アウディサミットで、ルパートシュタートラー会長がブランド論を語る


独・アウディAG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長兼CEO:ルパート・シュタートラー、以下アウディ)は7月11日、スペイン・バルセロナで「アウディサミット」を開催した。

ここで同社は、市販車世界初のレベル3機能搭載の自動運転車となったアウディA8を公開した他、2018年以降、自社ブランド車に相次いで段階的に搭載していく新機能群の「パーキングパイロット」「ガレージパイロット」「トラフィックジャムパイロット」を詳しく紹介した。

そうしたなか、ルパート・シュタートラー氏が、自身が考える「プレミアムブランド」について、未来のアウディが実現しなければならない「次世代モビリティ造りの哲学」について、以下の様に語っている。

皆さまこんにちは。
人々はブランドを愛しています。これは絆と信頼の問題です。

人々がブランドを買うのは、その価値が分かっているからです。なかでもプレミアムブランドには、特別な魅力があります。

お客様はプレミアムな製品により多くのお金を払います。なぜなら、プレミアムな製品はより優れたクオリティ、快適性、感動、ステータスといったものを人々に提供するからです。

それらは「付加価値」という言葉で、言いかえることができるかもしれません。

その好例といえるのが、今回発表する新型Audi A8 — 私たちの新しいフラグシップカーです。

これは、アウディ ブランドを代表すると同時に、アウディのデザイナー、アウディのエンジニアを代表するクルマでもあります。

進歩的であるとともに人々の心に訴える魅力を備えています。Audi A8は、ブランドが常に「約束」であることを明確に示しています。

アウディの場合、その約束はVorsprungです。Vorsprungが意味するのは、人よりも先を歩むことです。

常にライバルに先んじて、最も便利なソリューションを開発し、ユニークな手法によって友人を熱烈な支持者に変えていく。こうした約束に、私たちはなにより真剣に向き合ってきました。

ラテン語でアウディは「聴く!」という意味を表します。私たちにとってそれは、人々の声に耳を澄まし、お客様の意見に耳を傾けることを意味します。

私たちは人々やお客様がアウディを讃えるときだけでなく、批判の意見を述べるときも耳を傾けます。より多くを求めるときも、また、これは余分であると叱られる場合も耳を傾けます。

人々が期待する以上のものを提供していくために、まだ口に出して語られていない言葉にも、耳を澄まし聞き取ろうとします。

モビリティに関して言えば、なによりもテクノロジーが重要です。

アウディは常に、世界を代表するテクノロジーカンパニーになるために研鑽を重ねてきました。

今回のサミットを新しい製品とテクノロジー、及びブランドの約束に関する最新のニュースを皆さまと分かち合う、貴重な機会にしたいと願っています。

本日は世界中から2,000人を超えるアウディの友人、ファンの方々が、ここバルセロナに集ってくださいました。私たちの主要な約束のひとつは、お客様の生活をより快適なものにすることです。

Audi AIはどこに出かけるときでも、なにをするときでも、皆さまの助けとなってくれるでしょう。

わたしはAudi AIを、テクノロジーの約束と呼んでいます。Audi AIは、ひとことでいえば、アウディ ブランドとインテリジェントなテクノロジーと、未来志向の発想を掛け合わせた結果です。

これは1台のクルマだけでなく、その地域の交通を構成するすべての車両と人々が協力者として参加することになります。

互いにネットワークで結ばれることで、ひとつのスワームインテリジェンス(群知能)が形成され、結果として最適な交通の流れが生み出されていくのです。

将来アウディが作るクルマは、市街地の特定の範囲だけでなく高速道路上でも、交通の流れに自律的に対応して走ることができるようになります。

運転を自分で行うかクルマに任せるかは、ドライバーの判断となります。Audi AIは皆さまをサポートし、皆さまのために考え、皆さまがより独立して行動できるようにします。

そしてAudi AIは、どこでも活躍します。世界がこの新時代のモビリティを受け入れる用意がある限り、私たちはAudi AI開発への取り組みを今後さらに強化していくつもりです。

今回、皆さまには、私たちが特別に用意したタイムカプセルを体験する機会がございます。

ぜひとも、皆さま自身で未来のクルマを運転する感覚を味わってください。アウディは、フラウンホーファー産業工学研究所と共同で、どのようにしたらドライバーのストレスを減らし、集中力を高めることができるか実験を行いました。

そうした研究を通じ、インテリアを個々のユーザーの好みに合わせてファインチューニングする、といったことも可能になろうとしています。

私たちが突き止めたいのは、未来の自動運転車においてプレミアムな体験をどのような形で提供していくか、ということです。

これは、時間の最適な使い方を見いだすことでもあります。私たちが使っている「25時間目」という比喩は、まさにそのことを表しています。

休憩や気晴らしが必要な「ダウンタイム」、何かを成し遂げたいという「プロダクティブタイム」、そして、家族や友人と過ごす「クオリティタイム」。クルマに乗っているあいだも、そうした時間が得られることになれば、それに越したことはありません。

「未来のプレミアム」とはすなわち、自分の時間を取り戻すということです。

時間はこの世界で最も大切なもののひとつなのですから。想像してみてください。乗り込むと、快適なラウンジのような雰囲気が味わえるクルマ。

そのクルマはすでに、あなたが子供たちとともに貴重な時間を過ごしたいと望んでいることを知っているのです。

そんなとき私たちは、どんな邪魔も入らないよう約束します。そうしたことがすべてAudi AIによって可能となるのです。

これは決して遠い未来の話ではありません。アウディは、これから続々と導入する新世代のモデルを介し、今すぐに新しい試みをスタートさせようとしています。

アウディのお客様は、他の方々と比べ、より多くのものを期待します。

彼らはすでに、毎日の生活のなかで多くのデジタルテクノロジーを活用しています。仲間たちとネットワークで常につながっており、各個人が持つクルマを独自なライフスタイルの表現手段ととらえています。

彼らはサステナブルな未来を創るために意識的に行動しており、シームレスモビリティがあるスマートシティで、アーバンライフを楽しみたいと望んでいます。

だからこそ私たちは、デジタル化、サステナビリティ、アーバナイゼーションに戦略的に取り組んでいるのです。これらはアウディのVorsprung. 2025を推進する上での3つのテーマとなっています。

あらためてご来場の皆さま、
私たちの取り組みは今後さらに続いていきます。新型Audi A8に続いて、2018年中にさらに何台か、ニューモデルを発表します。

例えば、スロバキアのブラスチラバで生産するAudi Q8、ドイツ ネッカーズルム工場から出荷する新世代のAudi A7、Audi A6といったモデルです。

Audi A1の新型は、こちらスペイン マルトレルの工場で生産されることになるでしょう。また、2018年中に、eモビリティを次のレベルに引き上げるニューモデル、Audi e-tronの生産をブリュッセルの工場で開始する予定です。

今回のAudi A8の発表は、今後続く大規模な新型車攻勢の、ほんの始まりにすぎません。新しいAudi A8は、アウディ ブランドの新たなる旅立ちを象徴するクルマです。

それはブランドの次の10年間への、そして、新しい時代に向けた旅となるでしょう。

引き続き、さらに多くのニューモデルや革新テクノロジーが発表されていくことになります。8週間後に開幕するフランクフルト モーターショーでも、新たな発表が行われますので楽しみにしていてください。

新しい時代に向けた私たちの旅には、常にAIという2つの文字と、その背後にあるアウディの哲学が存在しています。

ご清聴、ありがとうございました。