本田技研工業(中国)投資有限公司、「2017年・中国自動車産業発展国際フォーラム」で、中国国内事業の青写真を発表
本田技研工業(中国)投資有限公司は、現地時間の2017年9月9日14時00分(日本時間:15時00分)に、中国・天津で開催された2017年中国自動車産業発展国際フォーラム(開催期間 9月8日〜10日)に於いて、中国国内に於ける事業展開を発表した。
ちなみに本田技研工業(中国)投資有限公司(本社:北京 総経理:水野泰秀)は、本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘)の中国現地法人である。
具体的にはホンダが、2017年4月に上海モーターショーで発表した、2018年発売予定の中国向けEVの車両開発に関して、今後、広汽本田汽車有限公司(以下、広汽ホンダ)、東風本田汽車有限公司(以下、東風ホンダ)、本田技研科技(中国)有限公司の3社が共同で実施。
開発車両は、その後、広汽ホンダと東風ホンダ、両合弁会社のブランドから発売する。
さらに、中国向けEVの開発に関わり、中国のIT企業「Neusoft」と共同で、バッテリーマネジメント技術、車両データのクラウド管理、コネクティビティー技術などの開発を行う。
また、ホンダは効率の良い交通社会の実現や、新エネルギー車の普及拡大に向け、中国でのカーシェアリングサービスについても積極的に検討していくとしている。
ちなみに今春の中国自動車工業協会からの発表によると、2016 年の中国の自動車販売台数は、前年比13.7%増の2,802万8,000台。
生産台数は14.5%増の2,811万9,000台と、いずれの数値も8年連続の世界一を裏付けるものとなっている。
また同協会・工信部によれば、「自動車産業の納税額が全国税収入全体に占める割合」、「自動車関連従業員数が、都市部就業者数に占める割合」。
さらに「自動車販売額が全国商品小売額に占める割合」のいずれの数値も10%を上回っているとしており、自動車産業の発展は、「中国経済の安定成長」、「雇用確保」、「国民生活水準の向上」に大きな役割を果たしていると云う。
しかし一方で、中国国内に於ける自動車産業は、動力源開発、トランスミッション開発などの経験知に基づく技術的蓄積が少ない。
またサプライチェーンも脆弱であり、かつ自動車保有量の拡大に伴う「環境整備」、「交通渋滞」といった社会インフラ整備の遅れが深刻化している。
このため当国政府は先の2017年4月25日に、中国工業と情報化部、国家発展と改革委員会、科学技術部の連名で、2025年までの自動車産業の育成計画として「自動車産業の中長期発展計画」を公表している。
この計画では、中国自動車市場の規模を2020年に3000万台、2025年に3500万台に拡大させるとした上で、今後10年間で自動車造りの基幹技術、部品供給能力、輸出能力、環境保護施策等を強化。自国を「自動車強国」に躍進させるとした。
その方策は、コア技術である電池、モーター、トランスミッションなどの複数の分野で、技術レベルを世界トップレベルに押し上げるというもの。
より具体的には、車載センサー、ECU、軽量化材料に於いて、来る2020年を目処に売上規模で1000億元(約1兆6000億円)の自動車部品メーカーを育成し、2025年には、こうした企業群を世界トップ10に育て上げるとしている。
そうしたなか、今回の2017年中国自動車産業発展国際フォーラムに於いても、中国工業情報省の辛国斌次官は、フランス・英国などの欧州圏の動きと同じく、ガソリンや軽油など従来型エネルギーを燃料とした自動車の生産・販売停止に向けたスケジュール策定作業に着手したことを明らかにしている。
読者に於かれては、ご承知の通りだが、中国国内に於いては、EV車の生産と販売台数ですでに世界最大規模に達している。
こちらも具体的には、2016年の新エネルギー車の生産・販売は50万台超。累計製販台数も100万台超と中国政府当局の発表に沿うと、既にその到達数値は世界市場の50%を占める。
実際、中国自動車工業協会の統計数値では、今年1-7月の新エネルギー車の販売台数は、前年同期比21.5%増の25万1,000台となっており、そのうちEVは20万4,000台(33.6%増)、PHEVが4万7,000台(12.8%減)と公表されている。
今回のホンダの動きは、こうして中国側の行政背景に叶うものであり、今後の中国国内の自動車産業の覇権競争に於いて、新たな挑戦の姿勢を示すものであるようだ。