイツ国内に於いて再生可能エネルギーの発電量シェアが急速に拡大(33%)するなか、ドイツ国内の電力安定供給をテーマに、同社のエネルギー精製システムに一層の期待が集まっているという。
ドイツ国内の地理的偏在が、再生可能エネルギー利用安定の足かせに
と云うのは、ドイツ国内に於いて風力発電設備は、地理的に風力の影響を利用し易い北部に、一方で、太陽光発電は日照条件が比較的良い南部に集中する地理的偏在があるからだ。
つまり例年、晩春から夏の最盛期の5~8月は南部で太陽光発電の稼働率が高まり、月間平均でも3,500GWhレベルの発電量が確保出来る一方、降雪が始まる冬場の11~2月頃は一気に1,000GWh以下まで下落する。
また、風力発電も年間の気候要素に大きく影響される。しかも同国内では、過去の冷戦時の歴史も影響もあってか南部地域が巨大な産業集積地となっており、冬場の風力電力を北部から、こうした南部地域へ送るための高圧送電線設備は物理的に不足している。
ドイツ国内で注目され始めている電力の長期貯蔵技術
これを受けて現在ダイムラーは、電力蓄電を普及するべく関連設備の事業化(概要は別記事1参照・並びに別記事2参照)を進めているが、こうした蓄電ユニットの導入が無い場合、来る2020年までに必要とされる新高圧送電線の距離は、3,600㎞・年間9.5億€になると云う試算も出ている程だ(ドイツエネルギー機関・DENA報告)。
仮に高圧送電の整備がこのまま微増に終わる場合、来る2050年に北部の風力で生まれる発電量の内、年間40TWh(ドイツの年間発電量の6%)が余剰となり捨てられることになる。
このため電力をガスや液化燃料等の貯蔵し易いかたちに変換し長期貯蔵できる技術が注目されているのである。
Audi e-gasの精製工程は、水素生成が最初のステップとなる
ちなみにAudi e-gasの精製工程は、電気分解とメタン精製の2ステップを踏む。まず、グリーン電力を水と化学反応させることにより酸素と水素に分離。ここで得られた水素は水素自動車に使用出来る。
しかしドイツ国内に於いて、水素自動車の普及は未発達のため、次のプロセスでCO2と化合され、Audi e-gas(化学合成メタンガス)に再精製(概要は別記事3参照・並びに別記事4参照)していく。
こうして生産されたAudi e-gasは、化石燃料である天然ガスと成分が同一のため、ドイツ国内の既存の天然ガス供給ネットワークを経由してCNGガスステーションに搬送されるという流れだ。
ちなみにAudi e-gas精製工場では、年間およそ1,000tのe-gas精製に対し、22万4,000本のブナの木が1年間かけて吸収する量に相当する約2,800tのCO2を使用する。
なお生産工程で生み出される副産物は水と酸素だけだ。Audi e-gasの精製過程で発生する廃熱は、隣接するバイオガス工場で再利用され、全体でのエネルギー消費を抑えていく。
Audi e-gasは、1,500台のAudi A3 Sportback g-tronに15,000kmのCO2ニュートラル走行を可能にする
現時点でヴェルルテの工場が1年間に生み出すAudi e-gasは、1,500台のAudi A3 Sportback g-tronに15,000kmのCO2ニュートラル走行を可能にさせる能力がある。同車は、天然ガス、バイオメタンガス、Audi e-gas (化学合成メタンガス)、ガソリンを燃料にすることが可能で、これらを組み合わせた最大航続可能距離は1,300kmに達する。
Audi A3 Sportback g-tron購入者は、Audi e-gasカードによるAudi e-gas購入で、エネルギー精製コストの一部を負担することを通じて新しいエネルギーネットワークに参加することになる。
ちなみに同モデルのAudi e-gasを利用した走行時の平均燃費は、28.57km/kg(3.5kg/100km)以下となり、CO2排出量はNEDC基準計測値で95g/km以下となる。
走行時に排出されるCO2のすべてが、事前のe-gas精製時に使用されていることから、Audi e-gasでの走行時はCO2ニュートラルとなる計算だ。
仮にe-gas精製工場で使用されるエネルギーに、風力発電で得られる電力が使われることを考慮していくと Audi A3 Sportback g-tronによる総合的なCO2排出量は20g/km以下にとどまる。同数値はTÜV Nordによって正式に認定されているものだ。
今の所、Audi e-gasプロジェクトは、これまでの自動車産業の常識を超えるレベルに達している。アウディAGでは「グリーン電力を効率よくメタンガスに転換し、それをドイツ最大の公共エネルギー備蓄システムである天然ガスネットワークに供給することで、従来は非常に難しいと考えられていた大量の電力備蓄が可能であることを示し始めている」と結んでいる。(坂上 賢治)
