「寄稿」カテゴリーアーカイブ

トヨタ自動車、進化したe-Paletteをオンライン公開

実用化に対応し、運行管理システムに新たにAMMSとe-TAPを開発、追加し、運用

トヨタ自動車は12月22日、未来のモビリティサービス専用EV(電気自動車)である「e-Palette(イーパレット)」の進化型をオンラインで公開した。運行管理システムに新機能を開発・追加し、実際に羽田イノベーションシティ内で運用した実証実験の映像を紹介。実用化に一歩近づいた近未来のモビリティサービスの姿を披露した。(佃モビリティ総研・松下次男)

2021年1月1日付でCISO(最高情報セキュリティ責任者)、CSO(最高ソフトウェア責任者)を兼務する山本圭司コネクテッドカンパニー・プレジデントはオンライン発表会で進化型イーパレットは2021年夏の東京オリンピック/パラリンピックの選手村で「最初に実用化する」と述べた。

引き続き静岡県裾野市に建設する実験都市「Woven City(ウーブンシティ)」で運用、進化に取り組むとともに、複数のエリア・地域で2020年代前半に商用化を目指す。山本プレジデントはすでに複数の自治体と話し合いを始めているという。

進化したイーパレットは運行管理ステム「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」の新たな機能として、クルマとつながるAMMS(オートノマス・モビリティ・マネジメントシステム)、ヒトとつながるe-TAP(イーパレット・タスク・アサイメント・プラットフォーム)を開発、追加することにより実用化に前進した。

イーパレットは2018年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で豊田章男社長がコンセプトを発表。また、イーパレットなどを活用したモビリティサービスを展開するプラットフォームMSPFを合わせて公表した。

さらに2020年1月のCESで、こうしたモビリティを走らせ、新しいモビリティ社会を提案する実験都市としてウーブンシティを豊田社長が発表した。ウーブンシティは2021年2月23日に鍬入れ式を行い、いよいよ建設が始まる。

ウーブンシティは「未完成の街、実験の街」と位置付けて、常に進化を目指すエリア。人を中心に据え、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入、実験する。

2021年夏の東京オリンピック/パラリンピックの選手村で最初に実用化

イーパレットは当初、2020年夏の東京オリンピック/パラリンピックで運用、披露する予定だった。それがコロナ禍で機会を喪失。しかし、開発は進めていたとし、延期となった21年のオリンピックで改めて選手や関係者の移動手段に活用する。

また、コロナ禍で人々の生活様式も大きく変化した。山本プレジデントは「人と接触せずに移動する。また、人が移動するのではなく、人やモノが来ることが求められる」ようになったと述べ、モビリティに新たな条件が加わったと強調。

そこで期待されているモビリティサービスは「必要な時に必要な場所へ時間通りに行ける」「必要な時に、必要なサービスやモノが時間どおりに提供される」ことだとし、言い換えれば「ジャスト・イン・タイムのモビリティサービスだ」との見方を示した。

まさにトヨタ生産方式(TPS)をモビリティサービスで実現するもので、進化したMSPFにはこうしたTPSの考え方を織り込んだという。

運行のベースとなるMSPFはイーパレットが提供する様々なサービスを支える仕組み、技術である。新機能のAMMSは「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」イーパレットを配車する。これにより、リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更、車両を自動で投入、回収する。

e-TAPは、TPSにおける“自働化”の考えに基づき「目で見る管理」を実現する。車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を一人一台監視するのではなく、一人で複数台管理でき、限られたスタッフでの運行が可能になる。

山本プレジデントは「イーパレットをウーブンシティで運行する。人々が住むリアルな環境のもとで走らせることにより、より安全・安心・快適なサービスが提供できるよう進化を続ける」と述べた。

https://youtu.be/Wnig21nPp9U

取材・執筆:松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

大幅減益のシャープ、社長交代で業績回復を目指す

シャープが再び業績の低迷に苦しみ始めた。同社は2016年3月期に巨額の最終赤字となり、同年夏に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、その主導のもとで復活を遂げた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で大幅な減益に陥った。

そこで、これまで会社を引っ張ってきた鴻海出身の戴正呉会長兼社長が会長兼CEOとなり、野村勝明副社長が社長兼COOに昇格し、新たな体制で業績回復を図ることになった。(経済ジャーナリスト・山田清志)

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成長事業が見当たらないパナソニックの苦悩、営業利益が28.6%減

パナソニックがもがいている。構造改革も思うように行かず、業績を伸ばす成長事業も見当たらない。在任9年目に入る津賀一宏社長も頭を痛めていることだろう。5月18日に発表した2020年3月期連結決算は、売上高が前期比6.4%減の7兆4906億円、営業利益が28.6%減の2938億円、当期純利益は20.6%減の2257億円と減収減益だった。(経済ジャーナリスト・山田清志) 続きを読む 成長事業が見当たらないパナソニックの苦悩、営業利益が28.6%減

