1周5.807kmの三重県・鈴鹿サーキットで9月27日、2015年FIA・F1世界選手権・第14戦日本GPの決勝が行われた。
レース結果は、53周を走りきったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが今季8勝目・アイルトン・セナに並ぶ通算41回目の優勝を達成した。
レース序盤は、スタートの加速体制にいち早く入ることに成功したハミルトンが、前日の予選でポールポジションを獲得したニコ・ロズベルグを抑えてトップに立ち、そのままオープニングラップから後続を引き離しに掛かる展開へ。
結果、ハミルトンに押し出されたロズベルグは、後方に沈み。2番手がセバスチャン・ベッテル、3番手にバルテリ・ボッタスがジャンプアップし、オープニングラップは4番手を走る状況となってしまった。
この間、ハミルトンは10周目を消化した時点で、ベッテルを6秒も後方に押しやり快走。16周目にミディアムタイヤ換装して2回目のピットストップまでに13秒という大きなリードを築いた。
2番手のベッテルは、ハミルトンを追う展開だが、むしろ4番手から順位を上げてきたロスベルグに追われる展開に。
そのロスベルグは、ハミルトンのタイヤ交換に続いてベッテルが2度目のピットに入る間に、自己タイムを短縮して、ピット出口の合流でベッテルを抜きメルセデスのワン・ツゥー体制に持ち込む。
レースはこのまま終始トップの独走状態を維持したハミルトンが首位でチェッカー。
その18秒後にロスベルグ、3位はピット戦略で涙を呑んだフェラーリのベッテル、4位はロスベルグと同じくピット作戦でボッタスの前に出たフェラーリのキミ・ライコネン、5位ボッタス、6位フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグとなった。
ホームレースとなった期待のホンダ勢は、12番手スタートのフェルナンド・アロンソは、トロロッソのカルロス・サインツJr及びマックス・フェルスタッペンに、1コーナーの侵入で抜かれて次々と順位を落として11位。
ジェンソン・バトンは2回目のピットストップの後、エリクソンの後ろでコース上に復帰、以降、他チームの速度の出るマシンに囲まれた中で走行することになり、16位という結果に終わっている。
ルイス・ハミルトン (メルセデス)
スタート 2番手、レース結果 1位
「ニコが予選でポールポジションを決めたので、良いスタートほ切らなければならないと思っていました。最初のターン1はとても緊張しましたが、その後は理想通りの展開になりました。
初日のフリープラクティスが雨だったため、マシンセッティングのためのデータはあまり得られませんでしたが、マシンはの状態はとても良かったです。チームの皆に心から感謝します」
ニコ・ロズベルグ (メルセデス)
スタート 1番手、レース結果 2位
「スタートでルイスと接近戦となって、ターン1の出口で接触を避けるためにコースオフしなければならず、序盤は4番手になってしまい、とてもタフなレースとなりました。
それでも2位になれて良かったです。チームは、セバスチャンを出し抜くために万全のサポートをしてくれました。ソチではルイスとのポイント差を縮めるため勝利を目指します」
セバスチャン・ベッテル (フェラーリ)
スタート 4番手、レース結果 3位
「今日は3位で満足すべき理由が数多くありました。2回目のピットストップ後、ニコのパフォーマンスで、メルセデスが我々のマシンより速かったことは認めなければならないでしょう。
それに、このコースで一旦、前に出られてしまうとオーバーテイクは難しく、今回は3位になれて、多くのポイントを獲得できたことを素直に喜びたいと思います」
レース後のホンダ陣営「ベストは尽くしたが、まだ足りない」
フェルナンド・アロンソ
MP4-30-01
スタート 12番手、レース結果 11位
ファステストラップ 1分39.614秒 45周目(トップとの差 +3.469秒、16番手)
ピットストップ 2回:9周目(ピットストップ時間 2.54秒)および28周目(ピットストップ時間 2.76秒)[オプション→オプション→プライム]
