ステランティス、固体電池セル開発で実用化に向けた歩み


ステランティスN.V.と蓄電池開発のファクタリアル・エナジー(ファクタリアル)は4月24日(アムステルダムおよびマサチューセッツ州ボストン発)、375Wh/kgのエネルギー密度を持つ固体電池セルの検証に成功し、商用利用に向けた着実な第一歩を踏み出した。

それによると18分で15%から90%までの急速充電が可能。バッテリーセルは-30°C~45°C(-22°F~113°F)の温度範囲で動作。
ステランティスは、来たる2026年までにファクタリアル社の全固体電池を実証車両に組み込む予定としている。

この成果は、2021年にステランティスがファクタリアル・エナジーへ7,500万ドルを投資して以降、両社の戦略的提携が大きく成就したことを示している。

この成果により、ステランティスは、2026年までにファクタリアルの全固体電池をデモ車両に統合するとしていた既存計画を更に前進させることになる。

ステランティスで技術部門の責任者を務めるネッド・キュリック氏は、「このレベルの性能を達成できたのは、当社とファクトリアルとの協力関係の強みを反映しています。

この画期的な進歩により、私たちは固体電池革命の最前線に立つことになりますが、私たちの取り組みはこれで終わりではありません。私たちは今後も協力して固体電池の限界を押し上げ、より高度なソリューションとして提供できるようプロジェクトを推し進めていきます。

そんな我々が開発中の固体電池は、従来のリチウムイオン電池とは異なり、高いエネルギー密度と高速充電を実現します。検証済みの77Ah FEST®セルは、375Wh/kgのエネルギー密度を示し、600サイクル以上を車載用途向けとして実証しました。

これは、大型リチウム金属で構成される固体電池にとっては画期的な成果です。このセルは充電時間を大幅に短縮し、室温環境で僅か18分で15%から90%以上まで充電できます。

また-30℃から45℃(-22°Fから113°F)の温度範囲でバッテリーが動作することを確認しています。これにより電気自動車が求められるより高い性能要求に応えることができます」と述べた。

またファクタリアル・エナジーのCEO、シユ・フアン氏は、「全固体電池の開発は妥協の連続でもあります。ひとつの機能を最適化するのは簡単ですが、自動車に搭載できる大型バッテリーでは、高エネルギー密度、充電サイクルの寿命、急速充電能力、そして充分以上の安全性を確保すること課せられています。

そうした諸条件のもとOEM検証によって、総合性能がバランスよく実現できたことは画期的なことです。今後はステランティスと共に、ここまでの次世代バッテリー技術を積み上げ、研究段階の製品をこれから現実のものとしていくフェーズに入ります」と結んでいる。