その他の記事(新車関連)
・日産、ノートカスタムのライダー、アクシス、LV刷新
・フォード、新SUV「リンカーン ナビゲーター」発売
・日産、「ノート」をマイナーチェンジ
・オーテックジャパン、エクストレイルモード・プレミア
・トヨタ、新型軽乗用車ピクシス メガを発売
・レンジローバー・イヴォークアーバナイト100台限定発売
・光岡自動車、ミディアムセダンRyugiをマイナーチェンジ
・富士重工業、SUBARU BRZ tSを300台限定発売
・VW、ビートル生誕77周年記念のThe Beetle追加
・富士重工業、スバルWRX S4/STIを改良し発売
・トヨタ、ポルテおよびスペイドを一部改良
・プジョー308 GT Line / 308 SW GT Line発売
・プジョーRCZ GT Lineを発売
・ダイハツ、ウェイクにモンベル・波伝説仕様車追加
・トヨタ、ヴィッツを一部改良Toyota Safety Sense C搭載
・ホンダ、インドネシアモーターショーに新BR-V出展
・トヨタ、プリウスPHVを一部改良して発売
・モーガン、英国で電動3輪車「EV3コンセプト」を公表
・BMW、ニュー6シリーズを発表
・ルノー・ジャポン、ルノー キャプチャーカンヌ40台限定
・FCAジャパン、AlfaRomeoGiulia(ジュリア)を公開
・フォルクスワーゲン新Passat/Passat Variantの受注開始
・スズキ、エブリイ・スペーシアに車いす移動車を追加
・Alfa Romeo Giulia(アルファ ロメオ ジュリア)走行映像公開
・新型MINI Clubman(ミニ・クラブマン)登場
・FCAジャパン、Fiat 500/500C Gialla(ジャッラ)発売
・FCAジャパン、Fiat Panda 4×4 Comfort発売
・FCAジャパン、Alfa Romeo Giulietta105周年限定車発売
・ポルシェボクスターと911カレラのブラックエディション
・BMW4グランクーペStyle Edge xDrive135台限定
・アウディA5 Sportback / A5 coupe S line competition plus
・Mercedes-AMG A 45 4MATIC Yellow Color Line発表
・インフィニティ新Q30今秋フランクフルト2015で初公開
・ホンダ、GRACE(グレイス)にガソリン車を追加し発売
・スバル、インプレッサ SPORT HYBRID発売
・ダイハツ、3つ目の意匠となる「コペン セロ」を発売
・三菱、新型アウトランダーPHEV/アウトランダー発売
・MBJ、CLA シューティングブレーク発表
・MBJ、CLA Shooting Brake OrangeArt Edition
・MB、新クロスオーバーGLC世界初公開
・フォード、エクスプローラーLIMITED EcoBoost限定200台
・トヨタ、ランドクルーザープラドを一部改良して発売
・アウディ、AUDI R8 E-TRONいよいよ受注開始へ
・ホンダ、MotoGPマシンの公道走行車「RC213V-S」発売
・VW、UP!にアイドリングストップ機能、燃費12%向上
・BMW、新7シリーズを欧州マーケットで公開
・ケータハム、欧州市場へワイドボディ、セブン275R
・VW、6年ぶりにM/Tモデルを導入・受注開始
・FCAジャパン、コンパクトSUV「Fiat500X」今秋販売
・BMW、次世代BMW X1を欧州において公開
・BMW、640iクーペM Performance Edition全国10台限定
その他の記事(モータースポーツ)
・フォルクスワーゲン世界ラリー選手権(WRC)6勝目
・アウトランダー、ファルケンでバハ・ポルタレグレ挑戦
・TOYOTA GAZOO Racing、WRC推進体制を発表
・プジョー 208 GTi、全日本ラリー選手権4戦クラス5位
・充電池エネループで鈴鹿サーキットを疾走する競技会
・米国TUSC第6戦、ファルケンタイヤ装着車がクラス優勝
・欧州の宝石、エンスタール・クラシックとポルシェの蜜月
・シトロエンDS、フォーミュラEに参戦発表
・WTCC第6戦・スロバキアでもシトロエン勢の強さ際立つ
・SUPER GT500第3戦タイ、S Road MOLA GT-R3年ぶりの栄冠
・トヨタ、ル・マン24時間レース健闘したが雪辱果たせず
・ポルシェ、ル・マン24時間レース後のチームコメント
・ル・マン24時間、ポルシェ1998年以来17年振りの優勝
・フォード、来年度のル・マン24時間耐久レースに参戦宣言
・ポルシェ、過酷なレース活動は未来のクルマを育むゆりかご