「直線で他のドライバーに追い抜かれ、コーナーに差し掛かったときに他のドライバーがブレーキを踏むタイミングを間違えたり、ミスを犯したりするのを見ていながら、その後、自分がコーナーを完ぺきに走り抜けたとしても、直線でブロックするのが難しく、フラストレーションを感じます。
我々はプログラムを改善しなければなりません。(今年の)残りのレースも厳しい内容になるでしょうが、チームは来年に目を向けています。我々が一丸となって勝利を収めるときは必ず来ます。ただ、それを一刻も早く成し遂げる必要があります。
今日のレースから何かを学び、継続的に改善することを願っています」
ジェンソン・バトン
MP4-30-04
スタート 14番手、レース結果 16位
ファステストラップ 1分40.121秒 31周目(トップとの差 +3.976秒、18番手)
ピットストップ 2回:10周目(ピットストップ時間 2.71秒)および27周目(ピットストップ時間 3.09秒)[プライム→オプション→オプション]
「我々のマシンと他チームのマシンに、あれほどのスピード差がある場合、どうすればいいのか分かりません。ライバルチームにオーバーテイクされる際に、我々は「引く」ことしかできないのです。
スピードにそれほど大きな違いがあるため、他チームのマシンがどの場所にくるのか分からない状況です。
しかも2回目のピットストップで、エリクソン選手(Sauber)に先を越されてしまいました。
私のマシンの方が速く、タイヤの状態も良かったので、それによって私のレースが台無しになりました。最終スティントでは、私はオプションタイヤを履いていて、エリクソン選手はプライムタイヤを装着していたからです。
もし私がエリクソン選手よりも前の位置でコースに復帰していれば、問題はなかったと思います。
私のマシンの方が速かったですし、彼は後方のマシンを後ろにキープする形になっていました。それによって、フェルナンドは自身のレースを展開することができましたが、私は速いマシンを後方にとどめることができず、さらに順位を下げることになりました。
今回は、Honda、および会場にいらっしゃるファンの方々の前で迎える厳しい週末となりました。皆さんの前で成功を収めたいと思っているだけに辛いものがあります」
エリック・ブーリエ|McLaren-Honda Racing Director
「今の我々の全体的なパフォーマンスがMcLarenやHondaという、2つの偉大なF1ブランドの栄光のときよりも劣っている状態で、進化を実感することは容易ではありません。
また、当然のことながら、本日の11位および16位という結果に満足している者はチームに誰一人としていません。それでも、ポジティブな点はいくつかありました。
両マシンが高い信頼性をもって完走したことは励みになります。今日のホームレースでは、我々の友人であるHondaのメンバーが、これまで懸命に作り上げてきたPU(パワーユニット)を積んだマシンが、ポイントを獲得するには至りませんでした。
ただ、フェルナンドもジェンソンも完走しました。我々が「表彰台」および「勝利」という最終的な目的地に向かって共に歩むには、そういった足掛かりを何度もつかんで初めて辿り着けるのです。
最後になりましたが、我がチームのメンバー、特に先週末のシンガポールおよびここ鈴鹿での連戦となった、非常に厳しい2週末を通して、蒸し暑い天候の中、非常に精力的に仕事をしてくれたガレージのメンバーに対して感謝の意を表します。どのメンバーも本当によくやってくれました」
新井康久|株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者
「Hondaのホームグランプリとなる鈴鹿で、信じられないほどのファンからの大声援を力に、決勝に臨みました。
2人のドライバーのすばらしいスタートにより、ポジションを上げ、入賞の可能性も感じられましたが、ここ鈴鹿はエネルギーマネージメントに関して厳しいこともあり、最終的には惜しくもポイントを逃す結果となりました。
三日間を通じてファンのサポートに感謝するとともに、一日でも早くその期待に答えられるよう、残りのレース、そして来年に向けて開発を加速させたいと思います。暖かいご声援本当にありがとうございました」