第4次安倍改造内閣の新国家公安委員長、交通事故抑止に意欲


山本順三・新国家公安委員長、交通事故死者数、2020年までに2500人以下迫れるか

第4次安倍改造内閣の新閣僚で、国家公安委員長に山本順三氏が任命された。3日、併任の防災担当相として、小此木八郎前委員長との新旧大臣引継式に臨んだ。( 取材・執筆:中島みなみ )

国家公安委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣 山本順三新大臣(左)と小此木八郎旧大臣(右)/10月3日・内閣府にて。撮影=中島みなみ
国家公安委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣 山本順三新大臣(左)と小此木八郎旧大臣(右)/10月3日・内閣府にて。撮影=中島みなみ

「この1年は災害が多かったが、新大臣の任期中にはそのようなことがないよう(祈ります)。ぜひ力を発揮していただきたい。いつでもお手伝いに参ります」と、小此木氏が話しかけると、山本氏がこう応じた。
「愛媛県選出の議員として大臣室にお願いに来たことを思い出した。その場に私が座ることになった。災害に強い国土づくりに、築き上げていただいた流れに基づいて、緊張感をもってその任に当たりたい」

山本氏は2004年参院選で愛媛選挙区から立候補して初当選。参院国会対策副委員長や復興副大臣などを歴任した。国会議員前は早大卒、川崎製鉄、愛媛県議を6期務めた。警察行政を監督する公安委員会として交通行政にどう臨むか。この前夜、山本氏は就任後の会見で、こう話している。
「昨年の交通事故死者数は、統計以来最少となったが、今なお尊い命が失われていることには変わりがない。交通事故のない安全で安心な社会の実現は、国民すべての願いであり、政府の重要な課題」

具体策として、4つのポイントを上げた。
・子供や高齢者に対する交通安全教育
・悪質、危険な交通違反の指導取締り
・高齢運転者の事故防止対策
・自動運転等の先端技術の普及、活用等の対策

特に悪質運転については「あおり運転は撲滅していかなければならない」と述べ、さらに自動運転についても「技術を推進していく立場と、安全を守っていく立場、両面から対策を講じていかなければならない。たいへん重要な課題」と位置付けた。

安倍晋三首相を会長とする政府の中央交通安全対策会議では、交通事故死者数の削減目標を2020年までに2500人以下に減らす(2016~2020年度の第10次計画)ことを決めている。目標達成により人口10万人当たりの死者数が世界最少になるからだが、山本氏が就任会見で触れた統計史上最低の昨年1年間で3694人だった。達成期限までの残された時間を考えるとかなり難しい状況だ。

交通事故抑止は複数の省庁が関係し、国家公安委員会が指導する警察だけに留まらないが、自動運転の実用化を促進することによる事故減少への期待は高まる一方だ。自動運転はメーカーの技術以上に、法規制を含めて社会に受け入れられる雰囲気が作られなければ、普及は見込めない。山本氏が重要な課題と位置付ける理由もそこにある。( NEXT MOBILITYより転載 )

中島みなみ
(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。