アウディ、ドイツのIAAで自立走行の旗艦車A8の他、次段階のコンセプトカーを披露


新フラッグシップとなるアウディA8と2台のコンセプトカーを初披露。またレベル3の自動運転速度は時速130kmへと進化

独・アウディ AG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)は欧州中央時間の9月8日、「IAA(フランクフルト国際モーターショー)2017」で公開する新型A8の車両概要とコンセプトカーの一部情報を自社のプレス向けサイト上に公開した。

それによると新型A8は、昨今、改定が進む自動運転車の国際操舵基準「UN R79」に沿って、一定の条件下ではあるが、自動車自身が主体となって運転できる「レベル3」機能が初搭載される量産車になると公式に発表している。

具体的には、中央分離帯を備えた自動車用道路であり、かつ時速60km(毎時37.3マイル)に至るまでの走行下に於いて、同社の自動操舵システムである「Audi AIトラフィックジャムパイロット」は該当レーンに於ける、特に渋滞時に「停止」「加速」「ステアリング」と「ブレーキ」など一連の運転操作をドライバーに代わって代行する。

ドライバーは、センターコンソール上のAIボタンを押すことで、自動運転機能を起動。

それ以降ドライバーは、レベル2とは異なり、アクセル・ブレーキ操作をせず、ステアリングホイールに触れれることなく、自動車を監視するこなく、自動巡航が行われる。

この自動運転機能の実際の利用については、当面、各国の規則はレベル3に対する扱い自体が異なるが、アウディとしては、それぞれの国の法的状況に応じて、「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を搭載した新型A8シリーズの生産・出荷を開始していく予定だと云う。

但しレベル3の場合、ドライバーは、車載の警告システムから運転の引継ぎを求められた際は、そのタスクを速やかに引き継がなければならない。

ちなみにこの新しいA8では、アウディとHEREテクノロジーズによるデジタルナビゲーション地図や位置情報サービスのための新技術も紹介する。

レベル4とレベル5のためのインテリジェントなアウディAI技術とショーカー、新しいRとRSモデルも披露

なおこれらの自動運転技術は、走行中に周囲の画像を捕捉する運転支援コントローラ(zFAS)と、レーザスキャナを含むレーダ制御ユニットで実行される。
また今後は、最大毎時130キロ(毎時80.8マイル)の速度でも、自動運転を担う事が可能なAIパイロットへの進化を目指し、いずれは、完全な自律走行を可能とするレベル5を目指すことから、同じくIAAのブースに於いてこの課題に応えていくコンセプトカーも公開していく。

この新コンセプトカーは、長距離移動をこなすために設計され、移動のための動力は4つの電気モーターによって賄われる。車格はDセグメントに該当し、フルサイズモデルの内外装を備えている。4個のモーターによる駆動で推進し、1充電に於ける航続距離は700〜800km。

同コンセプトカーは、レベル5の機能を実装しているため、運転タスクを完全に車両に任せる格好になる。

このため車両は、移動中にドライバーの負担を軽減し、室内空間で有効な時間を過ごすための人工知能と機械学習の成果が反映され、コネクテッド機能、コミュニケーション機能、操作性の面で多くの新機能を盛り込むという。

もう1台のコンセプトカーは、レベル4機能を実装した自動運転車となる。車両自体は、全長4900mmのSUVクーペ「e-tronスポーツバックコンセプト」を3個のモーターと電気クワトロドライブが組み合わされることで370キロワットのピーク出力を持つ。

その他、IAAではA4アバント・G-TRON、A5スポーツバックG-TRONも出展される。
このG-TRONとは、再生可能エネルギーを使用し、水とCO2から作られるか、藁や刈り取った草といった有機残留材から生成される気候変動負荷が極めて低い独自燃料「Audi e-gas」で走る車両である。

G-TRONは、次世代自動車に対する同社のかねてよりの提案のひとつであったもの。
燃料となる「Audi e-gas」の生産施設のひとつは、ドイツのニーダーザクセン州ヴェルルテ等にアウディが所有している拠点があり、この向上で電気をガスに変換する。

ここでは、主として余剰なグリーン電力を使用して3つの電解槽を稼働させ、水を酸素と水素に分解している。その後のメタン化の工程で水素がCO2に反応することで、人工メタンガスであるAudi e-gasが生成される。

いずれのモデルも、125kW(170hp)のパワーを発生する2.0 TFSIエンジンが搭載され、4つのガスタンクの容量を合わせて19kgのタンクモジュールと25ℓのガソリンタンクにより、純粋なCNGモードだけで走った場合でも約500km、合計では950kmもの航続性能を実現する。

※この数値は、純粋なe-gasモード(CNG)での走行をウェルトゥホイール(原料採掘から使用まで)基準で、従来型ガソリンエンジンを搭載した同じ性能クラスのクルマと比較分析(燃料生産と自動車の通常運転を含むライフサイクルアセスメント)した推定値である。

さらにアウディスポーツGmbHは、最初のRSモデル、RS 2アバントの成功を踏まえてIAA 2017では新たな特別仕様車を展示するとしている。

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