日産自動車のカルロス ゴーン氏が三菱自動車工業の会長職に、益子修氏が社長職留任の見込みを発表
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は10月20日、三菱自動車の発行済み株式の34%を取得し、三菱自動車の筆頭株主となった。なおカルロス ゴーン氏のビデオメッセージは下記1分半程度の動画を視聴されたい。
これにより三菱自動車は、ルノー、日産、アフトワズ(ロシア)、東風汽車(中国)からなるグローバルなアライアンスの一員となる。
その結果、同アライアンスは世界トップ3の自動車グループとなり、2016年度のグローバル販売台数は1,000万台に達する見込みだ。
日産自動車の社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス ゴーン氏は、両社は共同購買、現地サプライヤーの拡大、生産拠点の共用、共通プラットフォーム開発、新技術の開発分担および成長市場や新興市場での両社のプレゼンス拡大で協力すると表明した。
ゴーン氏はまた、「日産、三菱自動車、ルノーのチームは、グローバル自動車業界に於いて新たな勢力となる。
このアライアンス(この3社並びに中国・ロシア企業を含む)は、スケールメリットを創出すると共にに、あらゆるセグメントに於いて、世界の顧客ニーズに応えられるクルマをお届けできる革新的な技術や生産能力を有する、世界トップ3の自動車グループのひとつになるでしょう」と述べた。
さらにゴーン氏は、三菱自動車との提携により、日産の享受するシナジーが2017年度に240億円を創出し、2018年度以降は年間600億円まで拡大すると予測している。
日産によるとこのシナジーにより、2017年度には1株当たり利益として4円、2018年度には10円の増加が見込まれる。なおこれらの一株当たり利益の改善には、出資に伴う持分利益は含まれていないと云う。
なお日産自動車による今回の援助に至った経緯は、三菱自動車での燃費不正問題発覚後、同社の取締役会長兼最高経営責任者(CEO)の益子修氏からの要請を受けて決定したとする。
これについてゴーン氏は、「日産自動車と三菱自動車工業は、過去5年にわたり国内市場向け軽自動車の開発で協業してきました。
私たちは、アライアンスの一員となった三菱自動車がお客さまの信頼を取り戻すことにコミットしています。
この取り組みを、両社の拡大した協力関係によるシナジーや成長ポテンシャルを追求すべく、最優先事項として進めていきます」と語った。
同戦略の一環として、日産は三菱自動車の取締役候補として、次期会長候補に選出されたゴーンを含む4名を推薦している。
他の推薦者は、グローバル渉外部門およびチーフサステイナビリティオフィサーを務める、川口均氏、グローバルコントローラーおよびグローバルアセットマネジャーの軽部博氏。
そして既に三菱自動車の取締役として日産から派遣されている山下光彦氏となる。三菱自動車の要請に基づき、先の山下氏は既に本年、同社の開発担当副社長およびエグゼクティブコミッティのメンバーとして就任している。
また、ゴーン氏は、日産自動車の勢いを維持すると同時に、三菱自動車の益子氏を支援するべく、11月1日付けの役員体制の変更も発表した。
日産自動車の取締役会にて、現在CCOを務める西川廣人氏が共同最高経営責任者に就任することが提案・承認された。
この西川氏の後任として、現在アライアンスEVPとして購買を統括する山内康裕氏がCCOに就任する。
山内氏の後任としては、ヴェロニク サラデポ氏がアライアンスEVPとして購買を担当すると共に、ルノー日産共同購買組織を統括する。そして内田誠氏が日産自動車の購買を統括し、サラデポをサポートしていく。
加えて三菱自動車の要請に基づき、役員体制の強化を目的として、日産のチーフパフォーマンスオフィサー(CPO)であるトレバー マン氏が新しいアライアンスパートナーである三菱自動車の最高執行責任者(COO)に就任する予定だ。
マン氏の後任として、ホセ ムニョス氏が現在担当する日産自動車の北米事業に加え、チーフパフォーマンスオフィサー(CPO)に就任する。
最後にゴーン氏は、「この戦略は、グローバル自動車産業がかつてない大変革を遂げようとしている中で、両社がこれまでに持つ強みや経営能力を活用し、さらなる競争力と長期的な株主還元を目指すものです」と締め括った。