ソフトバンクGの2020年3月期連結決算、9615億円の最終赤字

ソフトバンクグループ(SBG)が5月18日に発表した2020年3月期連結決算は、携帯電話事業が堅調に業績を伸ばしたが、投資ファンド事業が大きく足を引っ張り、巨額の赤字に転落した。売上高が前期比1.5%増の6兆1850億円だったが、本業の儲けを示す営業損益は1兆3646億円の赤字、純損益は9615億円の赤字だった。いずれも15年ぶりの赤字で、赤字幅もSBGとしては過去最大だ。(経済ジャーナリスト・山田清志) 続きを読む ソフトバンクGの2020年3月期連結決算、9615億円の最終赤字

ベライゾン、20年版モバイルセキュリティインデックス公開

事業に関わる8割強の回答者が事業運営上に於けるモバイルの重要度を認識

米情報通信大手系列のベライゾンジャパン合同会社(東京都千代田区)は5月15日、モバイルセキュリティに関するオンライン会見を開いた。それによると、モバイルデバイスの侵害が年々、増え続ける一方で4割強の企業がセキュリティ投資を犠牲にしており、コネクテッドカーの進化などに寄与する5G(第5世代移動通信システム)の本格的な実用化を迎えるなか、確実なセキュリティ対策の重要性を訴えた。(佃モビリティ総研・松下次男)

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トヨタTRI-AD、東京・日本橋のオフィスを本格稼働

同拠点から、レベル4のMaaS向け自動運転車を、2020年にお台場で公開させる意向

トヨタ自動車の自動運転に関わるソフトウェアの先行開発などを行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)は12月17日、東京・日本橋の本社オフィスを本格稼働させた。(佃モビリティ総研・松下 次男)

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誕生から53年が経ったカローラが抱える苦悩

新型「カローラ」が9月17日に発売されて約2週間、そんな中、トヨタ自動車は報道陣を集めて試乗会を開催した。少しでも新型カローラの走りや質感を感じてもらい、その良さを体験してもらおうということだが、その開発にはさまざまな悩みや苦労があったそうだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

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水陸連携マルチモーダルMaaS、2020年代に実用化へ

東京海洋大学、モネ・テクノロジーズ、電通の3法人、東京都港区海外周辺で自動運転型水陸連携マルチモーダルMaaS実証実験を公開

国立大学法人 東京海洋大学(本部:東京都港区、学長:竹内俊郎)の海洋工学部清水研究室、モネ・テクノロジーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:宮川潤一)、株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本敏博)は9月4日から5日に掛けての2日間、東京都港区海外周辺で自動運転型マルチモーダルMaaS実証実験を実施し、報道陣などに公開した。(佃モビリティ総研・松下次男)

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日産自動車、事業改革。規模追求を変更し収益重視へ

2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ記者会見を行った横浜市の日産グローバル本社建屋
2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ記者会見を行った横浜市の日産グローバル本社建屋

2022年度までに14拠点で生産ラインを停止し、1万2500人を削減。生産能力を660万台レベルへ

日産自動車の西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)は7 月25 日、2019年度第1四半期(4~6月)決算発表にあわせ横浜市の本社で記者会見し、リストラ策を中心にした2022年度までの事業改革を公表した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

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ビッグモーター、全29店舗の板金塗装工場でテュフ認証取得

「今回、全29の板金塗装工場でテュフの認証を得られたことで、ビッグモーターの品質が世界基準の板金工場として認められてことになり、他社との徹底化な差別化が図れる」

6月26日、ビッグモーターとテュフ ラインランド ジャパンは共同記者会見を行い、ビッグモーターの全29店舗の板金塗装工場でテュフ ラインランド板金塗装工場認証を取得したと発表。それを受けて、ビッグモーター サービス・PB本部の大賀一哉本部長はこう語った。(経済ジャーナリスト・山田 清志)

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G20エネ環境閣僚会合、EVの燃費基準値が世界的に変わるか

日本がG20エネルギー・環境閣僚会合で「Well to Weel」の燃費基準を提案。実現すれば、自動車メーカーの電動化戦略に影響も

長野県軽井沢町で6月15日から2日間の日程で開かれていたG20エネルギー・環境関係閣僚会合は2日目を迎えた16日、海洋プラスチックごみを減らす各国の自主的な取り組みを定期報告・共有するという国際的な枠組みの創設を採択して閉幕した。( 佃モビリティ総研・松下 次男 )

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最高速度120km/h、新たな高速走行の時代

新東名・東北道で、3月1日朝10時~

1月28日と1月30日の両日、静岡県警と岩手県警が、高速道路の本線一部区間で最高速度を120km/hとする新たな試行を公表した。

120km/h試行区間は、静岡県内の新東名(新静岡IC~森掛川IC)上下線約50キロと、岩手県内の東北道(花巻南IC~盛岡南IC)上下線約30kmの2区間。110km/h試行の区間で、最高速度を引き上げる。

2月いっぱいを周知期間として、3月1日から1年間をめどに実施する。110km/h試行と同様に結果を分析して次の規制緩和に繋げる予定だ。( 取材・撮影=中島みなみ / 中島南事務所 )

