損保ジャパン日本興亜、自動運転車用サービスの共同開発に乗り出す


損害保険ジャパン日本興亜、ティアフォー及びアイサンテクノロジーの 3 社は2月15日、国内の自動運転サービスを支えるインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の共同開発に向け業務提携契約を締結した。

同締結に至った理由は、自動運転技術の実用化が進み、一般道での完全自動運転化に期待が集まっていること。また2018年4月の「自動運転に係る制度整備大綱」、2018年9月の「自動運転車の安全技術ガイドライン」などの体系整備が進んでいること。

その一方で、損害保険会社として自動運転技術を社会実装するためのノウハウや蓄積、そしてリスク分析と対策を迅速に蓄積させていく必要があるため。

そこで今回の3社ではティアフォーの自動運転システムに加え、高精度3次元地図データの利用実証実績で国内外 100 か所を超のアイサンテクノロジーの大規模走行データやノウハウを活用していく。

対して損保ジャパン日本興亜もリスクアセスメントの提供や安全ノウハウの蓄積を行ってきた。2018年9月には、完全自動運転車の乗客を遠隔から見守るためのコネクテッドサポートセンターも開設。そのほかにも約 1,300 万件の保険契約者の情報を個人が特定できない方法でデータベース化し、10万台以上の保険契約車両に対してドライブレコーダーの提供も行っている。

このような取り組みを前提に損保ジャパン日本興亜は、自社のビッグデータを利活用することで、より実際的なインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の本格開発に乗り出す。

なおこの「Level IV Discovery」は、完全自動運転技術を利用したサービス実証に必要な事故の予防・監視・補償の機能を満たしたインシュアテックソリューションである。

より具体的には、万一の事態の被害者救済(事故の補償)に加え、計画段階の安全検証(事故の予防)とテクノロジーを駆使した走行中の安心見守り(事故の監視)を提供することで、現在の「事故に備えた損保」から「事故を防ぐ損保」に進化させる。

そのためには以下のソリューションをワンストップで提供し、地域の特性を考慮した最適なリスクマネジメントのもとで、計画的かつ安心・安全に実証実験を運用していく。

(1)事故の予防
高精度 3 次元地図データと自動運転シミュレータを用いたリスクアセスメントサービス。
(2)事故の監視
遠隔で自動運転車両および乗客の安心を見守るコネクテッドサポートセンターのオペレーターサービス。
(3)事故の補償
自動運転車両の走行環境データ分析に基づくデジタル保険商品。

そんな3社による業務提携の内容は以下の通り。

( 1 )損保ジャパン日本興亜、ティアフォー及びアイサンテクノロジーの3社による「Level IV Discovery」の共同開発を行う。
(2)損保ジャパン日本興亜による自動運転実験車両と走行環境データ収集車両の複数台を配備していく。

なお今後3社は業務提携を通じて「Level IVDiscovery」のプロトタイプ開発を進めて2019年後半には試験提供を開始させる。

その後、2020 年後半を目途に国内全域の自治体や交通事業者に向けた実用のソリューション提供を開始する予定。さらにその他のパートナーとの連携も加速させ、完全自動運転技術の社会実装に貢献していく構えとしている。