プジョーが六本木ヒルズでブランド体感イベントを開催


「プジョーショー2019」が10月19日、六本木ヒルズの特設会場で開幕した。これはプジョーブランドの体感イベントで26日までの8日間にわたって開催される。そこには2020年夏発売予定の新型「208」や電気自動車の「e-208」、そして新コンセプトMPV「リフター」が並ぶ。このイベントでプジョーブランドをさらに高め、日本での販売増を目指そうというわけだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

退屈な未来はいらない

「自動車業界はますます環境への配慮が求められている。そのような中、プジョー・シトロエン(PSA)は持続可能なモビリティを提供することを約束し、ハイブリッドを含む大胆な電動化戦略を打ち出した。『CMP』と『EMP2』というわれわれの新世代のプラットフォームは、内燃機関とEVの双方に対応している。つまり、プジョーのお客さまは内燃機関もEVも同じ土俵で比較し、好みのパワーユニットを選べるようになった」

開幕の前日、18日のプレスカンファレンスで挨拶に立ったプジョー・シトロエン・ジャポンのクリストフ・プレヴォ社長は、壇上に飾られた208とe-208を見ながらこう強調した。

プジョー車の国内販売は2015年5898台、16年7394台、17年8237台、18年9975台とここ数年右肩上がりで伸びている。そして19年には1万台超えと、15年ぶりの記録更新を目指す。そこからさらに成長を続けるには、EVを含めた電動化車両を投入し、一気に攻める必要があるということなのだろう。

そこで、新たなブランドメッセージも打ち出した。それは「UNBORING THE FUTURE(アンボーリング・ザ・フューチャー)」、日本語に訳すと「退屈な未来はいらない」という意味だ。

「クルマは単なる移動ツールではない。クルマは情熱を注ぐものであり、プレジャーを与えてくれるものだ」とマーケティング部長のトマ・ビルコ氏。

EVの航続距離は340km

その象徴になるクルマが208とe-208というわけだが、プロダクトマネージャーの上村学氏によれば、208は1.2リットルターボエンジンを搭載し、最高出力が100psで、最大トルクが205Nm、一方、e-208は136psで、航続距離はWLTPモードで340kmだという。しかも、パワートレイン以外は双方の間で目立った違いがないそうだ。

もちろん、安全装備も充実しており、最新のADAS(先進運転支援システム)を搭載している。たとえば、前方車両の追従走行を支援するクルーズコントロール、自動ブレーキ、レーン・ポジション・アシスト、ディスタント・アラート、ドライバー・アテンション・モニタリング、駐車アシスト、交通標識認識などといった具合だ。

また、最新の「i-Cockpit」を採用している。これはコネクティビティを重視したプジョーの新世代コックピットで、直感的で、より自然なドライビングエクスペリエンスを目指してデザインされた操作パネルが特長になっている。人間工学に基づいたもので、ドライバー正面のメーターはデジタル表示になっていて、情報がホログラム形式で投影されるようになっている。

リフターの特別仕様車を先行発売

もう1台のリフターは、特別仕様車が19日からオンラインによる予約注文が開始された。価格は336万円で、「プジョーとしては全く新しいタイプのモデル。2018年のジュネーブモーターショーで発表以来、日本でも大変な反響と期待があった。来年夏の正式導入に先駆けて特別仕様車を先行発売することにした」と上村氏は話す。

MPVが得意とする機能性、スペースはもちろんのこと、プジョーらしいSUVの力強さ、機動力、内外装の高いクオリティ、そして1.5リットルディーゼルが他車との大きな差別点だという。

また、インテリアについてもいろいろと工夫を施してあるとのことだ。例えば、プジョー自慢のパノラミックルーフは電動シェードを持つガラスルーフの真ん中に半透明のレールを設けてデザイン的にユニークであるうえ、14リットル相当のものを収納できる。夜はムードライトとして照度を調整して使用できる。

このように、2020年はプジョーにとって日本市場で攻勢をかける年となっており、その動向には目が離せなくなりそうだ。

山田清志
経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。