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日産自動車、SUBARUの完成検査不正が決着

国土交通省、日産自動車とSUBARUに対して道路運送車両法違反で裁判所に過料適用を通知

国土交通省自動車局は19日、スバルと日産の完成検査が一部未実施であったことについて、道路運送車両法違反で裁判所に過料適応するよう通知した。今後、裁判所が違反内容を判断し、両社の過料額を決める。発覚から1年以上に続いた一連の完成検査不正は、ようやく節目を迎えた。( 中島みなみ / 中島南事務所 )

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国交省、完成検査で独VW・エムデン工場にも立入り精査を実施

フォルクスワーゲンにも燃費・排出ガス抜取検査に係る不適切事案

フォルクスワーゲンの日本法人「フォルクスワーゲン グループ ジャパン」(本社:愛知県豊橋市、代表取締役社長:ティル・シェア)は12月5日、完成検査における燃費・排出ガス抜取検査で発生した不適切事案について公表した。( 中島みなみ / 中島南事務所 )

写真はフォルクスワーゲン グループ ジャパン豊橋本社
写真はフォルクスワーゲン グループ ジャパン豊橋本社

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石井国交相、完成検査不正でSUBARUに勧告書

スバルに対する勧告には、「完成検査の現場に対する把握・管理体制に問題があること等が数次にわたり明らかになった」と記され、四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するなど6項目が記された。(撮影=中島みなみ)
SUBARU(スバル)に対する勧告には、「完成検査の現場に対する把握・管理体制に問題があること等が数次にわたり明らかになった」と記され、四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するなど6項目が記された。(撮影=中島みなみ)

「信頼を損なう事態を引き起こしたことは極めて遺憾」6つの是正求める

「国土交通省としては、不適切事案の再発防止状況を厳しく確認するため当分の間、御社を重点的な監視対象とする」
石井啓一国土交通相は14日、SUBARU(スバル)中村知美社長を大臣室に呼び出し勧告書を手渡した。同社の完成検査の不適切事案について、道路運送車両法に基づく是正措置を措置を求めた行政処分だ。

厳しい表情で勧告書を受けたった中村社長は、いつもと変わらぬ冷静さを表情に宿していたかに見えたが、大臣室を出て記者の質問に答えた時には、指が小刻みに震えていた。(取材執筆/撮影:中島みなみ/中島南事務所)

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55年続いた高速道100キロ規制に風穴、引き上げ実証で見えた課題

高速規制速度110km/h。静岡試行から1年、120km/h引上げの課題とは

高速道路の規制速度を引き上げる試行が、昨年11月から静岡県内の新東名高速、同12月から岩手県内の東北道で続いている。

この試行を踏まえ過去半世紀以上の期間、普通乗用車で時速100km/hに固定されていた交通法令は変えられるのか。試行1年で見えた課題とは何かを探る。( 取材・執筆:中島みなみ ) 続きを読む 55年続いた高速道100キロ規制に風穴、引き上げ実証で見えた課題

第4次安倍改造内閣の新国家公安委員長、交通事故抑止に意欲

山本順三・新国家公安委員長、交通事故死者数、2020年までに2500人以下迫れるか

第4次安倍改造内閣の新閣僚で、国家公安委員長に山本順三氏が任命された。3日、併任の防災担当相として、小此木八郎前委員長との新旧大臣引継式に臨んだ。( 取材・執筆:中島みなみ )

国家公安委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣 山本順三新大臣(左)と小此木八郎旧大臣(右)/10月3日・内閣府にて。撮影=中島みなみ
国家公安委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣 山本順三新大臣(左)と小此木八郎旧大臣(右)/10月3日・内閣府にて。撮影=中島みなみ

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国土交通省、新タクシー運賃の実証実験を10/1より開始

タクシー迎車料金、繁忙時間に高く、閑散時間に安く…高い迎車料金なら優先配車

国土交通省は新たなタクシーサービスのためのタクシー料金・運賃の実証実験を、10月1日から始めることを発表した。( 中島みなみ )

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国交省、完成検査対策会議を実施。自動車14社の品質管理責任者が集結

完成検査制度に関わる意見交換・情報交換の機会を設ける。自動車14メーカーの品質管理責任者集め、各社の不正防止で引き締め図る…国交省

工場出荷前の車両の完成検査で、自動車メーカーの相次ぐ不適切事案が発覚する中、国土交通省は8月31日(金)に関連する自動車メーカーの品質担当責任者を集めて、対策会議「適切な完成検査を確保するための対策会議」を開催した。(取材執筆:中島みなみ/中島南事務所)

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経産省・経団連・日科技連、公開シンポジウムで品質問題防止策を提言

公開シンポジウム「サプライチェーン全体での品質保証体制の強化に向けて」で品質問題の防止策を訴える

経済産業省、(一社)日本経済団体連合会、(一財)日本科学技術連盟は共同で先の6月25日、企業の経営層が品質保証体制の構築に率先して取り組んでいくことを促すべく「サプライチェーン全体での品質保証体制の強化に向けて」をテーマとした公開シンポジウムを開催した。

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