その他の記事(イベント)
・鈴鹿8耐前夜祭で3メーカーのスーパーマシンが競演
・マツダ、「船積み見学会」を開催7/21
・日産、本社ギャラリーで夏休みファミリーイベント開催
・東名高速・足柄で行列のできる法律相談所イベント
・第20回NAPAC走行会in富士、参加者100名募集中
・マツダ、Be a driver. Experience at Roppongiを開催
・名神高速道路、全線開通50周年キャンペーンを開催
・東名高速 ・足柄「エヴァンゲリオン」とコラボ
・ポルシェ、軽井沢でMacanの試乗会7/22まで
・BMW、音楽イベントSadao Watanabe Orchestra協賛
・三菱「スターキャンプ2015 in朝霧高原」を開催
・トヨタ博物館、企画展「はたらく自動車」を開催
・BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2015開催、8月29・30日
・東急電鉄、二子玉川駅でセグウェイに乗るツアー開始
・ホンダジェット遂に日本の空へ。国内報道陣に初披露
・トヨタ「第39回トヨタ ロビーコンサート」7/30開催
その他の記事(技術)
・ZF、都市型スマートEVの試作車を公開
・国交省、ディーゼル重量車・二輪車排出ガス規制強化へ
・ウィーン工科大、二輪エアバッグにポルシェ博士賞授与
・豊田自動織機、トヨタのディーゼル開発・生産の集約加速
・ジャガー・ランドローバー、クルマをスマホで遠隔操作
・ボッシュ・ダイムラー・car2goで自動駐車実用化へ
・ジャガー・ランドローバー、開発中の安全技術を語る
・国土交通省、電柱などの側面衝突の乗員保護基準を新設
・テスラとガエレクトリックPowerPackをアイルランド導入
・ダイムラー、大型トラックの公道自動運転実験を開始
・VW、新6リッターエンジンのW12 TSIウイーン公開
・トヨタ、燃料電池進化の糸口掴む。性能向上の取組み加速
・アウディ、水と電気だけで作るディーゼル燃料の本格運用
・理研、太陽光エネルギーを水素へ変換するシステム実現へ
・スズキの欧州販売車VITARA、ユーロNCAP評価で5つ星獲得
・アウディ、電動ターボ搭載TTクラブスポーツコンセプト
その他の記事(企業・経済)
・ホンダ、シビック・ツアラー燃費ギネス記録を更新
・タイムズカープラス会員数50万人突破
・イタリア・アレーゼのアルファロメオ歴史博物館探訪
・トヨタ新株「AA型種類株式」7月3日より受付開始
・ボルボ、チャイルドシートの新ラウンジコンセプト公開
・ルノー・日産アライアンス、EV販売累計25万台報告
・国内車メーカー3社、水素ステーションの整備促進へ
・スズキ、代表取締役の異動と役員新体制を発表
・マツダ、グッドウッドフェスティバルオブスピード参加
・タカタ株式会社、6月25日に定時株主総会を開催
・トヨタ、北米新本社屋の完成予想図を公開
・日産、第116回 定時株主総会。ゴーン氏報酬初の10億円超
・ホンダ、株主総会開催。伊東孝紳社長、リコールに陳謝
・いすゞとGM、米国向け商用車に関する協業に合意
・トヨタ、定時株主総会で新型種類株式の発行を可決
・スズキ、マレーシアのプロトン社と協業
・カローラ、長谷川氏の想い受け継ぎ国内累積1000万台
・独ダイムラー、産業・家庭用蓄電池ビジネスに参入
・スズキ2気筒0.8Lディーゼルエンジンを開発しインド投入
・住友ゴム工業、Goodyear社とのアライアンス契約合弁解消
その他の記事(話題)
・チャイルドシート使用率、5歳使用率が昨年より低下
・女性ウケNo1の車体色はブラック、嫌な色は…
・世界の乗用車売上8,500万台から2030年は1億3,300万台に
・AmazonにNGP日本自動車リサイクル事業協同組合出店
・ホンダ社長会見、八郷隆弘新社長スピーチ骨子
・ネスレ、移動販売車を無料提供する新ビジネスモデル開始
・ベンツ日本、輸入車でもプレミアムブランドでもNo.1獲得
・ファルケン、欧州向けSUV用フラッグシップタイヤ日本発売
・MBJ、自動車誕生130周年記念キャンペーンを実施
・プジョー、308/308SW体験出2つの試乗キャンペーン
・ JAFホームページで車両冠水の検証テスト動画を公開
・MBJ、羽田空港に情報発信拠点をオープン
・パイオニア、LTE通信ミラー型テレマティクス端末を発売
・JAFのWebサイトに対話型ナビゲーター登場
・日本エレクトライク、三輪EVの型式認証を取得
・JAF長野が検証、チャイルドシートの取付9割が不適切
・ポルシェ、クラシック911用ダッシュボードを再現し販売
・ホンダシビックツアラー1.6i-DTEC燃費のギネス記録挑戦
・DeNA、スマホ向け無料カーナビアプリ「ナビロー」提供
・運転テクニックアンケ、女性「合流」・若者「駐車」が苦手